ISOWA人聞録

インターンシップ生から
就活生に贈る、ここだけの話。

0:プロローグ

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
■MANZOKU調査隊とは?

・社内プロジェクトチームの名称。

・部署、性別、入社年数が異なる8人の隊員から成る、

・主に、社員満足度を測るアンケートの作成をしており、現在はほぼ出来上がって
いる状態であるが、実施には踏み切っていない(2008年8月22日現在)

・会議は月1、2回程度。

・隊長、副隊長、書記がいる。

・会議時間は2時間が目安。

・その正体はほとんど社員に知られていない。

・実際、ファミリーオープンハウス(※)の企画もしているが、これはMANZOKU調査隊の本来の活動ではなく、あくまでアンケート作りがメインである。

・決定権を持つ議長はいない。

※ファミリーオープンハウスとは、社員の家族や近所の人にISOWAを知ってもらい、社員の家族同士の交流を図ることを目的としたイベントのことである。
オープンカフェや社内見学など様々な催し物がある。


1:MANZOKU調査隊 発足のいきさつ

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
■社長の話
 ISOWAの経営理念は「世界一社風のよい会社」を目指すことである。
しかし、ただ明るい雰囲気だけでは会社は成り立たない。

企業の目的は利潤を追求することである。
ISOWAは、
その本来の目的を達成するために
ISOWAの製品を買っていただくお客様に満足してもらいたいと考えている。

そのためには社員がはたらくことに対して満足していることが大前提だ
つまり、顧客満足を満たすためにはまず社員満足を満たすことが先決だ、と考えた。

さらに、社員が満足して働くためには、社長がよりよい環境をつくる必要がある。

しかし、社員の為を思ってしたことが、恩着せがましくなってしまったり、やらされ感が残る結果になったりした。
社長の考えを押し付けるような形では、うまくいかないことがわかった。
社長が社員に対して働きかけるのではなく、
社員自身が、“気持ちよく働くために必要なこと”を自発的に行うことができれば、

きっと満足して働くことができるだろうと思うようになった。

つまりこれはこういうこと!



そこで「社員が気持ちよく働くために必要なものは何か、何が満たされれば満足するのだろうか。」ということが疑問に思えてきた。
その疑問を解くために、社員の手によって“社員の満足度を測るアンケート”を作ることを閃いた。

これはつまり、
社員の視点で社員満足について考え、自己評価する必要があるということ。

その為に生まれたのがMANZOKU調査隊である。



2:メンバー紹介

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
■8人の隊員について

隊員紹介(グループ名、入社年、何年目)



S・Aさん(管理グループ、2001年入社、8年目)



H・Yさん(大阪営業所、1991年入社、18年目)



E・Mさん(営業技術グループ、1992年入社、17年目)



H・Oさん(電子技術グループ、1989年入社、20年目)



Y・Iさん(加工グループ、1988年入社、21年目)



S・Wさん(工務グループ、1972年入社、27年目)



T・Fさん(サービスグループ、1989年入社、18年目)



M・Aさん(購買グループ、1990年入社、19年目)

3-1 MANZOKU会議の変遷

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
①MANZOKU会議ができるまで

MANZOKU調査隊会議第一回のとき、社長の考え(顧客の満足<社員の満足<社長の満足)を聞き、プロジェクト内容(社員満足度を測るアンケート作り)を知った。

会議を始めたばかりの頃は、どのように社員満足について話し合えばいいのかよくわからなかった。

そこでまずMANZOKU調査隊は「社員の満足の源とは何か?」と考えた。

手始めに、各隊員はそれぞれの所属グループで「どういうことが満足に繋がると思いますか」という質問をし、それに対する社員からの意見を集めた。

その内容は「~が欲しい」という言葉で言い表される“物的欲求”、
つまり「給与がもっと欲しい」であるとか、「休みがもっと欲しい」のようなものが多かった。
今の自分にとって足りないものを満たせば、満足につながるのではないか。
そんな風に考える社員が多かった。

 しかし、「それもひとつの考え方ではあるが、足りないところのみを求めるのではなく、もともとあるいいところに注目してそこを伸ばそう」というO隊長の考えをもとに、会議は進められた。

「社員からの意見を見てもわかるように、勿論 物的欲求があるのは、人間当たり前であるし、会社に勤めている以上求められてしかるべきである。しかし、それでは際限なくモノを求めるばかり。「誰かに自分を認めてもらいたい」「何かに取り組む上で達成感を感じたい」など、目に見えない欲求も私達は持ち合わせているということもまた事実である。」

つまり、

「社員の満足を上げるためには、物的欲求と、精神的欲求の両方を満たす必要がある。
物的欲求は部署ごとで異なるが、精神的な満足には各部署に差はない。

そこで、制度やお金で解決できる(?)物的欲求は労働組合に任せるとして、MANZOKU調査隊は社員の「精神的満足」を満たすことを目的とする会議の方向性が決まった。


3-1 Q&Aコーナー

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
Q:もともとMANZOKU調査隊の8人は知り合いでしたか?
A:仕事の上ではつながりのある人もいたけど、いずれにしろ特に個人的な話をするような間柄ではなかったかな。(by W氏)

Q:社長はMANZOKU調査隊会議に同席していたのですか?
A:初回は社長も同席されたけど、“社員同士が本音で話し合えなければ意味がない!”と思って、「次からは席を外していただけませんか」と勇気を出して社長に提案したよ。それ以降は隊員のみで話し合っていて、社長には議事録を渡しているんだ。(by F氏)



Q:MANZOKU調査隊には「隊長、副隊長、書記がそれぞれいる」ということを聞いたのですが、それは誰で、どういった役割をしているのですか?
 A:隊長はO氏。副隊長はY氏、書記は私だよ。by A氏

役割ね・・・まず会議の先陣を切るのが副隊長。勢いがあって心強いよ。
書記のAさんは、会議の内容がどんなにふくらんでも最終的にちゃんとまとめてくれるんだよ。あれはすごい才能だね。隊長は僕なんだけど、暴れ馬の副隊長の手綱を引っ張るのが隊長の役目かな(一同笑)by O氏

その他にもオープンハウスでは知的好奇心分科会、広報分科会、イベント分科会の3つのグループに分かれてるんだよ。by An氏
 
Q:それぞれ何をやっているのですか?
A:知的好奇心分科会はISOWAの会社紹介や機械の見学会を企画しているよ。
広報分科会はオープンハウスを社員に知らせるチラシを作ったり、出席をとったりしているよ。
イベント分科会はオープンカフェや屋台などの準備をしているよ。
ちなみに、知的好奇心分科会はY氏、Am氏、W氏で、広報部はM氏、O氏、I氏、アトラクション部はF氏と私だよ。by Ad氏


3-2 MANZOKUな雰囲気になるまで

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
■人が一般に「会議」というものを想像したとき、「遠慮がち」や「堅苦しく重い感じ」とイメージしがちだが、MANZOKU調査隊会議にはそのような雰囲気はない。

隊員たちが「社員の満足」という抽象的なテーマを、そのような会議の雰囲気の中で議論することはふさわしくないと考えたからである。

8人が会議を重ねていく中で、「社員の満足について考えるとしたら、まず自分達自身が満足して会議をしなくちゃいけないよね」「そうだね」「そうだね」と多くの隊員が共感した。

「せっかく会議やるなら楽しくやろうよ!」(by O氏)

「笑いをもってやろう!」(by F氏)

そうは言ったものの、会議を始めたばかりの頃はなんとなく雰囲気が固く感じられるような時もあった。
そんな時は、「皆、ちょっと固くない?!」とY氏が皆に言って雰囲気を盛り上げていた。
すると「そうだね」と同意した隊員達の顔がほころんだ。

そうして次第に自然にMAZNOKUな雰囲気の会議ができるようになった。


3-3 みんな気軽に、でも真面目に

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
MANZOKU調査隊会議の雰囲気は「和気あいあいとしていて楽しげ」だが、それだけで言い表すことはできない。

一見、雑談しているようでも、話している内容は真面目で、それに取り組む隊員達の姿も真摯である。MANZOKU調査隊は、このようなギャップをあわせ持っているのである。

MAZNOKU調査隊はアンケートの項目を作るためにマインドマップ(※2)を作った。

(※2社員が満足するために何が必要かを示した樹形図のこと)

そのとき隊員は、昔あったこと、今、自分のグループで必要なことをざっくばらんに話した。

「そういえば制服があったよね」「そうそう、女の人はみんな同じ格好をしていたんだよ」「社員報もあった」「あれは面白かったからまたやりたいよね」

こんなふうに盛り上がりながらも、

マインドマップの項目が徐々に浮き彫りになっていったのである。
MANZOKU調査隊会議は、
ISOWAが目標に掲げている“気軽に真面目な話ができる”会議に近い形なのだ。

3-4 本音を・・・!

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
普通、会議では議論するテーマに対して“正解を出そう”とする傾向があるが、MANZOKU調査隊会議では、“出すべき正解はない”という姿勢を貫いている。

これはつまり
「どういうことが満足に繋がるか」の答えは一つではなく、社員の数だけ答えが存在し、むしろ全ての人の答えが正解になりうるということ。

「今作っているアンケートが完成形だとは思ってない。アンケートの内容は常に改善の余地がある」by O氏

I氏を取材した折に、印象的な言葉に出会った。

「この会議では、正解を求めている訳じゃない。意見を求めているんだ。」

だからこそ、それぞれ8人の隊員が集まって意見交換することに意義がある。

しかし、

「自分勝手に意見を言ったり、体裁を気にして建前を述べたりするのでは意味がない。」
by O氏

そう、ここでの意見とは、隊員がもつ「本音」を意味する。

例えば…

「正直、女子トイレが和式なのは困るよね」
「音姫(※3)がないのもちょっと」
by M氏
(※3各自調べてください)

“日ごろ気になっていながらも、なかなか言える機会がないこと”を素直に言うことで、何かが変わるかもしれない。

「自分の意見を、会議で自分の口から言えるというところが嬉しいよね」by M氏

こんなこともあった。

Am氏「会社の数値目標っていっても、うち(管理グループ)は仕事内容には直結しないから意識しづらいんだよね」 
Y氏「そういえばそうだね。そこは営業とは違うなぁ。」

本音で話し合えなければ、社員の実情を知ることができないし、8人がMANZOKUできる会議にならない。

3-5 本音で話し合うために必要なものとは?

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
本音の話し合いは雰囲気のよさだけでは実現しない。

では、雰囲気以外に何が必要なのか。

I氏は、「正解のないこと、何もないところを原点にものをつくりあげるには、人との関わり合いが大事。」と言う。

「和を以って貴し」
「自分が何かをすることで相手が喜ぶといいよね」ともW氏は言う。

「MANZOKU調査隊会議は、とりあえず言ってみた!っていうのが許されるんだよね」とM氏は笑顔で話す。

この背景には、“こういうこと言うと、みんなはどう思うかな”と意見を言わずにいるのではなく、「こう思ったんだけど」とオープンに発言できる、
“みんなが自分の意見を受け止めてくれる安心感”
が隊員同士の間に存在するということがうかがえる。

また、F氏は「(議論する中で)意見と意見がぶつかり合うのは当たり前。ぶつかり合ってこそ分かりあえる。人と意見が違うなって思っても、その意見について考えて、自分で納得できる。だからこういうことは、実際言ってみないと分からないよね。」とコメントする。

相手を尊重するということは、自分の意見と照らし合わせる過程も含んでいる。


3-6 安心と信頼の源

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
こういった安心感や信頼感は、どういう理由から実現しているのか?

W氏は、「それは(MANZOKU調査隊が)調和の取れたメンバーであるからだ」と言う。


色々なアイディアを出してくれる人、ここぞというときに良い一言を言ってくれる人、全体の流れを見てくれる人。それぞれ独自の性格・特性を持つ8人は、なるほど調和が取れている。

Am氏は、メンバーについて「自分の意見と違う意見も取り入れることができる人たちばかりだからね」と語る。

8人寄れば勿論意見や考え方も全く違う。
しかし、それを認めたうえでお互い尊重できるメンバーでもあるのだ。


3-7 捨てるのではなく、いいところを集める!

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
W氏は、「議論においても(意見同士の取捨選択としての)一進一退ではなく、さまざまな意見の集約の中でうまいこと流れていくんだ。」とも言う。
つまり、一つの意見のみを採用して他の意見を捨てるのではなく、様々な意見のいいところを寄せ集めて一つの意見とするという。

Y氏からこれに関するエピソードを聞いた。

「職場に花があったらいいよね」「そうだね」「そうだね」と盛り上がった。

しかし
部署によっては職場が工場であるため、土に油がしみこんでしまって、水をやっても根まで浸透しない。

「どうしよう!?」「諦めるしかないのか」

そんな時、社長と話す機会があったY氏はちらっとこの話をしてみた。

「こんなことがあって、少し困ってるんです」

すると、すぐに名案が返ってきた。

社長「それなら造花でもいいんじゃない?中がダメなら入り口に置いてもいいし、一つの部署にずっと置いておけないのなら、部署ごとにリレーしてもいい」

Y氏「なるほど」

社長は会議には参加していないが、MANZOKU調査隊のアドバイザー的な役割なのである。

その後Y氏が会議でこのことを話したところ、「いいねぇ」ってなったのである。

MANZOKU調査隊は、花が育てられない部署があるからといって、その案を捨てるのではなく、いいところを伸ばす方向で次の案を考えている。

これは、O氏が言っていた「もともとあるいいところを伸ばす」という会議の傾向にも反映されていると言えよう。

それと同時に、O氏は「自分で出した案なのに、最終的に自分の思っていたことと変わっちゃってない?」と隊員に聞くことがあるという。

様々な意見を取り入れる中で、それぞれのよいところが知らないうちにつぶされてないか、という配慮も忘れていないのである。

3-8 今の脱線=未来の???

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
MANZOKU調査隊の会議において、笑い声が絶えないという理由に「脱線」が挙げられる。

 I氏はこの「脱線」について、興味深い分析を持っていた。

「MANZOKU調査隊の議論に脱線は不可欠。なぜなら、議論しているもの、つまり満足とは何かということが定まっていないから。それを探るために脱線をする。

その試みである脱線が今、本当に脱線しているのかどうかということを話し合う必要はない。」

「脱線」と聞くと“本題とは関係のない無駄話”というイメージしか抱かないが、
MANZOKU調査隊の脱線には、意味がある。そして、あながち関係が無い訳でもないのだ。

I氏はまた、
「脱線はいい。逆走でなければね。」とも笑って話す

とはいえ、会議を通して目指している方向は一緒なので逆走はしない。

彼らがしているのは必要な脱線なのだ。

「まあ、“あれは結果的に(大幅な)脱線だったなぁ”と思うことはあるけどね」とI氏は笑う。

つまり、今は脱線しているように見えても、結果的にそれが脱線であり続けるかどうかはまだわからない。

勿論、その場をはずませる役割も脱線にはあるが、
MANZOKU調査隊のそれは、ゆくゆくは未来の糧となる可能性を持っている。

 この可能性をかけて、8人は今日も、満足について話し合う。

4:エピローグ

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
よし!やろうか!」の隊長の一声から会議は始まり、予定の2時間を越え、一つの問題が解決しても、仮に次の会議に議題が持ち越しになってしまったとしても、

“隊員全員がその時一番MANZOKUする結果”として辿り着いたとき、
「ま、こんなとこか?」という隊長の一声で終わる。


5:まとめ ~終わりに~

2008-09-22 | MANZOKU調査隊紹介
MAZNOKU調査隊とは、社員の満足度を測るためのアンケート作りを行っている社内プロジェクトである。

隊員8人はそれぞれ異なる部署に所属しており、月に1、2回会議を行い、オープンハウスの企画も並行して行っている。

プロジェクトの発案者は社長であり、MANZOKU調査隊の顧問をしているのが管理グループ人事部長のNマネージャーである。

しかし、隊員たちは社長やNマネージャーの指示で社員の調査を行わなければならないという義務感だけで動いているわけではない。

あくまで、隊員たちが何を行うべきかを判断し、自主的に行っているのだ。

では、社長とNマネージャーはいったいどんな役割をもっているのか。

Nマネージャーに伺ったところ、こんな話をしてくださった。

会社という舞台の主役が社員で,

満足いく演技(仕事)をするために必要なものを考えるディレクターがMANZOKU調査隊

そして調査隊の行方を影で支援するアドバイザーがNマネージャーで、

それを見守るスポンサーが社長。

MANZOKU調査隊が自分の部署で、満足を広められれば、会社はよりよくなる。

こういった考えに基づいて動いているのがMANZOKU調査隊なのだ

MANZOKU調査隊員は、社員の満足について考えるにあたり、まず自分達が満足して仕事ができることを第一と考えた。

さらに他の社員にも、会社における自分の満足について考える機会を持ってもらいたいと考え、アンケート作りを行っている

アンケートを行うことで、社員は自分の満足を満たす為に必要なことがわかる。

そして社員それぞれが自分に必要なことを行うことができれば、社員満足に繋がる。

また、今回出来上がったアンケートそのものがMANZOKU調査隊のゴールではない。

いわば、アンケートは社員の満足を測るツールである。
よりよいツールを使えば、社員の満足度をより深く知ることが出来る。

だからMANZOKU調査隊はアンケートを常に更新し続けなければならない。

時代の流れによって社員の満足するポイントは変わるだろうし、

アンケートの結果に合わせてアンケート項目を変更する必要がある。

その上で、
MANZOKU調査隊は社員満足度を上げる取り組みに向かわなければならない。

そこでMANZOKU調査隊は将来的にメンバーを入れ換えることも考えているらしい。

なぜならこのままのメンバーでMANZOKU調査隊を続けると、考えが固定化し、新しいものを生み出すことが難しくなってくるからだ。

MANZOKU調査隊は、メンバーの入れ換えやアンケートの更新を繰り返すことで、よりよい風土をつくることを目指す一つの発展的試みである。

現在のMANZOKU調査隊は、その過渡期であると言えよう。