唐招提寺
遣唐使たちの苦難と、それに応えようと幾度もの失敗を繰り返しながら、日本に渡ってくる唐の高僧鑑真和尚の縁を描く、井上靖の歴史小説「天平の甍」で知られるお寺かと思います。
1980年に映画化されましたが、よく仕上がった作品です。
かなりマイナーな映画かと思いますので観られている方も少ないかと・・・
ただこの年代には空海、親鸞、日蓮といった仏教映画はかなり製作されているように記憶しています。
唐招提寺は律宗のお寺です。
一般的になじみ深い天台宗、浄土宗、浄土真宗、禅宗(正しくは、禅宗などというものはなく、臨済宗、曹洞宗かと)、日蓮宗、真言宗といった宗派からすると、あまり聞きなじみのない宗派かも知れません。
私が巡った奈良のお寺の中でもかなり印象の強いお寺です。
天平の甍といわれるように、金堂を覆う屋根の甍は端正に整えられてとても綺麗です。
本尊様は廬舎那仏ですが、薬師さんと共に脇侍にあるのは千手観音様です。
この仏像の配列は他に類がなく、配列の根拠たるものも現在よくわからないようです。
京都、奈良合わせて三千有余の寺社がありますが、千手観音とうたい本当に千の手を持つ観音像はこの唐招提寺だけではないでしょうか。
いずれにしても、この三体の仏像はかなり大きく立派なものです。
建物は講堂、鼓堂、礼堂、御影堂そして正倉院と同じ形式の経蔵、宝堂などがあります。
経蔵、宝堂が正倉院と同じなのは、聖武天皇が関係しているからでしょう。
正倉院と同じ構造をもつ建物を目の前で見られる事は、考えてみるととても凄い事ですね。
境内がとても静かで天平時代を彷彿とさせるいい雰囲気をもっています。
二十数年ぶりの唐招提寺でしたが、この雰囲気やっぱり好きです。
時間をかけてゆっくりと拝観したいお寺です。