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一歩先の経済展望

国内と世界の経済動向の一歩先を展望します

中国の対米輸出に急減の兆し、コンテナ運賃が急落 日本企業も苦境に

2025-04-14 17:15:37 | 経済
 14日の東京市場では、前週に見られたパニック的な市場心理が沈静化し、日経平均株価は反発した。だが、米中貿易の最前線では、上海から米西海岸向けのコンテナ運賃が昨年末から44%低下し、トランプ関税による貿易縮小の副作用が顕在化し出した。3月の中国輸出はトランプ関税実施前の駆け込みで大幅に増加したが、4月以降は急減する可能性が高い。国内の資産デフレに悩む中国にとって、これからは経済の「内憂外患」に直面することになる。対中ビジネスのウエートが高い日本企業にとっては、今期の業績見通しを公表できないほどの苦境に直面する可能性が高まっている。

 <朝令暮改のトランプ関税、強まる先行き不透明感>

 14日の日経平均株価は、前週末比396円78銭(1.18%)高の3万3982円36銭と反発した。米政権が11日、スマートフォンやパソコンと同部品を相互関税の対象から外すと公表。その後、ラトニック米商務長官が13日になって、除外したスマホなど電子関連製品は半導体関連分野の関税対象になり、1-2カ月後に詳細を公表すると述べた。
 さらにトランプ大統領が13日、大統領専用機内で記者団に対し、半導体を対象にした関税措置について「来週中にも発表するつもりだ」と述べるとともに「一定の柔軟性を示さなければならない」とも語り、14日の市場反応が注目されていた。
 東京市場では、最も打撃を受けるケースは回避されたとの見方が主流となり、買い戻しが優勢となったものの、トランプ政権の政策発信が「朝令暮改」というイメージを強め「先行き不透明感で上値を追えない」(国内証券)という声も目立った。

 <上海から北米向けコンテナ運賃、昨年末から44%の急落>

 市場はホッと一息入れた形だが、貿易実務の最前線ではトランプ関税のマイナス効果が牙をむき出してきた。上海海運取引所によると、国際コンテナ船運賃の指標である上海コンテナ運賃指数(SCFI)は、4月11日には1349.68とに昨年末の水準から44%の急低下となった。
 これは足元における上海から米西海岸向けの輸出用の貨物数が急減していることを示しているという。
 国際的な海上運賃の指標となっているバルチック指数も、今年の最高値を記録した3月14日から足元では23%低下して1274となっている。

 <3月中国輸出は駆け込み、4月以降は反動減とトランプ関税のダメージ重なる>
 
 中国税関総署が14日発表した3月の貿易統計によると、輸出は前年比12.4%増と市場予想の4.4%増を大幅に上回った。これはトランプ関税実施前の駆け込み需要の影響が大きかったとみられるが、4月以降は駆け込みの反動減だけでなく、高関税で輸出が事実上ストップする製品群の影響も加わって大幅な落ち込みになると指摘したい。
 中国経済は、資産価格の下落による消費の落ち込みという典型的な「資産デフレ」の現象に直面してきたが、これまでは輸出増で国内の景気低迷分を補ってきた。
 だが、トランプ関税によるダメージで対米輸出の大幅な減少が見込まれるほか、他地域への輸出もトラン関税の波及効果による需要減退の影響を受けてマイナスに転落する公算が大きい。中国は停滞色を強める内需に輸出減少の外需という「内憂外患」に直面することになる。

 <内需停滞に外需の落ち込み、中国当局は給付金交付や減税を検討すべき>

 ここで筆者が指摘したいのは、中国当局が実施している自動車や家電の買い替え促進策や、公的資金による株価がの下支えではこれから襲ってくる需要の落ち込みに対応できないということだ。
 中小零細の対米輸出業者の連鎖倒産も予想される中で、幅広い中国国民を対象にした給付金の交付や大規模な所得税減税などの所得面での支援が不可欠になると予想する。
 だが、中国当局は供給サイドのテコ入れに重点を置く政策を継続しており、このままではトランプ関税の大きな衝撃を受け止めることができず、大量の解雇者の発生と消費の落ち込みを覚悟しなければならなくなると予想する。

 <中国ビジネス傾斜の企業、業績見通し不開示が多発も>

 内需の落ち込みの前兆は、3月貿易統計の輸入が前年比4.3%減と市場予想の同2.0%減よりも大幅に悪化していることでもうかがえる。
 このため、中国ビジネスのウエートの高い日本企業にとっては、過去に経験をしたことのない売り上げと利益の落ち込みが到来することになるだろう。中国ビジネスに傾斜した少なくない日本企業が今期の業績見通しを不開示にする公算が大きいと予想する。

 <元安誘導なら米が猛反発、資金逃避発生なら金融危機のリスク浮上>

 もう1つの懸念は、中国当局が元安誘導に動き出した可能性があることだ。通貨安に対しては、トランプ米大統領、ベッセント財務長官がそろって強く非難する構えを見せており、どこかの時点で米中間の緊張を高める要因として注目されるだろうと予測する。
 筆者が指摘したいのは、元安誘導の副作用として、中国国内の富裕層によるマネーの海外資産へのシフトが活発化することだ。中国マネーのキャピタルフライトが本格化すると、中国国内の金融が引き締まり、地価下落による連鎖的な経済縮小に拍車がかかる。放置すれば、中国発の金融不安を招きかねない。
 世界の市場参加者がトランプ関税のマイナス効果によって米国経済優位の構造が崩れることに気を取られているうちに、中国からのマネー変調のうねりに飲み込まれるというのが、最も避けるべきシナリオだと指摘したい。
 ドルのトリプル安現象だけでなく、中国からの輸出フローデータやマネーフローの変化にも、より敏感になるべきだと考える。

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