ヒルネボウ

笑ってもいいかなあ? 笑うしかないとも。
本ブログは、一部の人にとって、愉快な表現が含まれています。

ウロシだった。 ~動物物語3

2024-02-03 23:13:53 | エッセイ

   ウロシだった。

     ~動物物語3

「ものがたる」は「物語る」と書くのに、「ものがたり」は「物語」と書いて、「り」がない。「浄瑠璃語り」には「り」がある。

1959年(昭和34)、それまでまちまちであった送り仮名法に対して、初めての公的な基準「送りがなのつけ方」が内閣訓令・告示をもって定められた。これを改定して、73年に「送り仮名の付け方」が内閣訓令・告示をもって公布された。これは七つの通則からなり、本則のほか例外、許容を設けている。改定前のものに比べて、例外、許容を大幅に認めるとともに、その運用は個々人の自由な選択にゆだねるようになっている。

(『日本大百科全書(ニッポニカ)』「送り仮名」)

59年から73年の間、つまり、「個々人の自由な選択」が制限されていた頃、六年生の担任が送り仮名についてうまく説明できず、独り笑いをしながら、〈「受付」は「受け付け」と書いてなくても「うけつけ」と読む〉と言った。私は抗議した。「受付」は「ジュフ」としか読めない。すると、教師は「ジュフという言葉はない」と反論した。私は再反論した。でも、「ジュフ」と読むべきだ。教師は呆れて沈黙し、嘲笑した。

「ジュフ」という言葉があるとか、ないとか、どうやって知るのか。辞書には載っていない。〈だから、ジュフはないのだ〉と断言することはできない。辞書になくても、巷にはあるかもしれない。今はなくても、将来、そんな読み方ができるかもしれない。

たとえば――

「自民」という言葉は戦後にできた。これを「ジミン」と読むことは、誰かが勝手に決めた。「ジミン」に意味はない。〈おのずからたみ〉と読むのか。

「文科」は、普通、「ブンカ」としか読まない。だが、「文科省」の「文科」は「モンカ」と読む。二十世紀にこんな読み方はなかった。

「動物語」は何と読むか。「ドウブツゴ」か。「ドウブツがたり」か。「動く物語」か。「ドウブツゴ」は『ドリトル先生』に出てくる。「ドウブツがたり」は、動物が語り手の『黒馬物語』とか。「動く物語」には詩的な意味がありそうだ。つまり、適当な文脈があれば意味が生まれそうだ。

私は、どうやったら完璧に漢字を読めるようになるのか。

答えはない。

規則と常識が相容れないとき、どうしたらいいのか。笑って済ませるようなことではない。

法律と慣習。ルールとマナー。知識と印象。これらが矛盾するとき、どうすればいいのか。

私は非常識な規則を批判しているのではない。子供に規則を押し付けておきながら、その当人が規則を軽視する。そんな大人の狡さ。これに苛立っていた。

大人は信用できない。

ウロシだった。

(動物物語 終)


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ウロシだった。~動物物語2

2024-02-03 00:46:31 | エッセイ

   ウロシだった。

     ~動物物語2

思いつくまま並べる。

色紙 シキシ・いろがみ

三月 サンガツ・みつき

五月 ゴガツ・さつき

一夜 イチヤ・ひとよ

十六夜 ジュウロクヤ・いざよい

行人 〔6411 嫉妬妄想〕参照。夏目漱石を読むという虚栄 6410 - ヒルネボウ (goo.ne.jp)

下下 ゲゲ・しもじも

勝負 ショウブ・かちまけ

大人 タイジン・おとな

北国 ホッコク・きたぐに

白鳥 ハクチョウ・しらとり

上方 ジョウホウ・かみがた

足跡 ソクセキ・あしあと

山間 サンカン・やまあい

来年 ライネン・くるとし

明日 ミョウニチ・メイジツ・あした・あす

上下 ジョウゲ・ショウカ・うえした・かみしも

前後 ゼンゴ・まえうしろ

左右 サユウ・ソウ・ひだりみぎ

大雪 ダイセツ・タイセツ・おおゆき

煙管 キセル・エンカン・けむりくだ

盛土 もりド・もりつち

法面 のりメン・のりづら

思惑 シワク・おもワク

白夜 ハクヤ・ビャクヤ

西方 セイホウ・サイホウ・にしかた・にしがた

関西 カンサイ・カンセイ・カンゼイ

女性 ジョゼイ・ニョショウ・ニョセイ

装束 ショウゾク・ソウゾク

重複 チョウフク・ジュウフク

仏語 ブツゴ・フツゴ

入水 ニュウスイ・ジュスイ

図画 ズガ・トガ

図書 トショ・ズショ

妄想 モウソウ・モウゾウ

手斧 ておの・ちょうな

行先 ゆきさき・ゆくさき

行方 ゆくえ・なめかた・なめがた

雑木 ザツボク・ゾウボク・ゾウモク・ゾウき

読み方は前後の文脈によって決まる。けれども、必ずしもそうとは限らない。同じ読みでも違う意味の場合がある。

どうしろと言うのか! 

ウロシだった。

(終)


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