弁護士パパの子育てノート

3人の子供の子育てにかかわる日常の中で、「これってどうなんだろう?」と考えたことをいろいろと記してみたいと思います。

代襲相続について1 ―相続人の範囲

2015-12-20 16:56:06 | 相続
相続についてのお話です。

知っておいて損がないものとして、代襲相続という制度に触れてみたいと思います。

代襲相続とは、本来、相続人となるべき人が、相続開始前に死亡していたり、相続欠格や相続排除によって相続権を失った場合(※)、その人の子が代りに相続人となることです。

本来、相続人となるべき人が、相続放棄をした場合には、はじめから相続人とならなかったものとみなされますので、代襲相続は生じません


代襲相続の典型は、親が死亡して相続が生じたが、法定相続人である子が既に死亡している場合です。

この場合、死亡している子の子(すなわち孫)が、子の代襲相続人として子の相続分を相続します(民法887条第2項)。

例えば、本来、相続人となるべき子の相続分が2分の1であったとして、その子の子(孫)が3人いるような場合、孫がそれぞれ相続分6分の1ずつを代襲相続するということになります。

このように子が死亡しているような場合の代襲相続関係は、孫も死亡している場合にはひ孫に、ひ孫も死亡している場合には玄孫(やしゃご)にと、下の世代に引き継がれていきます(民法887条第3項)。


ここまでは一般的にも知られていることではないかと思いますが、さらに、本来、亡くなった方(被相続人)の兄弟姉妹が相続人であり、相続開始時にその兄弟姉妹が死亡しているような場合にも、代襲相続が生じるということは知っておいた方がいいと思います。

すなわち、被相続人に子・孫といった直系卑属がおらず、親・祖父母といった直系尊属もいない場合(相続放棄しているような場合も含みます。)、被相続人の兄弟姉妹が相続人となりますが(民法889条第1項)、相続開始時にその兄弟姉妹が死亡しているような場合には、その兄弟姉妹の子(被相続人からみると甥、姪)が代襲相続によって相続人となります(民法889条第2項による民法887条第2項の準用)。

自分の配偶者が既に亡くなっていても、その配偶者の兄弟姉妹(自分の子供達からみると伯父(叔父)・伯母(叔母))が死亡すると、自分の子供達に相続が生じる可能性があるということです。

相続財産が+(プラス)の場合はいいでしょうが、相続では負債等の-(マイナス)の財産も承継しますので、配偶者の兄弟姉妹に多額の負債があるような場合には注意が必要です。

子供達が多額の負債を相続してしまうような場合には、相続放棄の手続きも検討する必要があります。


甥・姪の代襲相続関係は一代限りであって、相続開始時に甥・姪が死亡しているような場合にはその子や孫に代襲相続は生じません(民法889条第2項により、民法887条第3項が準用されていないことから)。

このあたり、民法の条文上、非常に分かりにくいところですが、「代襲相続は甥・姪まで」と覚えておくといいかもしれません。


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