答えは現場にあり!技術屋日記

「三方良しの公共事業」をモットーに、辺境の高知のそのまた辺境から、土木技術者のオジさんが泣き笑いの日々を届けます。

(私的)労働安全コンサルタント口述試験体験記(その4)

2017年03月27日 | ちょっと考えたこと(仕事編)

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(私的)労働安全コンサルタント口述試験体験記(その1)

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(私的)労働安全コンサルタント口述試験体験記(その3)


「トンネル工事において発生する労働災害にはどんなものがありますか?その対策とあわせてお願いします」


トンネルか・・・


トンネル工事についてはド素人のわたしに投げかけられた想定外の質問に、自分の得意分野に質問を誘導して口述試験をこちら有利の展開に持っていこうというシナリオが序盤でもろくも崩れたわたしだが、なぜか不思議とあわてることはなかった。

もともと、見ず知らずの試験官との関係性におけるQ&Aを自分の思いどおりにしようなどという目論見が見当ちがいなのだ。そう考えれば、「世の中そうはうまいこといかんわな」と、本気でそんな戦術を立てていた自分が、なんだか可笑しくてたまらなくなってきた。

とりあえず、できるかぎりのリアクションをしてみてよう。

「小さな会社で勤めてきましたのでトンネル工事の経験はありませんが、知識の範囲内で答えさせていただきます」

と前置きし、数少ないトンネル工事見学で見た情景を思い浮かべながら、切羽の掘削作業中の事故とその対策について答えた。

「切羽のうしろで発生する事故もありますよね?」

追いかけて問われたその言葉に誘発され、今度は森崎さんに案内された福島県のトンネル工事現場が映像として活き活きと脳裏によみがえってきた。そうなればしめたもの。そこで行われていた安全対策から映像を巻き戻しし、起こったかもしれない事故を想像し、その様子を説明すればよいだけのことだ。

ということで、なんとか第一関門クリア。

ほっとする間もなく、

「そしたらたぶんこっちのほうが専門なんでしょうけど」

という前置きのあと、次の質問。

「小規模な下水道工事においてドラグショベルを使って掘削し、その土砂をうしろのダンプトラックに積み込む際の安全対策を説明してください」


下水道か・・・


「こっちのほうが専門」どころか、これまたわたしの専門外。よくもよくも見事にハズレばかりがつづくものだ。と内心若干の焦りが出てくるが、情景を想像し、動画を再生させながら話をしてみると、安全管理としてはそれほど難しい内容ではない。

ということで、第二関門クリア。

だが、相次いで発せられた想定外の質問で口中がカラカラに。思うように舌が回らなくなったことで焦りが生まれてくる。

「では土止め先行工法とはどのようなものですか?」

これは難なく答えたその次、

「2m以上の地山掘削で必要な対策をハード面とソフト面の両方についてあげてください」

これも基本的な問題だ。

「2m以上ですね」とキーとなる数字を確認してから回答を始めるが、ここまで来ると滑舌が悪くなった焦りにクリアな思考が妨げられているのだろう、ピントが外れたことを答えるというミスを犯してしまう。

よくない傾向だ。立て直す方策を考えながら試験官に向かうわたしに、当然のことながら質問はとぎれない。

「労災に関する情報はどのようにして得るようにしていますか?」

これは想定質問のリストに入れるほどでもないと外していたが、予想のなかには入っており難なく回答。

すると、メインとおぼしき試験官が両側のお二方に確認し、

「最後の質問です」

とおっしゃるではないか。

え?もう最後?

試験時間は15分ほどと聞いていたが、スタートと同時に作動させていた腕時計のストップウォッチをそれとなく確認すると、約10分ほどしか経過していない。

「小さな建設業では実施することが難しいのですが、労働安全衛生マネジメントシステムとはどのようなものですか?」

「手順でよろしいですか?」

「そうですね。手順を説明してください」

現金なものだ。これでオシマイとわかると、とたんに余裕たっぷりになり、覚えている内容をゆっくりとしゃべることができ、Q&Aは終了。

が、しかし・・・

意識して大きな声で礼を言い退出したあと、安堵感と不安感がかわるがわるやってきた。時間が早かったということは、良くてそうなったか悪くてそうなったか、どちらともとれるからだ。少なくともわたしの感覚では、後半部分の回答はよろしくなかった(ような気がする)。「こいつにこれ以上聞く必要もないわ」、と判断されたのではないかという不安感。かといって、あのまま時間が過ぎていけばボロが出てくるだけのような気もする。あの緊張感から早く開放されたことによる安堵感。その2つが行ったり来たりを繰り返しつつ、会場ビルを出て冷たい風に吹かれ歩いていると、どちらでもよくなってきた。

とまれ、終わったのである。あとは待つだけ。待つだけの身が、ああだこうだと思ってもなんともならない。すでに結果は出たも同然だ。

てなことを思いながら帰路に着いたのが1月17日。すでにお伝えしたとおり、2ヶ月あまりが経った3月21日に朗報が届いた。

結果オーライ。過ぎてしまえばみな美しい。と言いたいところだが、せっかくこうやって、「贈与に対する返礼」として体験を記しているのだもの。最後に少し、わたしなりの反省と教訓をまとめておきたい。


備えあれば憂いなし。

特にこの労働安全コンサルタント口述試験は暮と正月をはさんでいるため、何かと呑む機会も多い。現にわたしも約10日間というものを、試験勉強にあてることができなかった(単に意思が弱いだけ、という指摘は却下します)。

であれば、一次の合否が発表される前から準備をしておくべきだろう。たとえ一次試験に不合格だったとしても、前述したように、想定問答集を作成するという行為は、「安全」に関する自分自身の経験の「ふりかえり」であり、「安全」に対する考えをあらためて言語化してまとめるという作業だ。労働安全コンサルタント試験を受けてみようかという人間にとって、そのことが無用なことであるはずもない。

そして、自分の経験や専門分野にとらわれてしまうことは、厳に戒めるべきだろう。質問は、広い範囲から出てくると想定しなければならない。前項とは矛盾するようだが、自分の体験の埒外にあることは深く掘り下げようとしなくてもよい。浅く広く。そこには「ふりかえり」も「気づき」もなくていい。どうせ一つひとつの質問に答える時間はごくごく短いのだ。あくまで試験勉強だと割り切って覚えておくことが必要だ。そういう意味で、わたしが用意した88項目では、幸い質問のほとんどがそこから出たとはいえ、準備不足と言わざるを得ないだろう。

まして、「自分の得意分野に質問を誘導して口述試験をこちら有利の展開に持っていこうというシナリオ」を描くなど、ナニヲカイワンヤである。

いや、シナリオを描くこと自体はそれほど悪いことではないのかもしれない。しかし、あくまでもそれは「うまくいけば」という程度のものであり、その想定どおりには行かなくて当たり前という姿勢でのぞむことが必要だ。

月並みだが、たいせつな心がまえなのでもう一度繰り返す。

備えあれば憂いなし。


以上、ささやかではあるが、あとにつづく諸氏のためのデータベースになればと思い、記してみた。

Webで他人さまに「情報」という贈り物をいただいた以上、わたしもまた、Webという土俵でどこかの誰かに「情報」を贈らなければならない。なぜならば、贈与は贈与者に対して返したからそこでチャラになるというものではなく、違う誰かにパスして始めて返礼のサイクルが成り立つからだ。それが「贈与と返礼のサイクル」だ。

 

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健闘を祈る。

 


 

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