いせ九条の会

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朝鮮半島情勢は融和の方向を更に強める/山崎孝

2007-05-21 | ご投稿
【南北関係:定期航路に初の北朝鮮貨物船が就航】(5月21日付毎日新聞ニュース)

韓国と北朝鮮を結ぶ定期航路に北朝鮮籍の貨物船が初めて就航することになり、20日未明、北朝鮮籍の貨物船「カンソン号」(1853トン、27人乗り)が釜山港に入港した。

南北間には01年以降、釜山-羅津(北朝鮮北東部)間と、仁川-南浦(同西部)を結ぶ定期航路が開設されているが、これまで韓国籍と中国籍の貨物船で運用されてきた。今回、05年に発効した南北海運合意書に基づき、韓国統一省が北朝鮮籍の貨物船の就航を承認した。

カンソン号は釜山-羅津航路を月3回程度往復する予定。聯合ニュースによると、入港した船から船員が笑顔で手を振っていたという。

韓国海洋水産省のまとめでは、南北間の定期航路の輸送量は昨年、北朝鮮の核実験などにより政治対話が途切れたにもかかわらず前年比で約20%伸びた。また、北朝鮮産砂利の韓国への輸入が急増し、不定期航路を使った輸送量は前年比で約2.4倍の高い伸びを記録した。

朝鮮半島では17日に、軍事境界線を越える56年ぶりの南北直通列車の試運転も行われた。(ソウル共同)(以上)

憲法解釈を変更して日本が集団的自衛権行使を可能にすることを目論む「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の初会合が5月18日に開かれ、安倍首相は冒頭に、北朝鮮の核開発や弾道ミサイルの問題などをあげて、日本の安全保障環境は格段の厳しさを増していると述べています。この情勢の見方は6者協議の進展を無視した情勢の見方です。そして毎日新聞のニュースで明らかのように、朝鮮半島の動向は北朝鮮の核実験後も逆流せず平和的統一の方向に流れています。朝鮮半島に有事が起こる可能性は低下の方向に向かっています。

朝鮮半島の有事に備えて、米国がその紛争に介入しその米軍が攻撃を受けた場合に日本が、武力を用いて米軍を支援できるようにするのが、安倍首相が「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に研究するように提示したケースの一つ「公海上で米軍艦船への攻撃に対して自衛隊が対処する」があります。

このケースは中国と台湾の軍事衝突が起きたときにも適用を想定しています。しかし、中国と台湾は経済関係を拡大して相互に利益を得ている状況です。軍事衝突を起こすような経済的な利害関係はありません。日本と中国も経済関係をみれば相互扶助の関係です。

安倍首相を支援する自民党の中堅・若手議員ら43人は、「価値観外交を推進する議員の会」を発足させて、「中国は我々に一番近くて脅威の国だ。我々が中国の一つの省になることは絶対に避けないといけない」と述べています。

安倍首相は、中国の首脳と本年は今まで2回会談して地域の平和と安定も視野に入れた「戦略的互恵関係」を築くことを確認しています。しかし、政権党の一部議員は「中国は我々に一番近くて脅威の国だ」と正反対の見解を主張をする。一見奇妙な状況を呈しています。安倍首相は、解釈改憲をしてまで日本周辺の有事を想定して集団的自衛権行使を出来るように考えていますから、本音は「価値観外交を推進する議員の会」に近いと思われます。そのことは首相の側近の下村博文官房副長官、山谷えり子首相補佐官が「価値観外交を推進する議員の会」に加わっていることで明らかです。

実態とかけ離れた軍事的脅威を煽り立てて、日米同盟を強化するための改憲を目論んでいることは確実です。