『アレクサンダー大王』

2010-02-11 10:54:45 | 本の話
NHKブックス『アレクサンドロス大王東征を掘る』
エドヴァルド・ルトヴェラゼ著、帯谷知可訳

紀元前4世紀、かのアレクサンダー大王がアジアに遠征
した記録は文書で残されていますが、それと考古学他の
研究を重ね合わせて、実際のルートを探ろうとした
その成果をコンパクトに紹介されたものです。

著者はその道では大変に権威がある方らしい・・
(「らしい」とは失礼ですが何も知らない世界なので)

世界史の歴史地図にはルートが載っていたと記憶している
のですが、実は未確定な部分がまだあったのだそうです。

アラル海の南東、アム川シル川の上流あたり。
その先がインダス川上流、ガンダーラ地方になる
アレクサンダーの晩年の行動ルートの解明です。

政治的に調査が難しい所だったので
実は推測だけのルートしか分かっていなかった。
そこを発掘し歴史や地理の知見と照らし合わせ緻密な推論を
重ねてゆきます。

19世紀くらいからの先行の研究をチェックするのは
もちろんのこと、言語学、衛星写真、などなど総動員です。
なにしろ2千年以上前でしょ。
川筋だって変っています。

他の研究や自らの研究にも厳しい目を注いで
推論とはいえ説得力がある展開ですが
・・しかし話が難しい。
推理小説のようなわけにはいきません。

文系の本だから読み飛ばせる、と思ったら大間違いでした。


さすがに学者のしている仕事は大変です。

というかその努力をしていない多くの学者がおられるようで
そういう(適当な)仕事には厳しい批判をされています。

学者の仕事のありようを、素人でも覗える一冊ですね。


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