無題

特になし

我が短歌 デジタル砂漠2010

2011-10-04 07:31:57 | Weblog

▼デジタル砂漠1

哀しけり、デジタル労務。ソースコード寝ても覚めても組めり脳裏で

限りなく欲望飲み込む資本枯れブラックホールに排泄、寝たきりで

廃棄PC、死出の旅路にデジタルのあの世へ脳の記憶抱きしまま

傷口に刈りし草汁、血と混ざりリアルが沁みる家庭菜園

バーチャルの博打のツケか石神井川、ハズレ券の花吹雪が舞う

社会基盤、維持を放りてバーチャルの果実に寄生し自滅をしたたむ

生き物のDNAの中でさえデジタルの種が光芒放つ

生き物の故郷は二値の界なるかアウフヘーベン、物語を織る

IDカード、かざして入るITの寓話館にて日々人を演ず

ビルの外、木立の下で踏みしめる大地よもっと近くで助けて!


▼デジタル砂漠2

プロチスタinfoを食して退化中、原始は胎動、破壊はビート

輝きは繁殖期のみ身の丈が似合っているのさ僕ら動物

死してなお諸説散らしてITのGODの後を馬鹿がのさばる

魂の救済知=遊里で我が心のバージョンアップは瞑想迷走

接吻しても脱糞しても大地かな。我が思惟は浄化槽を越えず

鼻歌を歌いつ凍てつくバーチャルの日本に熱き小便たらす

垂れ流すバグで犬の糞のようにネットの裏道、我は汚せり

頭がA奈、胴がS子、四肢がM穂、ポリゴンこねて怪物と寝る

恋人よ触手をからめてバーチャルの夢崩れる間に凛と交わらん

デジタルの記録メディアは揮発性?潔いかもピーマン世代



▼デジタル砂漠3

デジタルのガジェットはまる有機体、存在忘却、狂いて死ねり

デジタルの都市を維持するlaborよ是生滅法君等が蜂起だ

デジタルの歪みにはまり回向する殉教者たちの祈りをオクル

有限の地球で膨らむ経済はバーチャル芸だ。無量のお手玉

デジタルの塔の新人入社式。翳りなき顔々まるでクローン

ゲーム機に朝から晩まで個を吸われなしのつぶてのデジタルキッズ

デジタルのデータの代謝は際限なしバッチコマンド永劫回帰

数値に依る戦略よりも勘が産むデジタル市場の勝ち犬負け犬

我思惟の痕跡ドットの並びより無なり宇宙の塵以下に散る

デジタルの都市の片隅の箱庭にアナログの四季が残りてあやなし


▼デジタル砂漠4

二次元の異性で癒せしデジタルの下流戦士の性はかげろう

給料日デジタル砂漠のオアシスでfreedomを初めて買えり

デジタルの若き英霊、薄き墓標、生きる喜び知らずに逝きし

幼少期、見えた未来のデジタルの砂漠の中に自分がなかった

デジタルの砂漠に途絶える命の川、父の仇討ち息子はするや?

山に上り叙事詩を叫ぶ。デジタルの雌雄を決したがらくたの

虚構をば担いて幾とせデジタルの今では消滅言語の語り部

幸せ遠し格差拡大、知と富を再分配せず仮想空間

バーチャルの絆を編んでSNS炎上続く間合いの悪さ

デジタルの夢の墓場のエントロピー、末法の世で魔界転生


▼デジタル砂漠5

0と1、外れし闇の存在をデジタルは隠しリアルだと言う

デジタルの歴史を刻みし媒体のリレーがコケて断絶に驕る

大学のマシンルームで最初から他人のソースをコピーした我

朦朧と最終電車でデジタルがとりつくコードに青春滲む

ITの工場の下層で台車押し肉体使役に壮年消えゆ

ラダイトだ!消去、壊せどデジタルは複製されて創世する

デジタルにあらずば人にあらずだが我が心よりアナログは死なず

アナログの刹那にゆれた我が魂、働きづくめで白い粕になる

デジタルの支配に挑みし表現者、命を賭して意味を超えゆく

バーチャルの都に天の涙こぼれ津波のようなフォーマットしなむ

 

▼デジタル砂漠6

開票のテレビつけたまま爆睡す。時代と互する力失せし日

昼休み、ビルより滑落バーチャルの割れ目の大地で悶絶失禁

地表から涙のように天水が湧いて仮想のハートが湿る

青空と青桐の幹のテクスチャ網膜えぐるバーチャルウォーク

剪定後ムクゲみつきで復元しデジタル人(びと)は吐き気をもよおす

百日紅伝達されぬメッセージ、ピンクのディゾルブ街を抜けゆく

覆いてもリアルがしみでるバーチャルの石神井川の腐臭とヘドロ

実存のメタセコイアは原始より息吹を吐いてサイバー固化する

もみじの葉仰げば我子の手に似たり愛しく見つめる社屋の裏で

十三時、門のツバキの実を撫ぜて仕事モードのデジタルの塔


▼デジタル砂漠7

イーハトーブ慈愛に満ちた郷(くに)を追われデジタル荒野で情を切り売る

啄木の粗野な矜持とエナジーがなかりせば郷(くに)はデジタルに朽ちる

石神井川大地の意志が法の雨護岸を超えて都市は沈めリ

つれづれなるハイブリッドのデジタルの宦官坤輿の未来にあそぶ

生贄のデジタル戦士の心臓がぴくぴくはねる真夏の正午

バーチャルの使徒が導くパラダイス虚像に愚衆、猛進、消滅

雨の日に輝きの増す紫陽花より心に雫おちてわとなる

ハチやアリの世界のようにデジタルの分業ゆきて機能があがく

帝国は無性生殖に滅び去り野の花個我に乱れて咲けり

脳&チップ言語を捨てて今すぐに銀河の向こうの星で暮そう


山川浩一のスタンダードジャズ入門
http://www.voiceblog.jp/yamafan/

山川浩一先生
http://www14.plala.or.jp/inu789/yama/