くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「私たちの退屈な日々」多島斗志之

2009-05-03 05:06:47 | ミステリ・サスペンス・ホラー
すげー。
金縛りにあったようです。北上次郎編「14歳の本棚 家族兄弟編」(新潮文庫)。
の中から、多島斗志之「嘘だろ」を読んだのです。主人公の心の動き、姉を守ろうとするひたむきさと、真実を知っての衝撃。しかも、エンディングなのにこれから先も繰り返されるのであろう惨劇が脳裏に浮かぶのです。
うわー、この本のオリジナル読みたいー!! でも悲しいかな、多島さんの本はなかなか手に入りにくいのです。すぐ品切れになるし。「海上タクシーガル3号」(創元文庫)も入手するのに本屋何軒まわったか(でもまだ読んでないけど)。どこかの図書館から取り寄せてもらおうかしら……。
そう考えた人はわたしだけではなかったらしく! ある日新聞を見たら広告が載っているじゃないですか。双葉文庫から復刊「少年たちのおだやかな日々」!
で、喜んで買いに行ったのです。
……売ってませんでした。
でもっ、こっちはあったのです。「私たちの退屈な日々」。双葉文庫ありがとう。多島さんの短編が読めるのは、ほんとうにうれしい限りです。
早速読んだ「取りつく」は、自分がストーカーになってしまったことに気づかない女性が主人公です。彼女はお目当ての俳優を待ち伏せるうちにどんどん日常を逸脱していき、ついに家庭は壊れます。彼女の目から見ると、ノートの糊がはがれるように。
あ、側面を書いているので本筋は違いますからご心配なく。
ほかにも、今では真実を知るただ一人になってしまった男性が、その秘密を守るために尽力したり、平凡な「お母さん」だとばかり思っていた人が別の顔を持っていたり、多彩なサスペンスが楽しめます。
わたしがとくに好きなのは、「記憶」と「教え子」ですね。
あー、連休中に「少年たちのおだやかな日々」を買いに行けるかしら。いや、それよりも、「海上タクシーガル3号」を早く読むべきなのですよね。すみません。