itfarmのイチオシコラム

itfarmとは『伊藤農園』の事。米と園芸の他、農業以外に映像と花火、日々の面白い事を長文で呟いていきます!

きらめく大粒、新之助

2021-10-08 18:01:00 | 日記
新潟県の新ブランド『新之助』ってご存知ですか?

2016年デビューなので、もう5年。

新品種とは言えないですが、この新之助は、うちの田んぼが県の調査圃場となっていて、常に県の職員に見張られています(笑)

この新之助の特徴と言えば、簡単に言うと、大粒でコクが強いです。

つまり、ハッキリ言って美味いです。

しかし、この美味さが地元ウケしませんでした。

コシヒカリを食べ慣れた新潟県民は、新之助の濃い味や、慣れない食感に違和感を感じ、

『コシヒカリの方が美味い』

って感想が溢れました。

一時期、新潟県は新之助をドンドンと売り出しましたが、新潟県民のウケはあまり良くなく、自分が美味いと思うものを人には勧めない事もあり、さらに、値段も高い事から、なかなか売れ行きは進まず、いつまでたっても、コシヒカリには勝てませんでした、

でも、これ、
単純に美味いと思うのです。





卵かけ御飯なんて、大粒の新之助にはかなりの高相性だと思います。
おにぎりも旨し!

じゃあ、なんで流行らないの?



ある日、ビールを飲んでました。

いやー、やっぱりスーパードライは美味いな。スルスル入ってく。




ある日、ビールを沢山貰いました。
エビスビールでした。

うん。エビスは濃い!高級な味がする。
特別な日の1杯目はエビスだな。




でも、濃いせいか毎日は飲めないかなー。


ん?
待てよ。

これって、コシヒカリと新之助の関係に似てないか?

コシヒカリは食べ慣れてる。
だから、毎日食べても美味いし、飽きない。

新之助は、美味いんだけど、食べ慣れないせいか、毎日は食べなくても良いかな?


そうか!
新之助はエビスビールみたいなものなんだ!

って、思ったのです!

そうです!
毎日食べなくても良い。
でも、特別な日、食べたい時に食べれば良いという立ち位置に気が付きました!


その思惑通り、最近では新之助がお米屋さんでは引き合いになっていて、在庫は新米取れるまでに無くなるそうです。





新米が採れたばかりの今一番美味しい時期。
秋の味覚と新之助とエビスビール。

たまには贅沢してみませんか?



もち米『こがねもち』の籾摺り

2021-09-11 17:45:00 | 日記
もち米の稲刈りが終了し、籾摺りと選別作業が始まりました!


と、その前に。

こがねもちとは、どんな米か紹介します!



餅になります!
(超シンプル!)




いや、もち米は数あるんですけど、こがねもちは、純粋に餅に食べるのが美味いんです!
他にも我が家では『わたぼうし』というもち米も生産しておりますが、ほとんどが某有名製菓会社の原料に使われていますが、こがねもちは餅用に出荷します。

それでは、籾摺り、選別作業を見ていきましょう!


まず、刈り取られた米は、乾燥機にて適正な水分量まで乾燥させます。

それを調整機と呼ばれる、米を皮むいたり、ある程度ザックリ良いものと悪いものを分ける機械にかけていきます。



ガサガサと上下左右に振動をかけて、分けていきます。

それが今度は網目をかけて、未熟な米と大きさがしっかりした米にふるいをかけます。


網目から漏れた米は、それを専門に引き取る業者へ行きます。




そこを通り抜けた米は、さらに細かく、良いものと悪いものを分ける、色彩選別機、いわゆる『色選』にかけていきます。


異物や虫被害の米を一瞬で仕分けるこの機械。
200万位します。
それでも、綺麗な米だけをお客さんに届ける為に必要な設備であります。




そして、完全に仕分けられた綺麗な米が、袋に詰められていきます。
これも自動で30キロずつ袋に入ります!



そして、出来上がった30キロの米袋の口を縛り、パタンと倒すと…




機械が手元まで持ち上げてくれます。

これは地面から持ち上げる腰の負担を少なくする『楽だ君』という便利な機械になります。

ちなみに、我が家ではこれが2台目。
1台目は子どもたちが遊んで上に乗って持ち上げられてたところ、モーターから白煙を上げて壊れました。

35キロまで持ち上げる所、ウチの双子が同時に乗って壊しました。

子どもたちが大人になって給料もらうようになったら、請求しようと思います。

そんな、稲刈りから何工程も経て皆さんの所へお届けになります。


米という字を分解すると、八十八になりますが、米作りには88回の行程で作られる事からこうなったという説がありますが、現代農業では、昔に比べて機械化で便利になった分、88回以上の手間をかけてるかもしれませんね。

現在、全国的に米が余って、価格は暴落しておりますが、米農家はそれ以上に経費をかけて米作りをしています。

日本の全ての人が1日一食だけでも米食にしてくれるだけで、ずいぶん米農家の収入は安定してくるのですが、消費者任せではなく、我々農家も、毎日食べたくなる製品作りをしていかなければならないとも思っています。

新米の季節です。
どうか、感動的な新潟米の美味しさを全国の皆様に堪能していただきたいと思います!










さつまいもの葉っぱ

2021-09-10 18:34:00 | 日記
今年から初めてさつまいもを作ってます。

品種は、ひめあやか、紅あずま、パープルスイートロード、太白と、間違って補充したハロウィンスイートを育ててます。

ご存知、ツルがたくさん伸びて、この種類が入り混じってる所で、ある発見をしました!

イモ界では常識な事かもしれませんが、葉っぱの形が似てるけど違うって事に!

紅あずまは、


綺麗なハート型。

ひめあやかは、





ちょっとトゲを持ったような葉っぱ

パープルスイートロードは、





なんか、もっとツンツンな感じ。

太白は、

これまた紅あずまと同じく綺麗なハート型。


つるの色はみんな違うし、土の中のイモも形や色、味が違うけど、
葉っぱの違いは初めて知ったなぁ…
(さつまいも界では当たり前かもしれないし、間違っていたらすみません!)

てか、イモの事、初めて育ててみて、面白いなぁ…っと思いました!

さつまいも農カフェきららのYouTubeは、私が撮影、編集しておりますので、今までのイモ愛の無さをご覧頂けると励みになります!





農産物の値上げ、その裏で農家は…

2021-09-02 12:29:00 | 日記
今日、テレビ観てたら値上げの事を特集してました。
特に野菜が今高騰してるらしくて、家計を圧迫してるとか。

世界的な天候不順で高騰しているそうです。

毎年毎年、こんな事が続いて、どうなっちゃうんだろう…
誰も何も食えなくなるわ。

安定して、安心して農作物を作れる日はまた戻ってくるのか…?


私の方でも、米、野菜は作っていますが、今年の米!
逆に大幅に値下がりしました。

原因は米の大量在庫。

米の消費が落ち込んでいる事から、農協の買取価格が下がり、米メインのウチにとっては、収入にはさかなりの大打撃になります。

いいものがいっぱい取れれば、需要が無いと余って値下がり。
天候悪くて、あまり取れずに、しかも品質が悪いと値下がり。

大豆なんて、良品の豊作でも、業者は等級が良くて値段が高いのは買わないから、品質が悪くて安い、いわゆるB品を必要としているので、あまり良い大豆がたくさん取れると逆に困る、と聞いた事もあります。

なんなんでしょうね…

良いものを沢山作れば値を下げられ、悪いものしか出来ない時も値を下げられる。

農家は良いものを沢山作れるように努力してるのに、その反対の事が求められている事に違和感を感じます。

そして、私のような小さい農家は、野菜等の不作は不作で片付けられ、不作だからといっても値段が上がるような影響力は無い。

どっちにしろ、不利な状況が続いています。

ずっと、農地の規模を拡大しなきゃいけない、従業員を雇って大きくしていかなければならないと思ってたけど、こんな状況では、攻める事は出来ないし、もっと言えば、本気に進退を考えなきゃいけないと思いました。


…と思ってた毎日でしたが、昨日、最近交流のある、とある社長にこう言われました。



『勝ち組じゃなくて価値組』
『農業じゃなくて能業』



今ある農地を広げるのではなく、今ある農地を価値あるものにし、持ってる能力を活かして経営していく事だと教わりました。




最近、ドンドン周りの米農家が農地拡大を進めて大きくなっていって、正直焦っておりました。

早く個人農家の仲間で組んで法人を建てようかとか…

しかし、その社長との話をしているうちに、今ある農地を維持しつつ、中身のある、価値のある農業経営をしていくべきだと思うようになりました。

そして、ここだけの話、
その社長のやっているNPOに所属して、我が家の農業を現状維持で継続しつつ、地域の町おこしに協力して、新しい観光農園などのワンダーランド構想による、新しい農業経営に参画し、挑戦する事を検討しています。
利益無きものに町おこしはあり得ないという考え方も同意しました。

米価の下落の不安、総合的に見た農産物の価格への不満、収入…
さまざまな焦りを抱えていた私にとっては、色々と肩の荷がおりる提案をしていただき、これは大きなチャンスだと捉えています。

その進捗などは、このブログだけでひっそりと進めていければと思ってます。






グッドライスフィールド

2021-08-27 13:07:00 | 日記
俺が自動車屋を退職し、農家になった頃、地元の若い農家の皆さん(先輩方)に不穏な動きがありました。

「与板にもだんだん若手が農家を継ぐ為に戻ってきた。ここ(与板)には農協の青年部も無いし、グループも無い。このままただの地域農業で終わらせて良いのか?いや、若手がこの地域を盛り上げていかなきゃならない。今こそ、若手の農家グループを作るべきだ!」

と、ある兼業の農家さんから声が上がりました。

すると、農協に勤めながら自分でも農作物を作っているTさんが俺の所へやってきて、


「この与板で若者農家だけでグループを作ろうと思ってる。もし、それを作ったら入ってくれないかな?」

と言われ、まだ右も左も農業の事わからない自分にとっては、横の繋がりはありがたい事で、

「仲間に入れてもらえるなら喜んで!」

と、即答。

その数日後、地元の割烹にてメンバーの顔合わせがありました。

ほぼ同年代のメンバーが、俺を含め7人。

初めて会う人や、元々昔から農家だと知ってる人も。

その日は飲みながら与板の農業について熱く語ったのですが、いっぱい飲んだからあんまり覚えてない(笑)

ただ、熱い人たちだなっていうのだけは覚えてます。


その後も何度か飲み会があって、農協からも支援があり、正式に会として発足する運びに。

さて、会の名前は何にするか?


色んな意見が飛び交いました。

『与板若手生産者の会』
若手と言ってもネーミングからして年寄りになっても若手って言い続けるような痛い名前じゃね?

『くろんぼ族』
みんな日焼けしてる顔から連想した名前だけど、色んな方々から批判が出そう。

いや、もっとさ、
カッコよくて意味のある名前にしない?

カッコいいというと、やっぱり英語かな…

与板を英語にするとか!

『ギブプレート』


何の会なのか全くわからん。

あーだこーだと話をしている最中、俺がスマホで色々と調べていると、ふと打った文字『よいた』が自動変換で、『良い田』と出てきました。


良い田…
確かに町の名前と、田んぼの良いことを表現するにはいいな…

これ、英語にしたらどうなるんだ?

良い…good
田んぼ…rice field

good rice field

おお、良いんじゃね?カッコいい!
意味もある!

全員一致で決まりました。
これがスタートとなりました。


新聞にもちゃんと取り上げてもらいましたし、


地元の広報誌にも出ました。
(全部同じ写真)


ロゴもデザイナーにお願いして、いくつか案が上がってきた中にあったデザイン。


全員が稲作農家なので、米粒をあしらい、その中に稲穂。

ロゴ色は、与板の殿様だった牧野家の家紋、橘(たちばな)になる実(ほぼみかん)の色で、町の色でもあるオレンジ色。
※与板中学校はこの色



活動のメインは、地元のイベントへの出店や、








自分たちで作った与板農作物のPRで県外に行く事だったり、小学校の子供たちへの農業授業だったり、




そんな色々な活動を地元でやっております!






これ以上書くと、一冊の本くらいになりそうなので、このグッドライスフィールドについては、追々紹介していけたらと思います!