自己満足的電脳空間

完全自己満足主義。テーマはない。自分の趣味・関心事を偏った嗜好と思考でダラダラと書き綴る自分のための忘備録。

ユーティリティー第3捕手

2018-02-18 00:05:00 | 野球、その他スポーツの話
捕手は投手と同様、非常に専門性の高いポジションで基本的には専任の選手がそのポジションを担うのが一般的である。しかし、ベンチ入りできる選手は25人。監督は限られた枠の中での用兵を求められるが…他のポジションをこなせる選手が「第3捕手」も担えれば、その幅はグッと広がる。

近代野球ではベンチ入り捕手は3人が一般的であるが、理想は2人と言われている。その理由として1人が100試合以上出場する正捕手、疲れが見えた時などにサブが支えるのが理想形。捕手を3人置くと、3番手はケガ人など非常時に備えた保険となるが、平常時には使うことはなく無駄な枠となりやすい。しかし捕手2人の弊害もある。よくある事例では試合終盤に打力の弱い捕手の打順で代打を送るか検討するも代替選手の関係で躊躇し、そのまま捕手を打席に送り得点の機会を失うことも少なくない。

しかし、打力を活かすために通常は野手を務める「元捕手」が、いざという緊急時にマスクを被れるのなら、後顧の憂いなく攻めの手を打てる。ベンチ入り捕手が2人ですめば、余った1枠を他に充てられる。そこはチーム状態に合わせ、救援投手でも、代打や代走屋でもいい。枠が減って捕手同士の競争にも熱が入る。

上記の理由から野手と捕手を兼任できる「ユーティリティー第3捕手」が今後、重宝されるであろう。その中で注目されているのは危機管理の一環として昨秋から捕手の練習を再開している東北楽天の岡島豪郎外野手。

ルーキーだった2012年は捕手のみの出場(36試合)だったが、翌2013年は捕手としては12試合、外野手では56試合出場と外野手としての比重が重くなった。そして2014年からは外野手登録になり捕手としての出場は1試合のみ、外野手の出場が142試合となった。2015年に就任した大久保監督の方針でキャンプで緊急時に備えて捕手の練習はこなした(上記写真)が岡島選手が捕手として公式戦に出場したのはこの2014年が最後となる。

昨秋から改めて緊急時の備えとして捕手としての練習を再開、実戦でも2月11日の紅白戦、14日のKIAとの練習試合でもマスクを被った。捕手として4年ぶりの公式戦出場もありえるかもしれない。

2月11日の紅白戦で捕手を務めた岡島豪郎外野手


また、今シーズンより阪神に加入したウィリン・ロザリオ内野手も岡島選手同様、緊急時には捕手というカードを切れる貴重な選手である。

元々COLでは正捕手を努めた実績もあったが、盗塁阻止率の低さやパスボールの多さが災いしてCOL在籍最終年から捕手としての出場は激減し、2016年から移籍したKBO・ハンファでも出場はほとんど一塁手、阪神でも一塁手の起用がメインとなると思われる。

しかし、もうまったく捕手のポジションにつかないというわけでもなくハンファ時代にも数試合は捕手として出場しており(下写真参照)、昨年末に母国ドミニカにて開催されたウインターリーグでも捕手をこなしている。



岡島選手同様、スターターとして捕手を務めることは基本的にはないだろうが、シーズンの勝負どころで超攻撃型オーダーを組まざるえない状況になった時、4番キャッチャー・ロザリオは有効なオプションになりえるかもしれない。

横浜は捕手総数が支配下選手5人、育成選手も含めても僅か6人と極端に少なく、しかも1軍に髙城俊人、嶺井博希、戸柱恭孝3捕手が固定されていることから2軍では捕手が不足している。そこで昨年イースタン・リーグ公式戦12試合でマスクを被った一塁兼外野手の佐野恵太選手が有事の際に備えて、キャンプでは捕手の練習にも取り組んでいる。


近年は複数ポジションこなす選手の価値や可能性が高まっている。もしかしたらトレンドの一つになるのかもしれない。「第3捕手」というのはあくまで緊急時の備えであり、使わないことが理想。ただその存在がチームの戦い方を大きく変えていくこともある。

余談だが捕手不在の緊急時で語り草になっているのは2009年9月5日 巨人対東京ヤクルト(東京ドーム)であろう。巨人は途中交代、負傷退場などで3人の捕手がいなくなり、延長12回からユーティリティープレーヤーの木村拓也内野手(当時37)が10年ぶりにマスクをかぶった。





最後に上記の岡島選手、ロザリオ選手等と少々状況が異なるのが北海道日本ハムの近藤健介捕手である。昨オフは長らく正捕手としてチームを支えてきた大野奨太捕手がFA宣言し中日に移籍。捕手事情が厳しくなった球団は福岡ソフトバンクから鶴岡慎也、巨人から實松一成両ベテラン捕手を復帰させたが役割的にはバックアップ要因になる公算が高い。そこで近年は両ヒザや腰に不安を抱えていたことに加え、送球難にも悩まされて捕手からは距離を置いていた近藤健介選手が正捕手としての復活が期待されている。


近藤選手は非常に器用な選手で2012年から捕手として出場していたが、2013年にはレギュラー外野手・中田翔選手の死球による戦線離脱により右翼手として出場を続けた。さらに2014年は正三塁手・小谷野栄一の故障による戦線離脱により三塁手のポジションを確保し、さらにレギュラー遊撃手の大引啓次選手が足腰を痛めていた時期には代わって遊撃の守備に就くこともあった(下写真参照)。


2015年は捕手として出場したが、2016年は上述通り怪我の影響もあり捕手としての出場は1試合のみとなり、主に外野手として出場を続いけた。規定打席には届かなかったが驚異の打率.413を記録した2017年はシーズン当初二塁手への挑戦も試みたが腰痛が悪化し断念。大谷投手との併用でDHでの出場がメインとなった。しかし、今年は近藤選手自身が捕手復帰に意欲を見せ、彼が打てる捕手として、常時出場できれば北海道日本ハムとしては大きな戦力アップになることは確実である!


いや、しかし、捕手、外野、三塁、遊撃、そしてまだ公式戦では守っていないが二塁までプロレベルでこなせる近藤選手ってすげーなぁ…。しかも、打つ方では主軸だもんなぁ~。

元千葉ロッテ伊東監督による参考記事はこちら