一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2202  髭剃りの鏡横切る初燕  豊春

2021年05月10日 | 投稿

 初燕は三月頃南から渡ってくる。歳時記には「今年初めて見る燕のこと」とあるが、私の感じではもう少し後の季節感である。今年、まだ私は見ていない。青葉の美しい頃、颯爽と飛ぶ燕を見ると元気を貰える。今日一日、楽しくすごそうと思う。

 この句、作者は毎朝きちんと髭をあたる紳士と思われる、明るい窓を背に鏡に向かって、真剣に髭を剃る。女が化粧をする時と同じだ。その鏡に一瞬、黒い直線が横切った。「初燕」だ。もうそんな季節なのだ、と思う。こんな句の説明など必要ない、パッチリと写真で切り取ったように視覚的でわかりやすい句だ。見事だと思ったのは、剃刀と燕に共通する鋭さと、朝の空気の爽やかな冷たさが共鳴しあっているところだ。(薪)

ヤマツツジ((山躑躅)

コメント
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