ただの偶然なのですか

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映画「悲しみが乾くまで」の感想

2008年05月29日 | 映画
愛する夫を突然亡くした妻が、夫の親友と暮らし始めるというストーリー。
一歩間違えば不謹慎でベタなメロドラマになりかねない話なのに、そうはならないところが、さすがスサンネ・ビア監督です。
静かな演出と丁寧な描写で二人の内面を描き出し、精神的緊張感とリアリティのある作品になっていました。
主演の二人が私の好みじゃなかったことも、かえってリアリティを増した気がします。
でも、夫を亡くした妻の深い悲しみに、私は共感しきれませんでした。
それは多分、私が最愛の人を失うという悲しみを経験したことがないからでしょう。
母を亡くしたときのことを思い出しましたが、それとは違うような気がしますし、失恋の経験すら無いので…。
夫にもしものことがあったらなんて、そんなこと考えただけで・・・・・・・

スサンネ・ビア監督の作品は、男女の愛や家族の愛情をテーマとしながら、その他の別のテーマが上手くストーリーに絡まっていて、作品の構成に重要な要素を与えていると思います。
『ある愛の風景』では戦時下における狂気と不条理、『アフター・ウェディング』では貧困と孤児の問題、そしてこの作品では麻薬中毒がもう一つのテーマになっていました。
麻薬への依存から抜け出せずに苦しむ親友の姿を見て、中毒になるということの深刻さを知り恐ろしくなりました。