読み始めたら止まらなくなり、
一気に1日で読み終えてしまいました。
1990年に刊行された作品。
ラストの一行は書く前から決まっていたそうです。
最後の10ページで「宿命」の本当の意味が明かされます。
あぁ、こういうことだっだんだ・・・と。
悲しくもあるけれど、最後の一行で少し救われるかな。
ふっと肩の力が抜けます。
とにかく沢山の人間が登場します。
その一人一人が、ジグソーパズルのピースのように、しかるべき場所にハマっていく。
そして最後の1ピースがはめ込まれた瞬間の快感!
何かあるとは感じていたが、思いも寄らなかった事実が現れた。
すべてが氷解、着地点の見事さには、ただただ感心するしかありません。
犯人探しはもちろん面白いのですが、人間の結びつきの意外性が小説の面白さを倍加させていますね。
真犯人にたどり着くキッカケが主人公勇作の推理ではなく、同行捜査していた織田の着眼によるというのも皮肉でした。
犯人が何気なく喋った言葉に疑念を抱く。
二人一緒に、同じ言葉を聞いていたはずなのに。
思い込みは、捜査の邪魔になるだけ。
何物にもとらわれずアンテナを張った状態でいないと、感覚が鈍って引っかかるものを見落としてしまうね。
そういう私も全く気づきもしなかった・・・
複数の人間が、同じ時刻に同じ手口で殺人を考え、いちどきに行動を起こすから、犯人が誰なのか見当が付かなくなった。
おまけに、妙な具合に共犯関係が成り立ってしまうんだから。
殺人とは程遠い人間に見えるし、動機が見当たらない。
この動機にまつわる昔の出来事が、どうにもやりきれないよね。
物語の根底に人間の哀しさや切なさが描かれているので、単なるミステリーに終わらない。
だから、また東野圭吾の作品を読んでみたくなるのかもしれません。
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