21時前、自宅までもう少しというところで、道を歩く鹿に遭遇。
あわてて車を止め、カメラを取り出す。
「ネタやがなネタ」、とシャッターを押したが、「カードがロックされています」。
よりによってこんな時に、「なんちゅうこっちゃ」と舌打ちし、急いでカードのロックを外すが、くだんの鹿はまだ逃げない。
いや、逃げないどころか近づいてくるではないか。
そして、我が愛車マルモッタン号の前まで来て止まり、
例の斜め後ろを見ながら小首をかしげる鹿ポーズ。
なんでも聞くところによると、
人に追われたことがない鹿は「逃げない」のだそうだ。
人間を怖がらない野生に、少しイラッとする私。
なんとなれば、柚子農家たる私(たち)にとって、鹿の食害は深刻な問題である。
かといって、この肉付きのいいオスに、車をぶつけてとって食おうというほどの野生は私にはない。
(いるんですそんな人がホントに)(別に悪くはないけどネ)
とかなんとか思いながら数分、「もういいいかい?」とでもいうように、
おもむろに山へと歩き出す鹿。
もちろん人間様の勝手ではあるが、これほど堂々とされた日には、
「なにをこしゃくな」てなもんである。