腐った林檎の匂いのする異星人と一緒
34 ゲーム(STAGE45 最後の質問)
あなたはあなたの椅子に坐れましたか?
その椅子に乗って虚栄の町から脱出できましたか。
あなたはあなたの時空に到達しましたか。
そこに海はありますか。
砂浜はありますか。
そして、そこに私はいますか。
END
腐った林檎の匂いのする異星人と一緒
34 ゲーム(STAGE45 最後の質問)
あなたはあなたの椅子に坐れましたか?
その椅子に乗って虚栄の町から脱出できましたか。
あなたはあなたの時空に到達しましたか。
そこに海はありますか。
砂浜はありますか。
そして、そこに私はいますか。
END
腐った林檎の匂いのする異星人と一緒
34 ゲーム(STAGE44 夜驚)
金曜日の深夜、あなたは悲鳴をあげて目覚める。
奇妙な匂いが室内に充満している。腐った林檎の匂いのようだ。
あなたはのろのろと起き、ベッドの端に座って一息ついてから立ち上がる。
窓を開く。夜風を浴びてベッドに戻りかけ、堅い何かを踏む。それは卵の殻だ。奇妙な匂いは孵化した卵の匂いだ。
戻りたくない。どこへ? ベッドへ? それとも……
後ずさり。窓辺に佇む。
ここに居たくない。この部屋に居たくない。この町に居たくない。この時空にいたくない。
何かがあなたの横を素早く通過する。それは窓の外に浮かび、あなたをからかうように揺れる。小さな椅子。あなた用の椅子だ。孵化したばかりの、あなたのためだけの椅子が、ゆっくりと上昇する。
あなたは外階段を駆け上る。途中、片方の靴が脱げ、落ちる。構わず、急ぐ。
屋上に立つあなた。
遊弋する椅子。建物に近づくかと思うと、遠のく。微妙な距離。可能と不可能の判別が不可能な距離。
あなたは邪魔なネグリジェ脱ぎ捨て、残った片方の靴をその上に載せる。
生まれたままの姿となり、あなたは片膝を曲げる。
祈りに似て、決意に似て、憧憬に似た思い。いつかの思い。いつだったか、思い出せない思い。過去に空想した未来の思い。つまり、今の思い。それを思い出す。
きっかけのために、頭の中で銃声を思い浮かべようとする。
ところが、本当に銃声が響いた。
パン!
弾けるようにダッシュ。
ジャンヌ・ジャンプ!
あなたのゲームは終了しました。
『冬のソナタ』を読む
「冬のソナタ」(上195~210)
1 初雪
二人はこの日を待っていた。
*
「お姉ちゃん! 雪よ、雪!」
興奮したヒジンが部屋に入って来て、机の前に座っているユジンを呼んだ。
「本当?」
立ち上がったユジンがカーテンを開けると、本当に真っ白な雪が降りそそいでいた。白い雪より明るい微笑みを浮かべたユジンは、急いでどこかへと向かった。
(p196)
*
「どこか」がどこか、私は知っている。
(終)