漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「垔イン」<煙の立ち込めるカマド>と「煙エン」

2020年02月09日 | 漢字の音符
イン  土部

解字 甲骨文は器物から煙が出ている形。原義は煙にあたるが、甲骨文字にはその用法がなく、仮借カシャ(当て字)して夜の時間を表す用法や祭祀名に用いられている[甲骨文字辞典]。金文は器物の上部が古代文字の西の形になり左右に煙が伸び、下部が土に変化した。意味は晩および地名。篆文にいたり煙の形が弓のようになったが、後漢の[説文解字]は、「塞ぐなり」とし堙イン(ふさぐ)の意味にしている。したがって現代字の意味は、ふさぐ・うずめる、となる。
 当初は器物から煙が出ているかたち(香炉か)だが、この字を音符として甄ケン(すえ・やきもの)の字があるので、後世になり焼き物のカマドの意味で使われた。そこで音符イメージとしては、「けむりの立ち込めるカマド」、および、けむりが「おおう・おおわれる」の二つを建てた。なお、字形は漢代から垔の上部の西⇒覀に変化している。他の音符字も同じ変化が通用する。

イメージ
 「けむりの立ち込めるカマド」
(煙・甄)
  けむりが「おおう・おおわれる」(堙・湮)
音の変化  イン:堙・湮  エン:煙  ケン:甄

けむりのたちこめるカマド
 エン・けむり・けむる・けむい  火部
解字 「火(ひ)+垔(けむりの立ち込めるカマド)」 の会意形声。火を付けて、けむりの立ち込める意を明確にし、けむりの意味を表す。字体は、土の上部が西⇒覀に変化した。
意味 (1)けむり(煙)。けむる(煙る)。けむい(煙い)。「噴煙フンエン」「煙幕エンマク」 (2)けむり状のもの。「煙霧エンム」「煙塵エンジン」 (3)たばこ。「煙草たばこ」「喫煙キツエン
 ケン・すえ  瓦部
解字 「瓦(かわら)+垔(けむりの立ち込めるカマド)」 の会意形声。煙の立ち込める窯で瓦をやく形。また、陶工が窯の焼きぐあいをみることをいい、見分ける意となる。字体は、土の上部が西⇒覀に変化した。
意味 (1)すえ(甄)。やきもの。陶器。陶器をつくる。「甄陶ケントウ」(陶器をつくること)「甄者ケンジャ」(陶工) (2)見分ける。明らかにする。「甄別ケンベツ」(見分けて区別する)

おおう・おおわれる
 イン・ふさぐ  土部
解字 「土(つち)+垔(おおう)」 の会意形声。土でおおうこと。土でふさぐ意となる。字体は、土の上部が西⇒覀に変化した。
意味 (1)ふさぐ(堙ぐ)。ふさがる。「堙塞インソク」(堙も塞も、ふさぐ意) (2)ほろびる。「堙滅インメツ」(うずもれてなくなる)
 イン・しずむ・ふさぐ  氵部
解字 「氵(みず)+垔(おおう)」 の会意形声。水におおわれる、即ち、水にしずむこと。また、堙インに通じて、ふさぐ意ともなる。字体は、土の上部が西⇒覀に変化した。
意味 (1)しずむ(湮む)。しずめる。うずもれる。「湮没インボツ」(しずんでなくなる)「湮沈インチン」(湮も沈も、しずむ意) (2)ふさぐ。ふさがる。「湮鬱インウツ」(気持ちがふさがって晴れない)
<紫色は常用漢字>

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