国際演劇協会 事務局通信

社団法人国際演劇協会(ITI/UNESCO)日本センターの主催するイベントの情報などをお知らせします。

狂言ワークショップ 3

2006-01-14 | 伝統芸能ワークショップ 狂言
その一方で、実際に演ずる段になって、
各受講生(或は狂言師以外の人々)がもつ
各々の‘狂言風’表現に陥る傾向も否めず、
それは誤解を恐れずに言えば、
拙いモノマネの物真似でしかないことにも気づかされました。
でもそれを超えるには、目の前の先生方の動きや発声や呼吸を
ただひたすら一つずつ真似ることでしかない、ということ。
このほんの少しの意識の差を持った時初めて、
いままでにない新鮮な体験として
<狂言と出会う>ことになるのでしょう。
それは奇しくも、西洋舞踊や自国の民族舞踊、
様々な演劇のメソッドを身につけている外国人受講生が直面した壁と、
合わせ鏡のごとく表象されていたのが印象的でした。
思い込みを排し、あるがままに受け止める、感じる事、
そして文字通り「真似る」ことの難しさと重要さを再認識し、
芸の基礎とは何かを知る貴重な経験となったのではないかと思います。

様々な場面を乗り越えて、
9月1日、銕仙会の能舞台を踏んだ13人の受講生たち。
萬先生がおっしゃった「能舞台にたつために、どういう身体、
どういう声が必要か」という課題は、
及第点には至らなかったかもしれませんが、
狂言の大きな魅力で一つある、
ほのぼのとしたおかしさを生み出す空間を皆で創り出せた事には、
万蔵先生からも合格点をいただけたのではないかと思います。
最後にご指導いただいた、萬先生、
万蔵先生をはじめとする萬狂言一門の先生方、
梅若能楽学院、銕仙会の方々に心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。

(制作補:三宅文子)

なお、写真や過去のワークショップのレポートは、
本サイトをご覧下さい。
国際演劇協会
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狂言ワークショップレポート 2

2006-01-13 | 伝統芸能ワークショップ 狂言
前半は、基本の動き、小舞の振り写し、
謡の音取りなどを、幾度となく繰り返していきます。
また、狂言では先生の発する台詞の抑揚・間合い・呼吸を、
一言一言湛然に発音し、台本に記し、
記憶するという作業が続きました。

日程も後半に入ると台本も手から離れ、
狂言チーム、小舞チーム内でそれぞれお互いに課題を指摘し合い、
舞台に立つためのヴィジョンを共有する作業も必要となってきたため、
一層結束力が強まっていきます。

今年に限った事ではありませんが、
特筆すべきは通訳の方々の存在です。
例えば、腕をあげる、振り返る、
そうした動きのひとつひとつを理解してもらうために、
言葉をつくして説明してくださる先生方とそれを伝える通訳の方々。
通訳という行為は、その背景となる文化を伝えるのは勿論のこと、
時に異文化ならぬ自国文化に潜む無意識の自己存在を示唆します。
<狂言>を学び知る過程で、日本的なモノの解釈/知覚と、
アジアを含めた日本以外のそれとの違いを痛感、
それは同時に私たち日本人が「日本人である」とうことを
目の当たりにする瞬間でもありました。
衣食住すべてにおいて
西洋化された生活様式の中で育ってきた私たち日本人でも、
六百年の伝統をもつ狂言に凝縮されたエレメント(要素)が、
わかる/気づくまでもなく自分の身体や心が「知っている」ということが、
今回アジア、アフリカ、アメリカ、そして日本という国際的な顔合わせの中で、
色濃く、具体性をもって体験されたと思います

(写真は本サイトに掲載されています:国際演劇協会
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狂言ワークショップレポート1

2006-01-12 | 伝統芸能ワークショップ 狂言
昨年8月23日(火)から9月1日(日)、
梅若能楽学院、銕仙会能楽研修所を会場に、
野村萬先生の監修のもと、野村万蔵先生を中心にした、
小笠原匡先生、野村扇丞先生、山下浩一郎先生、
吉住講先生の萬狂言一門の皆様にご指導をいただき、
<狂言>ワークショップが開催されました。
今年は、アメリカ1名、南アフリカ1名、
フィリピン4名、日本7名、総勢13名の受講生が集まりました。

「狂言は能舞台で演ずるのが大原則。
能舞台にたつために、どういう身体、どういう声が必要か、
それを学んでもらうことが大事だと思います。」と萬先生。
「(正座が)難しい人もいるかもしれませんが、
正座をし、手を前について深くお辞儀をし、
よろしくお願いします、で始まり、
ありがとうございます、で終わりましょう。」
と万蔵先生がおっしゃり、
いざワークショップの幕開けです。

萬先生の「世阿弥」考のご講義の後、
万蔵先生による小舞三曲(『柳の下』『暁』『七つ子』)、
他の先生方による『棒縛』の模範演技と、
『茸』のビデオ上映、
続いて、基本の動き・所作の指導と謡の稽古が続きます。
そしてこの僅かな時間での稽古の成果を各自披露し
希望の役を先生方に伝えるオーディションを実施、
日本人受講生たちは狂言を、
言葉の壁のある外国人受講生たちは
小舞と謡を中心とした配役が万蔵先生から発表されました。

実際は、外国人受講生は、小舞を各自一曲の他に、
謡三曲、狂言『茸』茸役と、踊り/歌/演技の三役を受け持つことに。
受講生の人数も顔ぶれも直前まで不確定だったにも関わらず、
何日も前から予測し計算されていたかのような演目と配役、
そのバランスの妙に驚くと同時に、
このプログラムの懐の深さにときめいてしまいます。
こうしてTシャツやスウェットなどの
軽装に白足袋を着用した稽古着の受講生は、
好対照な単衣の着物に袴姿の凛とした先生方のご指導のもと、
初日から熱のこもった稽古を重ねていくこととなったのです。

(続く)

(記:制作補三宅文子)
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在住外国人のための歌舞伎:2月

2006-01-06 | お知らせ
あけましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、ご好評頂いている「在日外国人のための歌舞伎」ですが、
2月の歌舞伎座の公演でも実施する運びとなりました。
実施日は、2月17、18、19日の夜の部です。
応募締切は1月23日です。

詳しい情報は以下の本サイトにありますので、
ぜひご覧下さい。
Topページで、日本語または英語を選べます。
国際演劇協会サイト

たくさんの方のご応募をお待ちしています。
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