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アイルランド・ハイスクール・ダイアリー「Vol.5/トランジションイヤー【体験談】Sくん(1/3)」

2005-11-25 06:52:54 | アイルランド・ハイスクール・ダイアリー
【美術が得意なSくんのアイルランド芸術挑戦記(1/3)】(St.Andrew’s College)

 これからアイルランドへ留学を考えている方々へ。一年足らずですが、アイルランドで美術の他、沢山の経験をしてきました。その経験から、アイルランドにおける芸術の包容力のすごさを紹介したいと思います。

 僕が始めてアイルランドにおける芸術文化の包容力のすごさを実感したのは2004年のクリスマス前に行われた行事です。

 『クリスマスフェア』と呼ばれるこの催しはトランジションイヤー(=4年生。日本の高校1年生)のボランティア活動の一環で、生徒が手作りしたパン、ケーキなどのお菓子の販売、美術のクラスを選択した生徒の描いた花のアクリル画のオークションなどが行われました。売上げ金は全てアフリカへの義援金として使われます。

 まず学校を挙げて、このような規模のボランティア活動が行われることに感動しました。当日は保護者の方々や一般の方々が多数訪れ、とても盛り上がりました。

 この催し物で、『Flower For Africa』と呼ばれる生徒製作の草花のアクリル画を僕も一点出しました。作品はブラウンの背景に、右下のパープルの花びんから、校内で見つけたオレンジとホワイトのフューシャを4、5本垂れさせた静物画です。当日、先生に提出したところ、とても評判が良かったのを覚えています。本番では全てのアクリル画が30ユーロ(当時日本円で1ユーロ135円ほどです)からスタートするオークション形式(買いたい人がノートに名前と値を書いてゆく形式)だったのですが、友人には「100ユーロは下らないよ」と肩をたたかれました。

 結局、学校の警備員の方に60ユーロで落札していただきました。そのオークションでの最高額でしたがそのことよりも、周りの反応におどろきました。しゃべったこともないような生徒からは「君の絵はうまかったよ。最初見た時はなんてこった!って思ったよ」というコメントを受け取り、美術の先生からは「そのうち私のためにも一枚描いてね」と依頼されてしまいました。

 後日、絵を落札した警備員の方と話しましたが、ホワイトのフレームをつけて、家に飾っていただいているそうです。実は結果だけではなく他の生徒の作品にも衝撃を受けました。パープルの下地に、シルバーで切り絵のようにシャープなラインで描かれた物など、日本人との色彩感覚の違いを知りましたし、こんなに多くのポジティブなコメントをいただけたことがすばらしい体験でした。

 日本だったら「何でこんなのが描けんの?」などのネガティブなコメントくらいしかもらった覚えがありませんが、このように「なぜうまいか?」ではなく「うまいものはうまい」といったような性質のコメントには勇気づけられますし、能力の上達にもつながります。このような最初の体験はとてもうれしかったですし、衝撃的でした。

 次にもっと衝撃的な体験をお話します。ビジネス的なお話です。
ちょうど三月頃だったでしょうか、初心ドイツ語の授業で生徒全員に課題が出されました。有名なドイツ人のバイオグラフィーを作り、授業で発表するというものです。ちょうどその頃、ナチスの生き残りで、南米でいろいろと活動していたクラウス・バルビイというドイツ人の本を読んでいたのでその人のバイオグラフィーを作ることにしました。

 関連人物の顔写真なども必要だと思い、小さい写真を元にペンで輪郭を書き、影の部分をたて・よこ・ななめなどの直線の本数だけで濃淡をつけてゆく形式の似顔絵を作り、それを混じえて発表を行ったところ、先生に非常に受け、「今度、名づけ子の誕生日があるんだけど、その子の似顔絵を描いてくれないかな?お金は払うよ」と相談されました。しかも「それと、もしよかったら、私の子ども達の似顔絵も描いてくれ」とまで言われました。

 日本の学校ではまずありえないやり取りです。日本では、時として金銭的なやり取りを好ましく思わないことがあります。もしも生徒と先生との間にこのようなやり取りが交わされようものなら、学校や保護者から非難の声が上がり、「不謹慎」だの「お金は才能のモノサシじゃない」だのバッシングを浴びてしまいそうな気がします。しかし、こちらの感覚では「客と店の立場」、「ビジネスとしての建前」と、かなり割り切った考え方になり、全く問題になりません。「お金を払う(お金を払う価値がある)人だから」ということで、むしろお金の存在が清められるのです。とてもおもしろい文化です。

 結局その日のうちに写真をもらい、名づけ子の似顔絵の方は油彩で、そして子どもたちの肖像画はえんぴつで淡い感じを出して描きました。

 その事をホストファミリーに話すと、ちょうどその場にいたファミリーの娘さんから「それだけの腕があれば、グラフトンストリート(ダブリンの中心にあるショッピング通り)で稼げると思うよ。折りたたみイス持っていってさ。実際、私もスペインで似顔絵描いてもらったときは路上だったし」というような提案を受け、写真をもらってアレンジして描く方式でチャレンジしてみました。すると少数ですがお客さんが来てくれるようになり、今では定期的にグラフトンストリートで似顔絵を描いています。

 日本で考えた場合、家に絵をかざる習慣がまだまだ一般的とはいえず、風景画はおろか、肖像画を描いて欲しいという人は少ないことだと思います。日本とアイルランドでは、そのあたりの文化がとても違います。アイリッシュの家の壁には、家具の扱いと同じように沢山の写真や絵画がかざられています。日本でいう書画や陶器などの骨董品と同じような感覚ではないでしょうか。そのため週末のダブリンではいたるところで沢山のマーケットが行われ、美術品を専門にしたお店も少なくありません。このようにヨーロッパは芸術に対する文化が日本に比べて、はるかに開けています。



St.Andrew’s College 異文化に興味のあるAちゃんのトランジション・イヤー体験談はコチラ
St.Andrew’s College 歌が大好きなYちゃんのコーラス活動と図書館勤務体験記はコチラ

■トランジションイヤーの記事はコチラから>>>
トランジションイヤー後編(2005/11/25)
トランジションイヤー前編(2005/11/18)


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