桃知さんが本日投稿したブログのタイトルは『大人舌。秋刀魚が届いたので即焼いて食べたのだが、今年初めて息子がワタがうまいと云ったこと。(前川さんからの贈与:蒲田水産:大船渡市赤崎町)』。ひときわわたしの目を引いたのは、「大人舌」というフレーズだった。
大人舌?
そんな言葉があるのか?
浅学にしてわたしは初見初耳だ。
さっそく検索してみる。まず、Google日本語入力で漢字変換できない。「おとなじた」と打っても「おとなした」でも「大人舌」という熟語は出てこない。仕方なしに「おとな」と「した」とに分けて変換。
さあ大人舌だ。
ヒットしたそのほとんどが、女優の石原さとみさんが出演するCM関連。つまり、こういうものだ。
女優石原さとみ(31)が25日、都内で「明治 ザ・チョコレート」の新CM発表会に出席した。
「昔の私」と「今の私」が会話を交わすCMで、「ちょうだいよ!」とチョコレートをおねだりする昔の石原に、今の石原が「大人舌になったらね」と“おあずけ”するもの。
「大人舌」という言葉は、舌が肥えて酸味や苦みなどの違い、おいしさが分かるようになった人を示すもの。「大人舌というフレーズは使ったことなかったです。このCMをきっかけに、『大人舌な人が喜びそうだね』みたいなフレーズができたらうれしい」と話した。(日刊スポーツより)
ふむふむナルホド。それにしても・・・「大人舌」か・・・たしかにあるな・・・しかし上手いこと言うもんだな。と感心したのにはわけがある。かくいうわが家の夕餉の食卓に今週は秋刀魚が二度上がったからだ。
じつを言うと、わが女房殿は秋刀魚のワタを食さない。反してわたしはそれが大好きだ。酒肴(藤田正児の『酒の肴』によれば、「サカ」は酒であり、「ナ」は魚や菜のこと、それだけで酒の肴の意は足りているらしいので、読んだばかりの本の受け売りでそれらしくウンチクをふりかざして、今日は酒肴と表現せずに肴と書いてみよう)、もとい、肴、特に日本酒のそれとして、秋刀魚のワタは最上級のもののひとつだと信じている。ひっきょう、わたしは二人前のワタをちびちびやりながら酒を楽しむこととなる。娘息子が家にいた時代なら全員分がわたしの皿に放り込まれそうになって、さすがに5人分となるといかなワタ好きなわたしでも、食い過ぎプラス呑み過ぎで翌朝の胃のもたれが確実なものとなるため、最大三人前ぐらいにとどめていたが、ことほど左様に秋刀魚のワタが大好きなのである。しかし、そういうわたしとて、小さい子どものころはそうでもなかった。目の前でなんの躊躇もなくワタをぱくつく親父殿を見ながら、何を好き好んでこんな苦いものを、と不思議でならなかった記憶がある。秋刀魚のワタに限らず、苦さは大人舌の代表的なものだろうが、やはり、酒を愛してやまない大人が好むマイルドな苦さとなると魚のワタ系、なかでも秋刀魚か鮎のワタに純米酒を冷やで飲る。
秋刀魚は三陸の産がいい。
秋刀魚の相手には横手で買った酒「まんさくの花」を指名しよう。
脳内を流れるBGMは斉藤哲夫の『さんま焼けたか』だ。
一杯一杯復一杯。
う~ん、「大人舌」これに極まれりだ。
夜の帳が下りるころ、そんな妄想をふくらませる辺境の土木屋。
帰ろうか、うん、もう帰ろうよ。
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