『核融合エネルギー入門』

2010-09-21 14:52:13 | 本の話
明晰です。

訳者あとがきに、著者ジョゼフ・ヴァイス氏は
フランスの核融合技術開発計画の責任者であったが
本書出版後、引退とあります。

この本は数式をほとんど使わず(読後、私の頭で
記憶しているのは、あのE=mC2くらいしか
この本には出てこなかったのではないか)
フランスの初心者や一般市民向けに書かれたそうです。

同時に専門家にとっても一度振り返ってみるに良い本
とも書かれています。

なぜか?

明晰だから。

この難しい世界を分かり易く説明すると云うことは
とても大変なハズなのに、一見らくらくと書かれて
いるようにさえ思えます。

翻訳も分かりやすい日本語になっています。
外国語の訳って??が多いですが、本田力さんの訳は
素晴らしい。(・・きっと・・←分かり易いから)

なにしろカタカナが少ない。
(科学の本でカタカナが少ない!)

たしか磁界の話のとある1ページではカタカナが1語
だけだったように思います。
オゾンだったかプラズマだったか、それ1語。

これは極端な例にしろ、いかに訳がこなれているかの
証拠にはなると思いますね。


明晰であるためには

☆幅広い目配りができること

☆バランスよく考えられていること

☆深く検討・比較して軽重を判断すること

☆論理を過たず、欠落や飛躍がないこと

☆価値判断がはっきりとしていること

☆シンプルに表現すること

こんなことが必要だと思いますが、その全てで
この本は優れています。

日本人が苦手とすることでもありますね。


核融合は、実験施設の日本誘致が失敗し、国内での
盛上がりには欠けていますが、最先端科学の重要性
は減じているものではありません。

実現すれば人類の未来が変わります。
というか是非とも成功してほしい技術です。
同時にハードルが高いことでもあります。

ヴァイスさんは国際協調を強く説かれますが
現在の世界状況は反対の流れが強いですね。


とにもかくにも、大変ハードルが高いことである
ことは良く分かりました。

とゆーか、その程度しか分からないと言うか
一般市民向け本で、私はこれですから、
難しい世界というか
我が身がなさけない。。。

こんなに早く還暦を過ぎようとは思いませんでした。
マジメに勉強していればよかった。


それにしても核融合は本当に実現できるのかねえ?


出版は白水社、文庫クセジュ2004刊です。


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