● キャンパス間を往来する車中で、ヘンリー・S.ストークス『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』を読みました。同氏は、1964年に Financial Times の東京支局長として赴任以来、半世紀にわたって日本に滞在。この間、The Times と The New York Times の東京支局長も務めています。『三島由紀夫 生と死』の著者としても知られます。
● 南京大虐殺や従軍慰安婦問題について、「事実ではない」と日本人が抗弁しようとすると、世界から相手にされなくなるおそれがあります。かといって、中国・韓国の主張は史実と異なることを日本人自身が訴え続けていかないと、「歴史的事実」として確定してしまいかねません。「日本は、これまでこうした努力が異常に少なかった」という卑屈な態度が日中・日韓関係をさらに歪めてきたとみています。しかも、これらの問題は、日本からけしかけたことで、中国・韓国が取り上げるようになったことにも注意を喚起しています。では、どうすればよいかというと、「東京裁判史観」からの脱却を果たし、日本国憲法を改正して、日本人としての矜持を取り戻すべき ── というのが著者の歯がゆいまでの思いのようです。
● そういえば、難儀な従軍慰安婦問題にしても、アメリカ人にホワイトハウスへの請願をしてもらわなくても、日本人だけで取るべき手段はあるだろうに ── とぼんやり考えていたところへ、現職総理大臣としては7年ぶりに安倍晋三首相が靖国神社参拝。これは矜持というべきでしょうか、意固地とみるべきでしょうか。