答えは現場にあり!技術屋日記

「三方良しの公共事業」をモットーに、辺境の高知のそのまた辺境から、土木技術者のオジさんが泣き笑いの日々を届けます。

東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣が「震災被害について事実誤認の発言」をしたというニュースを読んで考えた。

2019年03月25日 | オヤジの情報発信修業

「東日本大震災のときは東北自動車道が健全に動いていた」という旨の発言を、例の東京オリンピック等担当大臣がおっしゃったとか。

そんな新聞記事を読むなり「あゝ」と嘆息。

ずっと腹の調子が悪くてメシもろくに食えず、やっとこさっとこ気力を奮い起こしながらだましだましで乗り切った先週が終わり、「さあやるぞ」と気合を入れたとたんのバッドニュースに、なんだか暗澹たる気分になってげんなりしてしまった週初めの朝だった。

あの方についてとやかく非難することは避けたい。論評に値しないとだけ言っておく。

わたしがげんなりしてしまったのは、その発言をそこだけのもの、つまり大臣として適格であるかどうかとか、また政治家としてどうかの問題としてだけには受け取ることができなかったからだ。

いわずもがな、8年前のあのとき、東北自動車道のみならず各地の幹線道路が機能しなくなったのは、誰もがあまねく周知の事実である。日本国民すべてが共通の了解事項であると表現してもなんら差し支えがない。

と、今の今まで思ってきたが、ひょっとしてそれはそうでもなかったのではないかという疑念が、わたしのなかでむくむくと湧いてきた。

 

わたしが拙講で「建設業者からの情報発信」の必要性を説くときに必ずといっていいほど使わせてもらうグラフがある。日経コンストラクションが震災の翌年である2012年冬に実施した意識調査で、「東日本大震災の被災地支援で、より大きく貢献したと思う団体・組織などはどこか」という質問に対する回答をまとめたものが下のグラフだ。

まず建設業界以外のいわゆる一般の回答を集計したものでは、

 

 

建設業界は8番目に位置している。

次に業界人の回答では、

 

 

自衛隊についで2番目だ。

自衛隊の1位は衆目の一致するところだとして、建設業に対する評価のこの差はなんなのだろう。

結局のところこのグラフは、わたしたちがいかに情報発信をしていないかということを端的にあらわしたものだとわたしは思う。残酷すぎる結果だが、これがわたしたちが置かれている現実だ。 

今朝、くだんの大臣の発言を知るなり、わたしのアタマのなかにあらわれたのがこのグラフだった。そして、むくむくと湧き上がった疑念。知らない人がいるのではないか。そしてひょっとするとそれは少なくはない。東北自動車道をはじめとした道路が健全であったという認識があるとすれば、当然、まず「いの一番」にその応急復旧に奔走し、あとへつづく自衛隊、消防、警察などなどが使う文字どおり「命の道」をつくった無名の「土木の人」たちの存在もなかったということになる。

だとすれば・・・・

いったいどう考えればいいのだろう。

本当に、たったひとりのダメ大臣が放った失言だけの問題なのだろうか。

 

♪ だけど俺たちいなくなりゃ

ビルもビルも道路もできゃしねえ

誰もわかっちゃくれねえか ♪

 

 

岡林信康の歌声が脳内に響きわたる。

そう愚痴りたい心持ちはよくわかる。

だが、やはりわたしはこう答えるしかない。

「わかっちゃくれねえんです」と。

ただしカッコつきである。

「(自ら情報を発信しないかぎり)わかっちゃくれねえんです」と。

 

東日本大震災から8年、このあいだ、列島をあいついで襲う災害によって、それに対応する建設業者の存在が認知されてきたと言う人は少なくない。

「風向きは変わった」と断言する人も多い。

だが、誤解をおそれずにわたしは、「そんなことはない」と言い切ってしまう。

そんなわたしの言説を、時代錯誤だ、悲観的にすぎる、と批判するのはけっこうだ。

だが、それやこれやを踏まえてなお、わたしは、「本質的には何も変わってないのだ」と言い切ってしまう。

今や、建設業の側からは多くのポジティブキャンペーンが発信されている。けっこうなことだ。どんどんやっていただきたい。だがその多くは、「現場から」ではない。

 

一つひとつの現場から一人ひとりの現場人が現場の言葉で発信する。

 

この行為が広がらないかぎり、わたしたちはわたしたちとわたしたちの環境を救うことができない。

「たかだか小さなアリたちが、いくらがんばってみても事は動かんよ」と言われたら、「たしかにそうですね」と答えはする。だが、「小さなアリ」たちにしか伝えられないこともまたたしかにある。

つまるところわたしは、「他人のせいにするな」ということを言いたいのだ。いくら憤ってみても、いくら恨みつらみを吐いても、「んなこといってもよー」と斜にかまえてみても、他責の念をつのらすばかりでは、問題はなーんにも解決しないのだ。

だからバカのひとつ覚えのごとくこう言う。

 

一つひとつの現場から一人ひとりの現場人が現場の言葉で発信せよ。

 

そして、「なにを悠長なことを」と嗤われたとしてもこう言う。

 

ひとりひとりが自分の持ち場で、笑顔でたたかえ、えぶりばでぃ!

 

以上、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣が「震災被害について事実誤認の発言」をしたというニュースを読んで、辺境の土木屋61歳が考えたことである。

 

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