一庵 (ひとつあん)

飛べないライター『いたっきい』の愚行をさらしています。

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もてぎレポート 11/04 (アエロバティックス)

2006-11-04 | 旅行・見学

 

11月4日。
今日は決勝1日目です。
アエロバティックスの順位は、今日(決勝1日目)と明日(決勝2日目)の、どちらか得点の高いほうできめます。 
では、そもそもこの得点をどうやってつけているのか、それをまず説明しましょう。

この競技は、正式にはアーティスティック・クリエイティビティ(=フリー・スタイル)と呼ばれます。
これはスケートのショートプログラムに近いもので、
1.技術点 (どれだけ複雑な技を、正確に行えるか)
2.芸術点 (3分30秒~4分の音楽に、いかに合わせたフライトができるか)
3.空域 (1000mの立方体の空間をどれだけ有効に使えるか(空域をはみ出すと減点))
で決まります。
この競技に得点をつけるジャッジは5名。一人のジャッジの持ち点は4000点。
一番高い得点と一番低い得点をつけた2名をのぞく、残り3名のジャッジのつけた点数を合計します。
この内容を見てもわかるように、この競技はほとんど“空中のフィギュアスケート”なのです。

競技の順番は、特にありません。
パイロットたちが朝のブリーフィングで喧々諤々の大騒ぎをしながら決めているようです。

 

本日最初に演技したのは、もてぎ初参加のマイク・マンゴールド選手。
使用機種は、EXTRA300Sです。

彼の演技は、小柄で機体の断面積も小さいエクストラらしく、高速を維持したまま大きく空域を使うのが特徴です。また、エクストラお得意のジャイロ系マニューバを多く取り入れ、もてぎ特有の様々な障害物も気にすることなく演技していました。
本当に初参加とは思えないくらいの大胆な演技で、大胆すぎて観客席真上まで入り込んでしまったり、最低高度の規定30mを下回る高度まで降りてしまったりして、得点をどーんと下げてしまったくらいです。
・・・見ているぶんにはそちらのほうが面白いのですが。

 
 演技後、手を振りながら通過するマイクのEXTRA300S
 EOS20D+100-400IS   400mm TV 1/200s f16 EV+0.3 

つづいてミハイル・マミストフ選手。
正確な演技には定評のある彼ですが、音楽に合わせて“踊る”というフリースタイルはどうも苦手らしく、もてぎで初参加となった2000年は9位。しかしその後頭角を現し、2001年は4位、2002年は3位と、成長著しい選手でもあります。
航空界では飛行時間の長さが技量をはかる指標とされますが、彼の飛行時間は今回参加の選手のなかでも最も短く、そのぶん荒削りといえるでしょう。
ちなみに今回の参加選手中最も若い(41歳)選手でもあります。

今回の大会では乗機をこれまでのSu-26からSu-31に変更して挑みます。
最近この新しいスホイを受領したところで、まだその特性にも慣れていないということですが、正確なクラシックスタイル・マニューバの合間にジャイロスコピック・マニューバを取り入れたキレのある動きは健在で、いたっきいがこれまでに見た彼の演技のなかでは最高のものに仕上がっていました。

 
 演技後、スタンド前を通過するミハイルのSu-31M
 EOS20D+EF100-400IS   400mm TV 1/160s f25 EV-0.3

次はビクトル・チュマル選手。
乗機はSu-26です。
この機体には、Su-26という優れたアクロバット機がソビエト連邦製であることを誇示する“BORN IN USSR”の文字が大きく描かれています。
実際、Su-26が登場した瞬間、「それまでのアクロ機がすべて過去のものになってしまった・・・」と言われたほどショッキングだったそうで、それほど誇り高き機体なのです。

 
 演技後、スタンド前を通過するビクトルのSu-26
 EOS20D+EF100-400IS   400mm TV 1/320s f11 EV+0.3

ビクトル選手の演技は、他の参加者と異なります。
それは、ジャイロスコピック・マニューバをあまり使用しないこと。
ジャイロ系マニューバは最小限にとどめ、頑なまでにクラシック・スタイルを貫きます。
その代わりスホイにしては速度が早く、またロールもクイックでキレがあり、技量の高さでカバーしている・・・そんな印象です。

次は再びエクストラ使いの選手の演技がはじまります。
まずはピーター・ベゼネイ選手。
ユルギスと並んでファンが多い選手で、もてぎの常連。・・・ちなみに一週間前いたっきいをひき殺しかけたです。

ピーターの演技は、最初から最後まで速度が衰えないのが特徴です。それだけエネルギーの使い方がうまいということですが、その苦労を感じさせない優雅さもあわせ持っています。
また、ジャイロ系の動きが多く、使用する音楽の“サビ”の部分にうまくジャイロの動きを合わせるのが印象的です。音楽とのマッチングだけを見るなら、彼が最も優勝に近いでしょう。毎年その思いは変わりませんが、今年もご多聞?に漏れず、見事な音楽との調和です。
彼の、ガイコツのように細い体のどこに機体を振り回すパワーとスタミナがあるのか?・・・そう思わずにはいられないほど休みなく機体を振り回し、観客があっけに取られている間に演技が終了します。

 
 演技後、手を振りながら通過するピーターとEXTRA300S
 EOS20D+EF100-400IS   400mm TV 1/320s f7.1 EV+0.7

つづいてクラウス・シュロット選手。
いたっきいが一番応援している、最高齢(60歳)の選手です。
彼の乗機はEXTRA330L。
ピーターの乗るEXTRA300Sを複座にした機体で、パワーは300Sより30馬力アップの330馬力です。300Sと330Lは機体の寸法は同じですが、330Lのほうが安定志向に振ってあるとのことで、どうやら機体の限界近くでのフライトは300Sに分があるようです。

しかしクラウスの動きは、そのハンデを感じさせないものでした。
むしろ30馬力のアドバンテージをうまく活用している感があり、縦の動きを多く行っていました。
また、プロペラの反トルクを利用したクイックロールのロールレートは参加選手中随一のもので、まっすぐ飛んでいた機体が左翼端を中心に一瞬でクルッと回る様子に、観客からもどよめきがおこっていました。

 
 手を振りながら通過するクラウスとEXTRA33OL
 EOS20D+EF100-400IS   400mm TV 1/320s f10

最後は、お待ちかね?ユルギス・カイリス選手。
日本では最も人気のある選手です。
乗機は、チーム・ディープブルースの室屋さんのSu-26MX。日本の航空ショーで有名になりつつあるこの機体が、もてぎの空を飛ぶのは実に刺激的です。

フライトは、驚愕の一言に尽きます。
毎回、これだけで得点の半分を稼いでいるのではないか?と思う、カイリス・ホイールからスタート。
1000mの上空から地上に向かって、毎秒2回転近く回りながら逆落としに突っ込んでくる様子は、観客に驚きと歓喜と恐怖を与え、どよめきとも悲鳴ともつかない歓声がスタンドわき起こります。
とんでもない速度で地上に向かう彼のスホイ。その回転が一瞬でピタリと止まり、そのまま背面で引き起こしをかけるとき、彼と彼の乗機には実に-7Gという信じられない荷重がかかるとのこと。。。この加重では頭部に血液が集まり、目の毛細血管が破れて視界が真っ赤に染まる“レッドアウト”がおこるはずですが、あとで彼の目を見てもピンクに染まっていません。
彼は本当に人間なのでしょうか?

演技の中盤は、ジャイロ系のマニューバを取り入れ、後半にはスモール・ループやコブラなどの、言うなれば“ホバー系マニューバ”を積極的に行い、技術点と芸術点を稼ぎます。
観客の誰が見ても、優勝はユルギスで決まりだとわかるほど、他の選手を凌駕したフライトでした。

蛇足ですが、この日に室屋さんに「ご自分のスホーイを地上から見ていてどう思われましたか?」と尋ねたところ「・・・いやあ・・・よく動くもんだな・・・と。。。」とおっしゃっていました。

 
 演技後、スタンド前を通過する室屋ユルギスのSu-26MX
 EOS20D+EF100-400IS   260mm TV 1/200s f16

決勝1日目の結果は次のとおり。

1位 ユルギス・カイリス 10230
2位 クラウス・シュロット 9450
3位 ピーター・ベゼネイ 9430
4位 ビクトル・チュマル 9325
5位 ミハイル・マミストフ 9185
6位 マイク・マンゴールド 8425

結局、ユルギスのぶっちぎり。1万点以上の得点をたたき出し、文字どおり圧勝しました。
明日の決勝2日目も、順当にいけばユルギスの勝利は間違いないでしょう。
しかし、2位以下はまったく予想ができません。
ちょっとのミスがあれば、あるいは今日あったようなミスが一つなくなれば、あっという間にひっくり返るほどの差しかないからです。最下位だったマイクにしても、空域をはみ出すというミスがなければ何位に入っていたかわかりません。
明日の決勝2日目が楽しみな展開になってきました。

 

競技が終了したあとは、マタドールズの2機によるデモンストレーションフライトが行われます。
本来、アエロバティックスはソロ(単機)とフォーメーション(数機によるチームフライト)の二つに分けて行われますが、今年のもてぎにはマタドールズ以外のフォーメーションチームが参加しなかったため、競技が成立しないのです。
そこでマタドールズは、デモンストレーションフライトと位置づけたフライトを行いました。

キレのある動き、タイトな編隊。2機一組で、あるいは単機で演技を繰り返し、いったん分離した2機がジョインナップするタイミングも完璧。最初から最後まで惚れ惚れさせる演技を見せます。
音楽のチョイスも的確で、幻想的で美しい音楽と演技に、かえって観客席が静まりかえってしまうほどでした。今回のもてぎで、最も株を上げたのは、競技に参加しなかったマタドールズではないでしょうか?

 
 スタンド前で演技するマタドールズのSu-26M2
 EOS20D+EF100-400IS   400mm TV 1/1250s f9

特筆すべきは、今回のもてぎで「思いつきでやってみた(ポール談)」という、左右逆にサイドスリップさせたままスタンド前をローパスする演技。
これは連日行われましたが、観客も「なんじゃありゃ!?」と驚く動きでした。(下写真)
技としてはそう難しくない?のですが、それを2機が組み合わせるだけでこれほどまでに見応えが出るものなのかと感心しました。おそらくこれからの彼らの定番フライトとなるでしょう。
いやあ、いいものを見ました。

 
 スタンド前で演技するマタドールズのSu-26M/M2
 EOS20D+EF100-400IS   220mm TV 1/320s f16

 

 

 

■おまけ

 期せずして?流し撮りが多かった、もてぎ展開3日目。
 ついで?ですから、ほかの流し撮りの写真も載せておきましょう。

 
 航空自衛隊松島基地 ブルーインパルスJr.の演技
 EOS20D+EF100-400IS   400mm AV 1/100s f11

 
 こうすれば速度感が出たかな?
 EOS20D+EF100-400IS   190mm AV 1/100s f10

 
 ブルーJr.のナレーター、女装のかずりん
 EOS20D+EF100-400IS   400mm TV 1/160s f9

 

 

 

 

 

 

 

 

 来年は原付ではなく本物のブルーイン
 パルスのフライトが見られるといいなあ。

 

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7 コメント

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Unknown (ichirou)
2006-11-08 18:58:45
今回、自分にとっての好感度№1はクラウス・シュロット氏でした。

ガーデンウォークでの気さくさも最高です。

次回はテラスで感染…いや観戦致しましょう♪
ありがとうございました。

Unknown (仮眠ライダー55)
2006-11-09 23:14:10
どの機体も鮮やかでかっこいいですね!
観客の方達の興奮振りが感染しそうです☆

ユルギスさんは本当に超人(鳥人)ですね、飛ぶために生まれてきたような方なんでしょうね。
それに選手の方達の年齢が思っていた以上に高いことに驚きました。尊敬してしまいます。

マタドールズの迫力の演技も見てみたいな。来年は観戦したいです☆

それにしてもブルーJr.のかずりんの笑顔、ラブリーですね。ファンになりそう☆
私も行ってきました (Tokutaro)
2006-11-10 22:45:13
ども!いたっきい殿。
私も3日4日と茂木に行ってました。

最近急速に空自の航空祭に魅力を感じなくなっている私としてはGoodな企画です。

ジャンバー、キャップ、Tシャツ、DVD、キーホルダー、etc.と色々買いあさり、帰りにはスッカラカンでした(汗)

5日は折角はるばる関東まで来たので靖国神社に参拝し、零戦52型などを見て連休を締めくくりました。

連休中に撮った写真750枚!チェックが大変です。

ってか2日ってどうやって入場するんですか?
チケットとかは当然無い訳で…。



流し撮り天国 もてぎ (いたっきい)
2006-11-11 23:18:13
11月5日分の更新が遅くなっております。
実は動画を載せようとあくせくしてまして。。。
でも、解決しました。しばしお待ちください。

■ichirouさん
クラウス・シュロット選手に目をつけるとは、なかなか“通”ですね。
彼は3日のフライトガーデンでヒマそうにしていましたよ。あんなにいいおっちゃんなのに・・・
どこかに書きましたが、私も彼が一番好きです。彼は「エアバスで宙返りするのが夢なんだ」とのたまっていらっしゃいましたが、そんなニュースは聞いたことがないので実現しなかったんでしょう。
ichirouさんも立派なアエロバティックス中毒ですね。
来年はVIPテラスで感染しましょう。

■仮眠ライダー55さん
どの選手も人間離れしています。室屋さんが普通の人に思えてきたくらいに。。。
この世界は、センスというものもあるでしょうけど、なにより飛行時間がモノをいいます。若い選手も当然いますが、このレベルに達していないのです。室屋さんも、見るたびに腕が上がってきていますので、あと10年ほどしたらこのレベルに到達するかもしれません。オートボルテージュに日本人パイロットが参加する日が来たらうれしいですね。
マタドールズは、今回一番すばらしい演技を見せてくれたと思います。彼らの技量も、3年前の“もてぎ”より格段に進歩しています。
来年も楽しみです。。。

■Tokutaroさん
え!行かれてたんですか!?
あらま。tokutaroさんとは一度お会いしたいと思っていたんです。。。でも、いずれどこかでお会いしそうですね。(^_^;
いたっきいも空自の航空祭に飽きてきたクチです。基地ごとに特徴はありますが、やることは毎年ほぼ同じですし・・・決定的だったのは、8年前に但馬でアエロバティックスを見たことでした。一発で感染しました。あれは空気感染しますね。

ジャンバー(9800円のやつ)、キャップ(FAIのロゴの入ったキャップは200個限定でした)、Tシャツ(wanna fly?)DVD(HAUTE VOLTIGE)はいたっきいも買いました。グッズが過去になく充実していたのも今回の特徴ですね。あと、入場料金がこれまでに比べて大幅に値上がりしていましたが、観客数は過去最高でした。アエロバティックスもお金の取れるイベントに成長しています。

サーキットは何もイベントがないときは、安く入れます。ツインリンクもてぎの場合、平日の入場料は1人1000円(ゲートで直接支払います)で、ガランとした観客席に自由に座れます。駐車場は無料、売店も開いています。イベント直前は観客もいないため、自分のために飛んでくれているようで気分がいいですよ。わずか20人ほどの観客のためにわざわざローパスしてくれるパイロットたちのサービスがたまりません。時間が許せば来年にでもお試しください。

・・・それにしても、靖国とは・・・(^_^;A
いたっきいも東京に転勤して最初に行った場所だということを思い出しました・・・
靖国の件 (Tokutaro)
2006-11-12 01:13:58
私的参拝です。ご了承ください(笑)
まるで… (ichirou)
2006-11-16 11:06:47
クラウス・シュロット選手に関して追伸です(笑

操縦桿を握ってローパス姿がまるで庭先をワーゲンで通り過ぎてるかのように見えたのです。余裕というか魅せるっていうか凄い物を感じた訳です。そしてあのサイン会場での気さくさ。

すっかりおっちゃんの飛びに恋してしまいました
成田航空科学博物館 (NAEMIKUWA)
2018-02-14 08:47:47
いたっきい殿 こんにちは
オートボルテ−ジュが大好きで、マタドールズ・ベゼネイさんから、もちろん今はエアレースを応援しているものです。
昨年はとうとう室屋さんが年間チャンプ、この頃から追いかけていた者としては感動よりまさに驚嘆でした。

成田にある航空科学博物館で航空アート展という写真展示をするというので見に行ってきました。
写真展自体はものすごく小規模で残念でしたが、その中に唯一モテギの写真があり、機体にswatchの名前が入ったEXTRAでした。
パンフレット等を見直しましたがこの機体はみつからず、非常にモヤモヤしています。
もしご記憶がありましたらどうか詳しい情報をお聞かせいただきたく、よろしくお願いいたします。

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