【海賊対策揺れた防衛省 武器使用基準緩和新法棚上げを懸念】(1月30日の朝日新聞記事)
ソマリア沖の海賊対策をめぐり、防衛省は最後まで、麻生首相が前のめりな海上警備行動による海上自衛隊の派遣に抵抗した。背景には、今後の武器使用基準緩和に向けた議論に影響しかねないとの懸念があった。一方で不祥事続きの海自内部からは、海賊対策で汚名を返上したいとの積極論も出ていた。
「自衛隊による海賊対処は新法整備が基本だ」浜田防衛相は28日、海警行動発令に向けた準備を海上幕僚長らに指示した直後も、持論にこだわった。
「海上警備行動時における武器使用の枠組みで十分でないなら緩和をして頂きたい」。増田好平防衛事務次官も、29日の記者会見で強調した。
もともと不審船による領海侵犯など、日本近海での発令が想定されている海上警備行動を海賊対策に流用することに、防衛省内には強い不満がある。「武器使用基準があいまいで現場の指揮官が迷う」
「外国船を見殺しにするのか」などの理由からだ。
現場を代弁する立場の浜田氏にとり、今国会で海賊対策のための新法を整備する約束を官邸から取り付けることが、海警行動を受け入れる際に譲れない条件だった。
防衛省・自衛隊は海賊対策新法で、海賊船を停船させる目的での射撃など、任務遂行のための武器使用を認めさせたい考えだ。新法で武器使用基準が拡大されれば、「悲願」(幹部)と位置づける自衛隊海外派遣の原則を定める恒久法(一般法)にも反映されるとの狙いがある。
逆に言えば、今回、海警行動での海賊対策が成果を上げれば、武器使用基準の緩和の必要性は薄まるジレンマがある。防衛省が海上警備行動での海自派遣を渋った理由は、こんなところにもある。
一方で、米補給艦への給油量の取り違えと隠蔽発覚、イージス艦「あたご」の衝突事故など一昨年から不祥事が続く海自にとって、海賊対策は
汚名返上のチャンス。年末には防衛計画の大網の見直しがあり、海賊対策で実績を上げれば「人員や装備の維持にプラスになる」(内局幹部)との皮算用も働く。
ただ、見切り発車となった今回の派遣のリスクは大きい。後方支援だったイラクやインド洋への派遣と違い、「初めて自衛隊が前面で任務に当たる」 (幹部)。自衛隊が海外で初めて武器を使う可能性も高い。海賊や民間人を
傷つけたり、自衛隊員に負傷者を出したりする事態になれば、今後の自衛隊による国際貢献が大きく迷走しかねない危険もある。(石松恒)
【コメント】記事は《新法で武器使用基準が拡大されれば、「悲願」(幹部)と位置づける自衛隊海外派遣の原則を定める恒久法(一般法)にも反映されるとの狙いがある。》と指摘しています。
国民の多くが反対しない「海賊対策」という、本来は警察活動の事態を捉えて、軍事活動を目的とする恒久法に流用させたい防衛省の目論見を黙認するわけにはいけないと思います。
東京新聞の報道では、公明党の北側一雄幹事長は記者会見で「目的は海賊船をやっつけることにあるわけではない。抑止だ」と述べ、佐藤茂樹衆院議員も武器使用基準を緩和しない形での新法制定もあり得るとの考えを示しています。公明党はこの考え方を貫徹すべきです。
海賊の抑止に一番効果があるのは、漁民が海賊になってしまっているソマリアの民生安定に寄与することで、この活動に力を入れるべきなのです。
私たちが注意しなければならないことは、海賊対策(シーレーンの確保)の障害となるような憲法を改めるべきという感情的な意見が広まらないようにすることだと思います。そのためには警察活動と軍事活動を峻別して対応していかなければと考えます。
ソマリア沖の海賊対策をめぐり、防衛省は最後まで、麻生首相が前のめりな海上警備行動による海上自衛隊の派遣に抵抗した。背景には、今後の武器使用基準緩和に向けた議論に影響しかねないとの懸念があった。一方で不祥事続きの海自内部からは、海賊対策で汚名を返上したいとの積極論も出ていた。
「自衛隊による海賊対処は新法整備が基本だ」浜田防衛相は28日、海警行動発令に向けた準備を海上幕僚長らに指示した直後も、持論にこだわった。
「海上警備行動時における武器使用の枠組みで十分でないなら緩和をして頂きたい」。増田好平防衛事務次官も、29日の記者会見で強調した。
もともと不審船による領海侵犯など、日本近海での発令が想定されている海上警備行動を海賊対策に流用することに、防衛省内には強い不満がある。「武器使用基準があいまいで現場の指揮官が迷う」
「外国船を見殺しにするのか」などの理由からだ。
現場を代弁する立場の浜田氏にとり、今国会で海賊対策のための新法を整備する約束を官邸から取り付けることが、海警行動を受け入れる際に譲れない条件だった。
防衛省・自衛隊は海賊対策新法で、海賊船を停船させる目的での射撃など、任務遂行のための武器使用を認めさせたい考えだ。新法で武器使用基準が拡大されれば、「悲願」(幹部)と位置づける自衛隊海外派遣の原則を定める恒久法(一般法)にも反映されるとの狙いがある。
逆に言えば、今回、海警行動での海賊対策が成果を上げれば、武器使用基準の緩和の必要性は薄まるジレンマがある。防衛省が海上警備行動での海自派遣を渋った理由は、こんなところにもある。
一方で、米補給艦への給油量の取り違えと隠蔽発覚、イージス艦「あたご」の衝突事故など一昨年から不祥事が続く海自にとって、海賊対策は
汚名返上のチャンス。年末には防衛計画の大網の見直しがあり、海賊対策で実績を上げれば「人員や装備の維持にプラスになる」(内局幹部)との皮算用も働く。
ただ、見切り発車となった今回の派遣のリスクは大きい。後方支援だったイラクやインド洋への派遣と違い、「初めて自衛隊が前面で任務に当たる」 (幹部)。自衛隊が海外で初めて武器を使う可能性も高い。海賊や民間人を
傷つけたり、自衛隊員に負傷者を出したりする事態になれば、今後の自衛隊による国際貢献が大きく迷走しかねない危険もある。(石松恒)
【コメント】記事は《新法で武器使用基準が拡大されれば、「悲願」(幹部)と位置づける自衛隊海外派遣の原則を定める恒久法(一般法)にも反映されるとの狙いがある。》と指摘しています。
国民の多くが反対しない「海賊対策」という、本来は警察活動の事態を捉えて、軍事活動を目的とする恒久法に流用させたい防衛省の目論見を黙認するわけにはいけないと思います。
東京新聞の報道では、公明党の北側一雄幹事長は記者会見で「目的は海賊船をやっつけることにあるわけではない。抑止だ」と述べ、佐藤茂樹衆院議員も武器使用基準を緩和しない形での新法制定もあり得るとの考えを示しています。公明党はこの考え方を貫徹すべきです。
海賊の抑止に一番効果があるのは、漁民が海賊になってしまっているソマリアの民生安定に寄与することで、この活動に力を入れるべきなのです。
私たちが注意しなければならないことは、海賊対策(シーレーンの確保)の障害となるような憲法を改めるべきという感情的な意見が広まらないようにすることだと思います。そのためには警察活動と軍事活動を峻別して対応していかなければと考えます。