伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

上村松園・松篁・淳之展

2024年03月14日 | 展覧会・絵
京都高島屋7階のグランドホールで、
上村松園・松篁・淳之の親子・孫三代の展覧会が開かれていると、
京都新聞に紹介されていたので見て来た。
高島屋なら近いからすぐ行ける。

上村松園は言わずと知れた美人画が有名な日本画家、
その息子も孫の淳之さんも文化勲章を受章していたという。
だから文化勲章 三代の系譜とタイトルがついている。

京都高島屋グランドホール
https://www.takashimaya.co.jp/kyoto/departmentstore/topics/event.html
文化勲章 三代の系譜 上村松園・松篁・淳之
■3月6日(水) → 25日(月)


親、子、孫まで三代にわたって日本画の美をそれぞれに追い求め、
その功績で文化勲章を受章した上村松園、松篁、淳之の
三人の画業を紹介する展覧会を開催いたします。
松園は、格調高い美人画で1948年に女性として初となる栄誉に輝きました。
松篁は自然を描く新たな日本画表現を追究して1984年に受章。
そして2022年、鳥の姿を通じて自然の神秘を描写し続けてきた淳之が
受章しました。
それぞれモチーフや画風は異なりますが、
描くことへの情熱や根底にある美意識が世代、
時代を超えて静かに受け継がれ、現代に繋がれています。
日本画の美を継承してきた、上村家三代の作品をご堪能ください。


---ということである。
グランドホールは意外と広く、三人合わせて約60点が展示されていた。






上村松園といえばすぐに美人画が思い浮かぶが、
美人画というより着物姿の女性美を追求した画家と言えるだろう。
女性のたおやかな姿のみならず、
着物の詳細な描写と艶やかな柄、帯の華麗な柄、
裾を引きずる着物の着こなし。
やまと絵や古典・浮世絵なども学び、
日本画の伝統技法を継ぎながら、主題は一貫していた。



昭和の時代になっても着物姿の女性を描き、
自身も死ぬまで着物で通した。
着物や帯の鮮やかな模様に美を見出したのだと思う。



絵画は写実ではない。
画家の理想、現実を超えた理想の美を具現化するものなのだ。
細い描線で丁寧に描かれた品格のある女性像には、
色彩や色使い、フォルムや構図も含めて、
絵画としての美を表現していた。

見る者に時代を超えて、主題を超えて美しいと思わせるもの。
それがあるのが松園の日本画だった。
(軸物だけでなく、額縁に入った絵もあったのが少し意外だった)




松園の息子、上村松篁は
母に絵画について教えを受けたことはまったくなかったという。

花鳥画、というより植物の描写が美しかった。
絵の具の色の美しさ、発色の鮮やかさも素晴らしかった。

3人とも絹本着色の日本画家だが、主題はまったく違う。
自分が描きたいと思ったもの、美しいと思ったもの、
美しく描きたいと思ったもの、
それを心のままに描けば、自ずと主題が定まったのだろう。


「青柿」という作品はまだ熟していない青い(緑の)柿のまわりを
様々な色の葉っぱが取り巻いている。
どれ一つとして同じ色の葉はなく、絶妙な構図のおかげで
それぞれの葉っぱがハーモニーを奏でているようだった。


同じ松篁の「芥子」という作品も、
すっくと伸びた何本もの芥子の花が空に向かって群れて描かれ
花の品格を表しているようだった。



「月夜」という空色の背景に高く伸びた植物の根元に
かわいい兎が佇んでいる絵はまるで童話のようで、
メルヘンな図にたまさかおとぎの国に誘われたようだった。


上村淳之さんは現在も京都で健在である。
最近はさすがに弱って来られたようだが、まだまだ活躍して欲しい。

調和の取れた美しい花鳥画が多く展示されていてうれしかった。
祇園祭の霰天神山の原画が展示されていたのもうれしい。

淳之さんの日本画は花鳥画ではあるものの、写実ではない。
それは自然世界の具体表現ではなく、象徴的なもので、
描かれた対象は花や鳥だが、
彼の絵画世界ではそれらが理想のユートピアを築いているようだった。
現実ではなく、見る者を暖かな世界に誘うような絵。


「花の水辺Ⅱ」もまるでメルヘンの世界のようだ。


「四季花鳥図」という日本絵画の伝統的な画題の作品も、
様々な鳥が林の中を群れ遊ぶさまはまるで楽園を表しているようだ。


淳之さんは奈良の自宅の庭に多くの鳥を飼って、写生していたそうだが、
鳥たちの目は丸くてかわいく描かれている。
どの鳥も可愛くて、写実を超えていた。

写生を極め、写実から発展して
いつしかそれが理想世界を絵画の上で表現しているのだった。




親子、孫、三世代にわたって
品格のある日本画を紡いで来た上村家の画家たち。
画風や画題はそれぞれ違うが、気品のある、
抑制のきいた日本画の神髄を描くことでは一致していた。

美しいものはいつの時代も目と心の喜びだ。
それは西欧絵画でも日本画でも何ら変わらない。
気持を揺り動かす力を持っているのだ。



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