答えは現場にあり!技術屋日記

「三方良しの公共事業」をモットーに、辺境の高知のそのまた辺境から、土木技術者のオジさんが泣き笑いの日々を届けます。

Aさん

2018年09月11日 | 土木の仕事

日曜日、わたしは休みをもらったが、緊急工事現場は稼働中。

「写真を送ったんでちょっと見てもらえませんか?」

小崩落発生の報が画像データとともにスマホに送られてきた。

現状を聴き、「とりあえずどうするのか」と訊ねたら、悪天候でもありいったん作業を中止して、「またあした仕切り直す」と言う。「それがいい、そうしよう」と返事をして電話を切った翌日、本社でデスクワーク中、また画像データとともに崩落の報。

「で、どうする?」

「・・・ってみます」

「それでいこう。たのむわ」

とりあえず結論が出たと思うまもなく、また一報。今度は電話のみだ。

「ちょっと見に来れませんか?」

「よっしゃ了解」

40分ほどクルマを走らせ、そこから徒歩で約20分、山の上の現場へとたどり着く。あがった息を悟られないよう、皆の前に出るまでしばし休憩。息をととのえ、涼しい顔をして現状を確認する。

「こりゃチト厄介だな」

内心そう思ったが、こんなときに感情をたかぶらせてみてもよいことは何もない。感情を落ち着かせ、善後策を考え、

「・・・ってみないか?」

数人としばしやり取りをしたあと、

「ところで・・・」

とおもむろに問いかけてみた。

「こんなとき、Aさんだったらどうしたと思う?」

今は亡きAさんはわが社のレジェンド。誰が呼んだか「ゴッド・オブ・ドカタ」。特に、この手の仕事となれば、他の追随を許さなかった。幾多の修羅場をいっしょにくぐらせてもらいさまざまなことを身をもってレクチャーしてくれた師匠だ。このとき現場にいたメンバーのうち、彼の現役時代を知っているのは2名。その両名ともが口をそろえて、

「やっぱり、・・・ってみたでしょうね」と返答する。

「笑って?」

とわたしが問い返すと、

「そうそう」

と一同顔を見合わせ、往時を思い浮かべて大笑い。

「よし、・・・ってみよう。今日はとりあえず中止してあしたからの準備や」


一夜明けた今朝、『寿建設社長のブログ』にこんな言葉が載っているのを発見。

・・・・・・・・・・・・・

「道路は安全で、雪が降っても除雪されているのが当たり前だと思っていた。どこかの誰かがつくり、補修してくれていることは何となくわかっていたが、実際にどのように陰で支えてくれているかということは想像もつかなかった。
(略)
 どの現場でも、1つとして欠かせない大事な作業を怠ることなく、しっかり向き合っている。体力、精神力、頭脳のすべてが必要な仕事だと思う。」

・・・・・・・・・・・・・ 

当ブログでも何度か紹介した写真家山崎エリナさんが日刊建設通信新聞のインタビューに応えて、建設業について語ったものだ。→ 『【アウトサイドeyes】業界外の人たちにはどう見える? 写真家・山崎 エリナさんから

読むなり思わず笑顔があふれてきたわたし。

そういえば・・・今回のような場面に遭遇した場合、数年前までなら、必要以上に肩にチカラを入れ、いたずらにヒロイックになり、むやみに悲愴感を漂わせ、事にあたっていたわたしだった。それでは、「体力、精神力、頭脳」をフル動員させることはできないにもかかわらず。ヘタをするとそれがカッコいいと考えていた気配すらある。

それに比べ、Aさんはちがった。思い起こせば、Aさんが悲愴感を漂わせているのを見たことがない。それは、ことが大ごとになっても修羅場になっても変わることがなかった。当時、周りの皆が彼に寄せた信頼、その第一は実績と能力に対するものだったのだろうが、その信頼の根源は、あのポジティブな言動と構え、そしてそれを端的にあらわす「笑顔」にあったのだと、わたし自身の齢(よわい)が耳順(じじゅん)を過ぎた今、そう思う。

今も、これから先も、ことドカタに関することであれば、彼の技能と技術には足元もおよばないヘタレなわたしだが、さあ、「体力(には?がつくが、そこは若い衆に補ってもらうとして)、精神力、頭脳」(プラス「経験と勘」)をフル動員させ、笑顔でたたかってみるとしよう。

でわ (^_^) 




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