イリスの色いろのお話

イリスのエレガンス★コミュニケーション blog
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六条御息所 源氏ものがたり

2010-04-18 12:01:52 | 着物
過日、林真理子さんの
「六条御息所 源氏ものがたり」
が発刊された記念のトークショーに参加しました。


「六条御息所 源氏ものがたり」は、
雑誌「和樂」に連載されたものに加筆訂正して単行本化されたもの。
私は「和樂」は創刊以来お気に入りでしたが、
林さんの「六条御息所 源氏ものがたり」が連載されてから、
それが楽しみで読んでいるようなものです。

「私の名をどうか聞いてくださいますな」

と、はじまるこのものがたり。

聞いてくれるな、と言われると、
聞いてみたくなるのが人情というもの。
そこからがもうすごい!
六条御息所の口を借りてあらわす源氏の君や女房たちへの視点は、
まったく新しい源氏物語のおもしろさに目を見開かれる思いです。
私は林真理子ファンではなかったけれど、
これにはもう感服いたしました。


「源氏物語」といえば、誰でも知っているけれど、
実はそれほど読んでないのが実情でしょう。
知らないながらも、
六条御息所は生霊となって葵の上を殺してしまった、
ということくらいは知ってますよね。

初めのうちは、年上の女の怨念はなんて怖いのかしら、
と思ったものですが、
六条御息所の可愛げのなさは、
高貴な身分と深い教養からくる気高さであり、
プレイボーイの源氏の君より年上である引け目もあって、
これいたしかたない、と、
私も年を経るにつれ、六条御息所に肩入れする気持ちになっていました。

そこに、林さんの連載が、
それも、千住博さんの挿絵で始まり、
毎月楽しみに読んでいました。

千住さんも源氏をかなり読みこなしていらして、
源氏は周辺のものがいっぱいあるけど、
それが源氏物語そのものを普遍化しているゆえんだ、
ということをおっしゃっていました。

普通、源氏物語の挿絵というと、
美しい装束をまとった黒髪の美女などが描かれそうですが、
そこは千住先生、
2000年前の貴族が見たであろう月夜であるとか、
闇であるとか、そういう景色を描かれる。

一流人て、やはりすごい!

本の装丁も素敵で、
表紙は紫色の布張りで、帯はモノクロで女性が横たわり、
半透明の白い紙で覆われています。
フランス人が喜びそうな感じですね。

今回は第1章 光の章ですが、
連載はまだまだ続き、次回作も楽しみにしております。

そうそう、
「誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ」
林真理子×山本淳子 (小学館新書)
も、あわせて読むとなお楽しめます。