プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

中東のノルウェー・ムサンダム半島1

2009-04-18 00:23:25 | オマーン&UAE編(南アジア&アラビア半

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 ※オマーン、UAE編(南アジア、アラビア半島カヤックトリップ)の続き記事。

 アラビア半島最東端スール地方をカヤッキング、ドライヴィング&タートルウォッチングしたあと砂漠のハイウェイを500キロほど飛ばしフェリーを乗り継いでマシーラ島(masirah)という所にカヤッキングに行ったんだけど、そこの景色すっごいヤバくてあとあと写真をズラーっと並べたいので先に、その後に行ったオマーンの飛び地「ムサンダム地方」の話をこれから何回かに渡って綴っていきたいと思います。

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↑ さてこのグーグルアース地図をクリックしてもらって右にオマーン、左にアラブ首長国連邦がありますが、そのアラブ首長国連邦の上の方に「ラス・アル・ハイマ(首長国のひとつ)」と書いてあるところがあるかと思いますが、さらにその上の岬的な部分がオマーンの飛び地であるムサンダム地方になります。さらに下の拡大図を見ると・・・、

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↑ 中東のノルウェーと呼ばれる、入り組みまくったフィヨルドが続いています。左の方にポーンとひとつ突き出た岬があるかと思いますが、そのすぐ右の付け根のところにKhasab(ハッサブと日本語では表記されているがどう聞いてもカッサブと聞こえた)という町があって、そこまではドバイから道が続いていますが、その先に道はまったくありません。ほとんどひたすら無人の岩山と断崖絶壁が続くんだけれど、ところどころに船でしか行き来できない小さな村落があったりもします。時折無人の砂浜なんかも出てきます。ま、見るからにカヤックで漕ぎたくなってくる場所ですね。 で、このムサンダム半島の一番先端に「クムザール」という変わった村があります。

 ぼくはこのたびハッサブからクムザールまで漕いで帰ってくる4,5泊のカヤックトリップを企てました(片道で40~50キロほど、途中で入り組んだう湾の中に入って遊んだりする。テント泊)。

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↑ この図の右の方の入江の奥のちょうど青白いポイントがポツポツ並んでいるところがクムザールとなります。全く陸の孤島で、「なんでこんなところに3000人ほどの人が住んではりますねんオッサンよ」、と普通思いますがそれはこの陸上に道路網が発達した今の時代だからそう思うわけであって、よくよく考えてみると逆に数百年、千数百年前という単位の昔になると陸上に道などなく船で行き来する海のみが国境をまたいだハイウェイだったことに着目すると、この場所は地形的に「道の駅」のように賑わう存在だったことが容易に想像できます。今は閉ざされた僻地であるけれど昔はヒト、モノ、カネ、フネが行きかうハイブリッドな場所だったということです。今は僻地、昔はターミナル駅・・・、ということでここの住人はたぶん当時の人たちが定着させたのであろうあらゆる出自の言葉がミックスしたごちゃまぜ言語・・・、英語、ヒンドゥー語、スワヒリ語、ペルシャ語、ウルドゥー語などが入り混じった独特の言語を数百年隔てた今も未だに日常で使っている、と色んな本などに書いてあります。そこに海洋交易時代のエッセンスが真空パックされているのかもしれません。シンドバッドの冒険とかそういう世界もね。

 そこのところ、ものすごく興味深いなと思いました。特にオマーンの人って異文化、他者にすごく寛容というか、親切だったりするところがあるんですが、その感じがすごくナチュラルなんですね。といって自文化を失くしちゃってるのかといえば全く逆で、自国に誇りを持っているというか、かなりのプライドの高さを色んな所作の端々に感じます。それは歴史的に交易で栄えた国だからかもしれないし、またその古いエッセンスがクムザールという僻地に残っててそれが垣間見られるかもしれない・・・、まあ分かんないけれどとにもかくにもカヤックフィールドとしても興味あるしな、ということで、ちょっくらカヤック漕いで行ってみることにしました~。

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↑ ドバイから車ぶっ飛ばして3時間ほどでハッサブに行けますが、海ぎわの断崖絶壁を無理やり通した道なので、たまに落石、落盤などがあったりする。

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  ↑ ハッサブあたりには平地があるけれどそれを過ぎると岩山、断崖絶壁が続く。そして道がなくなり、船でしか往来できないエリアに入る。

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↑ 着いた日はすごくいい天気でさあ明日出艇だ、と思いきや、

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↑ 次の日、全く同じ場所がこんな感じで荒れまくっていました。断崖絶壁の際ではぶち当たって沖に戻っていく返し波とさらに沖からの波が合わさって、とんでもない三角波が起こります。それを「クラポチス」と言いますが、さらに強力なやつは「ハイスピード・ジッパー・クラポチス」と呼ばれ、カヤックなど簡単に吹っ飛ばされることがあります。ずーっとひたすら断崖絶壁の海岸線、実はこの日、朝わりと穏やかで行こか行くまいか迷ってたんだけど仮にこの日出艇してたらもう今ここでこうしてブログを書いてるなんてこともないだろうね。ムサンダム半島のカヤックトリップ、さて、どうなることやら(つづく)。


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