いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

「米軍の綱紀粛正疑問」県議会が抗議決議/山崎孝

2008-02-14 | ご投稿
(2008年2月13日付沖縄タイムスより)

米兵による女子中学生暴行事件を受け、県議会(仲里利信議長)は十四日午前、「在沖米海兵隊員による少女暴行事件に関する抗議決議」と意見書を全会一致で可決した。決議は、米軍人による凶悪事件が後を絶たない状況に触れ、「米軍の綱紀粛正への取り組みや軍人への教育のあり方に疑問を抱かざるを得ない」として、被害者と家族への謝罪と完全な補償、再発防止策に万全を期すことなどを求めている。

十五日に県内の日米関係機関、十八、十九日に都内の日米関係機関に直接申し入れを行い、十九日夕に記者会見を開く予定。

抗議決議は「女性に対する暴行は肉体的、精神的苦痛を与えるだけでなく、人間としての尊厳を蹂躙する極めて悪質な犯罪であり、県民に強い衝撃と多大な不安を与えている」と指摘。「特に被害者が無抵抗な少女であることを考えれば、断じて許すことができない卑劣な行為」と断じた。

さらに、昨年十月に嘉手納基地内に住む米軍人の家族による強姦致傷事件、先月七日には普天間基地所属の米兵による強盗致傷事件など凶悪事件が相次いでいる点を指摘。「またもやこのような事件が発生したことに対し、激しい憤りを禁じ得ない」と訴えている。

その上で(1)被害者および家族への謝罪および完全な補償(2)実効性のある具体的な再発防止策について万全を期す(3)米軍基地の一層の整理縮小を図るとともに、海兵隊を含む米軍兵力削減の推進―を要求している。

抗議決議は駐日米国大使、在日米軍司令官、在日米軍沖縄地域調整官、在沖米総領事、在沖米海兵隊基地司令官あて。意見書は内閣総理大臣、外務、防衛、沖縄担当大臣あて。

[解説] 実効性ある綱紀粛正を

在沖米海兵隊による暴行事件に対する県議会の抗議決議は、女子中学生が被害者になった米軍人犯罪への怒りを示し、実効性のある綱紀粛正と米軍基地の目に見える形の整理縮小を日米両政府に突きつけた。

市町村議会の抗議決議が相次ぐ中、基地問題の早急な解決を求める県民世論をさらに高め、全県的な抗議行動に拍車が掛かりそうだ。

決議案を審議した県議会米軍基地関係等特別委員会(親川盛一委員長)は、「実効性がある再発防止策」という案文に、「具体的な」という文言を加えた。米軍側の綱紀粛正が形骸化していることへの強い不満とともに、「これ以上の事件再発は絶対に許さない」という憤りを強調した形だ。

米軍構成員による女性暴行事件は、一九九五年の米兵暴行事件以降も十四件発生している。野党委員は「基地あるがゆえの事件。海兵隊はすべて撤退すべきだ」とし、普天間飛行場移設を盛り込んだ米軍再編を進める県の姿勢を批判する。

自民党県連の外間盛善会長代行らも十三日に在沖米総領事館を訪れ、「綱紀粛正の徹底がなければ、日米安保の根幹を揺るがす」とケビン・メア総領事に迫った。

抗議決議が全会一致で可決されたことで、超党派の県民大会を求める動きが強まるのは必至だ。

ただ、「決議の趣旨で、日米両政府に早急な基地の整理縮小を求めるべきだ」と主張する野党側に対し、与党側は「米軍再編の推進で、現実的な整理縮小を進めるべきだ」と慎重な構えだ。

普天間飛行場の移設問題でも、与野党のスタンスは違う。抗議決議で実効性ある再発防止策や兵力削減で一致しても、具体的な方向性の相違は明確で、県民大会の実現は不透明だ。

軍特委では、喜納昌春氏(社大)が「事件を防げなかった責任は国や県だけでなく、県議会にもある」と発言した。事件の再発防止に向けては、県議会の具体的かつ実効性ある対応も問われる。(政経部・与那原良彦)

【女性3団体、強く抗議/米兵暴行事件】(2008年2月13日付沖縄タイムスより)

「暴力と隣り合わせの生活を、これ以上続けられない」。米兵による暴行事件で、女性三団体が十三日午前、日米両政府の機関を相次いで訪れ、抗議の声を上げた。戦後六十三年間、生活に侵入してくる軍隊の暴力にさらされてきた女性の歴史を突き付けた。抜本的な再発防止策としての基地撤去と、被害者への謝罪や精神的ケアを求めた。

◆県婦人連合会 県婦人連合会(小渡ハル子会長)は、沖縄防衛局を訪れ事件に対し抗議。小渡会長は「こんな状態では、子どもを安心して生み育てることはできない。この問題は強く抗議しなければならない」と語気を強めた。

要請書は「事件は基地あるが故に起こった凶悪事件」と厳しく批判。「日本全国の米軍基地75%をかかえる沖縄で同じような問題が、また起こらないとは限りません」「基本的には基地の撤去を一日も早くと要請」するとした上で、「米兵に対する綱紀粛正と再発防止の徹底」「県民の人権を守るため米兵の教育の徹底」「一日も早い基地の撤去、または整理縮小」を強く求め、厳重に抗議する、としている。

同会は同日中に、県、県議会、在沖米国総領事館にも同様の要請を行う。◆新日本婦人の会 新日本婦人の会沖縄県本部(前田芙美子会長)のメンバー七人は、外務省沖縄事務所を訪ね、「卑劣な犯罪に激しい怒りを禁じえない」と強く抗議。「基地がなくならない限り事件は続く」とし、再発防止へ実効性のある対策や新基地建設の中止、地位協定見直しなどを要請した。

前田会長は「これまで二度と事件が起こらぬよう何度も申し入れてきたが、砂をかむようなむなしさを感じる」と訴えた。

対応した山田俊司外務事務官は、事件翌日に米側に再発防止と綱紀粛正を申し入れたことや、米兵への教育に取り組んでいるとし、「再発防止に全力を挙げたい」と述べるにとどめた。

◆基地許さない女たちの会 基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代、糸数慶子両共同代表ら四人は浦添市の在沖米国総領事館にケビン・メア総領事を訪ね、基地外に住む米兵の行動管理と規制などを申し入れた。

同会は「外出制限時間の前に起きた事件であり、まして基地外に住んでいれば制約はない」と問題視。同会によると、メア総領事は「事件は一つ発生しても(数として)多いと考える」と述べる一方で、「米国人が基地外に住むことに反対なのか」と聞いたという。

高里、糸数両共同代表は「軍人が基地外に住むことが事件につながった」と認識の落差に反発した。

駐日米大使や在日米軍司令官の来県には、「事件を深刻に受け止めたというより、沖縄の基地反対の声が広がらないよう必死で対応しているだけだ」と冷めた視線を向けた。

同会は同じ要請文を、近くブッシュ米大統領あてにも郵送する。