くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「時間をまきもどせ!」ナンシー・エチメンディ

2009-09-07 05:38:11 | 外国文学
この物語、どうもどこかでみたことがあるような気がするんです。「パワー・オブ・アン」、実はわたしの時間も奪ったんじゃないの?
ナンシー・エチメンディ「時間をまきもどせ!」(徳間書店)。
もともと外国ものを余り読まないため、結構苦戦しました。始めの一章を読んでしばらくほっておき、次を読んでまたほっておいて。三章からは比較的読みやすかったですよ。
学校で女の子と喧嘩してくさっていたギブは、森でであったおじいさんから「パワー・オブ・アン」という機械を手渡されます。この機械を使えば、間違いをやり直すことができるというのです。
ギブにはロキシーという妹がいます。この日、親友のアッシュと移動動物園に行くことになっていたギブは、ロキシーも連れていくように言われ、嫌々ながら従います。
「悪魔のエレベーター」に乗ったギブが目にするのは、犬をおいかけたロキシーがトラックにはねられる場面。もう意識を取り戻すことはないだろうと宣告された妹を救うためにはどうしたらいいのか……。

タイムトラベルものですから、ある程度の予測はつくし、テーマもわかりやすい。最終的にはどうなるのか気になって気になって。
で。
これは、あれですね。「ドラえもんの最終回」です。のび太がドラえもんを再起動させるために科学者になる、という。こういうとネタバラシになるかもしれませんが。
個人的にはマダム・イシスが気になります。犬を手に入れるという預言も当たるし。
ただギブは事件を振り返って語るという設定なのですが、未来をかえていいのかどうか迷いながらも変えているくせに、「不吉なことが起こるんじゃないか」「なにも変えないようにしよう」と考え直したりします。でも、未来を変えるために行動してるんだよね?
それにおじいさんがどうしてこんなに慌てているのか、最後まで読んでもわかりませんでした。だって、時間をまきもどす機械を発明しているんでしょ。過去のこともよーく知っているんでしょ。もっと余裕をもって現れればいいじゃん!
「時間の流れを大きく変えようとするばするほど、エネルギーが必要になる」と言っているから、なかなか骨の折れることだとは思うのですが。
はっ、今この台詞を読んでいて気がつきました。
「今回は、かなり大きく変えることになるから」と書いてあります。
ということは、未来においてロキシーは意識を取り戻していないのでは? おじいさんは、なんとかこの計画を成功させるために、ギブに「パワー・オブ・アン」を手渡しただけでなく、マダム・イシスを訪ねたり、車道に飛び出したロキシーを抱き止めようとしたりします。
しかし、まだ不可解なことが。
「もっとも重要なのは、使わなくてはならない以外は使うな」と言われているのに、アッシュのボール投げに使ってるよね? これは必要なことなの?
いろいろと矛盾は感じますが、妹のためになんとかしようと努力し続けたギブには感心します。普通なら医者になって脳科学の分野からのアプローチをするほうがタイムトラベルを実行するより容易だと思うのですが(笑)。
そうですね、時が過ぎて目覚めるロキシーよりも、ともに成長して生きることを目指したのでしょう。

さて、その後もつらつらと考えたのですが、どうも腑に落ちません。おじいさんはロキシーを目覚めさせるためにタイムトラベルを行ったのですよね。二度めもあったということは、戻ったらロキシーは目覚めていたけど、レイニーが倒れていたってこと? でも、おじいさんは、足を引きずっているのです。
すると、あのとき「パワー・オブ・アン」で助かったのだから、過去の自分にその機械を渡さないといけないと思ってきたの? ロキシーは、未来の世界でも車に接触しないですんだの? じゃあ、「かなり大きく変える」ことにはならないのでは?
わたしの読み方は間違っているのでしょうか。