いせ九条の会

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平和構築委員会と自民党新憲法草案/山崎孝

2006-06-22 | ご投稿
2006年5月16日の国連総会は、紛争後の復興を支えるために新設する「平和構築委員会」の常設機関である組織委員会のメンバー31カ国の中に、日本の財政的貢献を評価して日本を選んだことを紹介しています。その時の新聞記事では「平和構築委員会」の役割は簡単にしか報道されていませんでしたが、6月21日の朝日新聞はもう少し詳しく報道した記事がありました。以下、記事です。

 国連安全保障理事会は19日、国連改革の目玉の一つとして創設され、23日に初会合が開かれる平和構築委員会について、最初に取り組む復興支援の対象としてアフリカのシエラレオネとブルンジの2カ国を推す方針を固めた。近くアナン事務総長あてに書簡を出す。委員会創設の構想段階から有力候補とされてきた東ティモールの復興支援は、治安状況の悪化から当面見送られる方向だ。

 ロイ安保理議長(デンマーク)や欧州の国連外交筋などによると、19日の安保理非公式会合で合意した。シエラレオネはダイヤモンド利権などをめぐる10年以上の内戦で死者5万人を出し、ブルンジでは民族対立に端を発した12年に及ぶ内戦で30万人が死亡している。

 最初の支援対象は2カ国とされたが、地域配分を考えて、中南米やアジア太平洋諸国からも対象を選ぶよう求める声も強かったという。

 平和構築委員会は2005年3月にアナン事務総長が提唱、国連はこれまで紛争の予防や解決に力を注ぎ、平和維持部隊などを派遣してきたが、同委員会は部隊が去った後も現地での国づくりをになう機関として構想され、その創設は昨年の国連創設60周年の総会特別首脳会議で人権理事会創設とともに最優先課題とされた。

 戦争や内戦を経験し、1990年代に和平合意に達した国の約半数が5年以内に再び暴力や混乱に逆戻りしたとも指摘される。

 委員会は、世界銀行や国際通貨基金(IMF)とも協力、多国間と2国間の経済支援など必要な支援を長期的に管理する。

 2002年に国連の協力で独立を達成した東ティモールは支援先の有力候補だったが、政府軍の内紛をきっかけに先月下旬から

首都デイリの騒乱が激化。「平和構築以前の段階に戻ってしまった」(国連外交筋)として対象から外されることになった。(記事以上)

平和構築委員会は、昨年の国連創設60周年の総会特別首脳会議で人権理事会創設とともに最優先課題と指摘されています。国連の最優先課題は、平和維持活動部隊の強化という警察と軍事を担う組織の強化の問題ではありませんでした。

イラク駐留米軍ナンバー2のカレリ中将さえ「治安の要は経済復興だ」と述べています。この言葉は、平和構築委員会の役割「経済支援など必要な支援を長期的に管理する」とも共通するものがあります。

そして、国連事務総長特使補佐官を務めた小野京子さんの「紛争国の復興で、心のケアや双方の対話を充実させる必要がある」も大切です。

以上から見ても、国連が日本に期待しているの非軍事部門の人的貢献と経済的貢献と思われます。自民党新憲法草案で提起した「自衛軍による武力が伴う国際協調活動」ではありません。日本が海外で武力行動が出来ることを望んでいるのは、国連が求めていることではなく米国なのです。

善意に考えれば「自衛軍による武力が伴う国際協調活動」を行いたいは、自民党の片想いで、国連との相思相愛ではありません。この片想いは悲劇を伴います。