くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「サクリファイス」近藤史恵+菊地昭夫

2009-09-22 06:28:29 | ミステリ・サスペンス・ホラー
これの①を発見するまでに半月かかったわたし。③は発売日に買いに行きました。ひっそり行ったはずなのに、フェアをやっていて、水ヨーヨーを三つ釣り上げてしまい、この証拠物件をいつ子供たちにうちあけるか悩んでいます。
近藤史恵原作、菊地昭夫漫画「サクリファイス」(秋田書店)全三巻。七月からの三ヶ月連続刊行です。
①②を読んでいて、この小説の青春スポーツ群像としての側面を爽やかに描いているのが伝わってきました。③になってからの展開が速く、畳み込むようにエンディングにむかっていく。おもしろかったです。不満は、三冊中一度も近藤さんのコメントが入らなかったことかな……。
この小説は、近藤史恵の代表作です。ミステリーとしても勿論ですが、自転車レースというスポーツの魅力を書き切ったところに大きな価値があると思います。読んだあとにものの見方が変わるのは、優れた作品だとわたしは思うのです。
自転車への関心も出るし、物語の伏線をたどり直すうちに新しい発見がある。石尾という選手の行動や発言から浮き上がる彼の本質が、ぐっと胸に迫るのです。

漫画が完結したので、読まないでとっておいた「ストーリーセラー」(新潮文庫)の「プラトンの中の孤独」を読みました。「サクリファイス」のスピンオフ小説で、赤城さんの視点から描かれた、オッジのチーム創設間もない頃、石尾の新人時代のエピソードです。
あー、これを読んだあとは、赤城さんがあれほどに石尾を悼む気持ち、わかります! 二人の間にある絆の強さ。
このシリーズはまだ続けると聞いたので、ほかの作品も楽しみですね。
近藤さんのブログによると、白石の名前は「誓」で「ちかし」と読むそうです。初版は「ちか」とふってあったとか。わたしは図書館で借りたので、「ちか」だと思ってたかも。
某書店では、単行本を「ルポルタージュ」の棚に並べていました(笑)。気持ちはわからないでもないけど。