(ちきのごと かわすあいさつ かんすばる)
「知己」とは、本当の己を知っている人、つまり大親友のこと。ところでこの句は、二つの解釈が成り立つ。
1 ある人と、知己のごとく挨拶を交わしたが、彼とは知己ではない。
2 知己のごとく、私は寒昴と挨拶を交わした。
当然、正解は2に決まっている。枕草紙にもある「星はすばる」多留男先生の少年時代は、昭和一ケタだから、空には満天の星が見えたはずだ。
又、軍医として出征したビルマでも眺められたに違いない。久し振りに「すばる」に出会い、「やあやあ寒昴君、子供の頃を思い出すよ。俺は元気でやっとるよ」そんな会話が聞こえてくる。