一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

83   粕汁の煮こぼれ跡の厨かな   疏水

2010年12月03日 | 

粕汁は、歳時記には「味噌汁に酒粕を入れたもの」とあるが、もう少し広義に解釈して、単に「酒粕を入れた汁、又は鍋」で良いだろう。寒い日の粕汁は、とても体が温まる。

 

さてこの句は、台所に粕汁の煮こぼれ跡があった、と唯それだけのことを言っているが、この煮こぼれ跡には、師走の主婦の慌しさがあり、満腹感と共に何とも言えない空虚さを感じさせる。物事には、必ず表裏があり、陰陽があるが、この句は陽の食事に対して、陰の舞台裏の句と言える。

 

妻俳句の得意な作者であるとなれば、この句は妻へのいたわり、優しさの句と言っても言い過ぎではないだろう。作者が「ご苦労さん」と呼びかけている、実は愛妻俳句なのだ。そういう風に考えると、この句を流れているそのこころは「陽」なのである。

 

 

  

 

 


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