いせ九条の会

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民主党は改憲で、自民党とどのような折り合いをつけるのか/山崎孝

2006-09-19 | ご投稿
9月19日のNHK朝のニュースは、民主党が安倍氏の政権構想を次のように批判したことを伝えています。

安倍官房長官は、自民党の総裁選挙への立候補にあたって「美しい国、日本」をキーワードに「主張する外交」や「教育再生」などを柱とした政権構想を発表しています。民主党は、自民党総裁選挙では安倍氏が当選し安倍政権が誕生する可能性が高いとして、安倍氏の政稚構想の分析を進め、その結果をまとめました。

それによりますと、安倍氏の政権構想について国家主義的な思いばかりが先行し、格差を是正するための実効ある対策は盛り込まれていない」と指摘したうえで「小泉内閣で悪化した国民生活やアジア諸国との関係をいっそう危うくするものだ」としています。そのうえで、安倍官房長官が憲法改正を目指す方針を打ち出していることについて「与党単独で進めるというのであれば、憲法改正の手続きを定める国民投票法案も含め断固闘わざるをえない」として、対決姿勢を強調しています。

民主党は、この分析結果をもとに、今月26日に召集される見通しの臨時国会などで批判を強めていくことにしています。(以上)

民主党は「安倍氏の政権構想について国家主義的な思いばかりが先行」と分析していますが、国家主義的な構想は、集団的自衛権行使を可能にする狙いと共に、自民党の新憲法草案のそのものの柱になっているものです。

民主党は改憲に軸足を置いていますが、民主党単独では改憲案を発議することは議員数が大幅に足りません。改憲を行うには自民党と妥協しなければなりません。しかし、安倍氏の政権構想を国家主義的と分析し批判した以上、民主党は国家主義的なものには同調できない筈です。

集団的自衛権行使についても、民主党の菅直人代表代行は8月31日の記者会見で「集団的自衛権の言葉を(自民党総裁選で)色んな方が使われているが、自衛隊が戦闘、戦争目的で海外に出ていくのは現憲法でも許されないし、将来、憲法改正を考える場合でも、それを許す憲法解釈は望ましくない。これは我が党の姿勢だ」と述べています。この姿勢を国民に明らかにしている以上、集団的自衛権行使についても妥協はできない筈です。

民主党小沢代表は以前、国連軍のもとでの武力行使を主張したことがありますが、最近のレバノン国連暫定駐留軍を拡大する決議案は、国連憲章第7章の規定にある、武力による制裁を前提にしていません。ドイツのように偶発的な可能性のあるイスラエル軍との戦闘に巻き込まれることを避けるために後方支援の分野を選ぶ方法もあります。

国連治安維持活動は基本的には戦闘行動が終息したことを前提にしています。人的な国際貢献に必ずしも、海外における武力行使が絶対不可欠なものではありません。

安倍氏の政権構想を「小泉内閣で悪化した国民生活やアジア諸国との関係をいっそう危うくするものだ」と捉えていますが、日本が海外で武力行使を可能にすることを一番警戒しているのが、かつて植民地支配と侵略を受けた中韓をはじめとするアジア諸国です。

現行憲法は「すべての国民に健康で文化的な生活の保障」を掲げています。安倍氏の主張の「教育再生」は、現在の教育基本法の理念を実践し、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と、国家ではなく社会への責任を重んじる教育を行えば、「教育の再生」はできます。現在の憲法は変えるのではなく生かすべきものです。