プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

フリーダム

2012-02-28 03:39:31 | タイ南部カヤックトリップ
H_042

H_029

 (タイ南部カヤックトリップの続き記事です)。

 知ってる人には言うまでもないことですがバンコクには「カオサンロード」という世界中の旅人が集まる界隈があります。周辺にはゲストハウス、旅行会社、レストラン、バー、雑貨屋、土産物屋、マッサージ店、屋台などがぎゅうぎゅうにひしめき、24時間360日賑やかです。いつもタイに入るとまずここに来て長距離バスなどのチケットを手配して一泊するのですが、ぼくは夜ちょっと外れの道端のバーでビールを飲みながら道ゆく人たちを観察するのがとても好きです。

 でかいザックを背負って意気揚々と歩く白人のねえちゃん。はげかかってくたびれた感じの白人のおっさんとやたらボディコンの服を着てパッツンパッツンの体を強調したタイ人ギャルのあやしいカップル。7,8人くらいのグループで土産物屋をはしごしてワイワイ言いながら物色しているコリアンやチャイニーズ。海外ではなまっちろい感じがより一層際立つ日本の学生グループ。ごついタイ人のオカマ。妙になれなれしく体にタッチしてくる60前後の隣りのバーの呼び込みのおばちゃん。アジアの熱気に疲れて神経を半分やられちゃったような危ない顔をしてブツブツ独り言をいってるメガネのドイツ系白人。50代にもなってゴムでできたネズミやヘビやクモやサソリを道端に置き、通りがかった人の驚いた表情を見て腹を抱えて大笑いするおっさん。やたら上手いがうらぶれたヒッピーって感じの汚い髭もじゃの白人ブルースギタリスト。ごくたまに混じるアフリカ系黒人と、次から次へと湧いて出るように現れる白人の大群・・・。

 まあカオサンロードあたりは半日も居たら飽きるし歩くととても疲れちゃうエリアですが、腰かける場所というか、露天で飲むときのちょっとした座る角度によって、すごく超都市感とひなびた片田舎感が絶妙に混じり合う空気感が形成されて、面白いです。こちらが歩くのではなく、向こうから歩いてくる人を低い目線から眺めるのが、味わい深いのです。

 で、今回もカオサンで一泊した後、スリン諸島に向かいました。まず夜行バスで10時間ほど走ってラノーンというミャンマーの国境の町に行き、そこでさらに早朝別のバスに乗り換えてクラブリという田舎町に着きました。全くぱっとしないイナカですが、夜になると屋台やマーケットがたくさん出て(写真上)、それなりに居心地のよいところです。タイの屋台とか、なんかこうテキトーな感じがしてかつバイタリティがあって、大好きですね。日本にも屋台村とかがありますが、あんなのほんとに管理されたフードコートみたいな感じで全然面白くない。屋台は、自然発生的で雑然としたええかげんな感じこそ、いいんです。
 日本でも規制なければ、それこそニートの連中とか主婦の人とかが屋台やれば、お客付けばそこそこ食っていけるわけだし、失業対策にもなるし社交場が生まれるし経済も回るし、やりゃあいいのになあといつも思います。
 まあ衛生上および道路交通法の関係でできないんだろうけれど、日本はあまりにがんじがらめで窮屈になりすぎている。多分社会全体がカッチリしすぎて閉塞感にうんざりするから、若者は引きこもっちゃうんだろう。

 この町に「Tom & Am Tours」というトラベルエージェントがあって、今回そこでスリン諸島へのボートチケットをアレンジしてもらいました。テントやシュノーケルセットの貸し出しもあるけれどその辺は全部持ってきているのでチケットだけお願いしました。往復で1600バーツ(¥3700くらいか)、オープンチケットで帰路日時はいつでも前日に決めればOKというのがいい。彼らは10年前にゼロから店を始めたというご夫婦で、すごく親切で親しみやすかったです。以前無一文の日本人が来て、1ヶ月ほど泊めてやっていたということもあったそうです。スリン諸島が開かれている乾季(11月~5月)に毎日働き、その他のシーズンはちょこちょこ働き、1ヶ月ほどは全く働かずドイツで休暇を過ごすらしい。自分のカヤックを持ってきたんだというと、「いいね、スリンはカヤックにも向いてる。フリーダムを感じることができるよ」とTom。
 タイ人というか日本人を含むアジア人がなかなか使わない「フリーダム」という言葉をなにげに使うあたり、世界中からいろんな人がたくさん来るんだろうな、と思ったのだった。
 フリーダム、いいよな。

H_270

この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« カヤックトリップする理由 ... | トップ | スピードボートでスリン島へ »