「納豆は血液を固めるらしいから、アンタあんまり食べないほうがイイかもよ」、
おもむろにそう妻が言うのだ。
「どっからそんな話を仕入れてきたがな?」
「インターネット」
納豆なしには夜も日も明けない、というほどではないが納豆好きなこの私に向かって、たしかに妻はそう言ったのだ。
内心、そりゃ逆だろうがとは思ったものの、今どきの栄養学や医学なんてなものは、門外漢の私がついていけるような生やさしいものではなく、日進月歩、というか昨日の常識は今日のウソ、ぐらいに変化をつづけるものなのだ(という私の認識)。
たしかに、不整脈の治療の際に、血液をサラサラにする薬なんてやつを処方されていたこともある私にとって、「血液サラサラ」というのが必須項目なのには間違いない。
だがしかし妻よ。
心配してくれるのはありがたいが、一方であなたのダンナは、軽度の汎血球減少症であり、血小板が少なくて血が止まりにくくなる一歩手前という人でもあるのだ。
こんな場合、いったいどちらを優先させたほうがいいのだい?とそれほど深く考えはしないが、ことほどさように人生というやつは、コチラ立てればアチラが立たずなのである。
たかだか納豆ひとつで人生を語ってもしようがないのだろうが、つまるところ、なんにつけてもバランスが大事という、ごくごくありきたりの結論にたどりついてしまったのでした。じゃんじゃん。