大阪迷い…そぞろ歩き

夜の用事を終えてほろ酔い気分となっていた大阪の夜。気が付けば、梅田駅近くの歩道橋の上でオロオロしていました。

梅田駅は諦めるとして、ちょっと小腹が空いたからと、店を探しながら街をブラブラ歩くことにしました。いつの間にか北新地に吸い込まれそうになったりして、何やら混迷の度を深めていたところで、街の地図板が見つかったのです。
道迷いには慣れていますから、地図読みは大得意（？）。自分の位置と帰り道を確認したところ、そこから北の方角に目指す新大阪駅が書かれているではありませんか。

「何か、近そう…」

そう思い折角時間もあることですからと、地下鉄を無視して歩いてみる事にしたのでした。何も疑問を持たないままに…。

人々の流れに巻き込まれながら、北と思われる方向を目指して歩いていくと、新梅田なるオサレスポットに辿り着きました。そこは、クリスマスイベント中のようでして、イルミネーションや巨大ツリー、何とメリーゴーランドまであって大賑わい。気分がほっこりします。

そこから離れると、人気が一気に無くなってしまい、何とも寂しい感じとなりました。見知らぬ土地ということもあって、ドキドキしながら進んで行くと、淀川と巨大な橋に突き当たりました。思った以上に長い橋を越えた先には、賑やかな場所が見えてきます。あれが新大阪だろうと歩いていくと、賑やかな場所に到着しました。先程は、結局何も食べずにいたため、このあたりで食事をしてから駅に向かうことにしたのですが、新大阪周辺にしては、歓楽街のような賑やかさが気になります。交差点に差し掛かり、信号に書かれていた地名は

「じゅう…さん？」

いや、十三。
地元の土地勘が無い自分にもここが新大阪でないことは分かります。駅に行ってみれば、新幹線とは無縁の可愛らしい駅のたたずまいと焼き鳥の煙がもうもうと…。方角はあっていたものの新梅田に寄り道した関係で、ズレが生じていたようです。
いつもの歩き易い靴ならともかく、ここぞとばかりなフォーマルな格好でしたので、次第に足が痛くなってきましたし、日中に山を歩いていながら今更手遅れではありますが、靴底も一気に磨り減らされてしまった様子。こうなると、最後まで歩かないと気がすみません。食事するという考えは、いつの間にか何処かに消えて、ただひたすら、北東に向かって歩いたのでした。

それから30分…簡単な思い付きで歩き始めてから気が付けば1時間以上、ビシッとスーツで身を固め、引出物を片手にしたオトコは、大阪の街を歩き倒したのでした。

地図が読めても、ちゃんと縮尺は見ないとダメですね。皆さんも知らない土地での冒険は、気をつけて下さいね。