『狂気の戦場』
副題が『総員玉砕せよ!』です。
この漫画は様々な出版がされているようです。
『狂気の戦場』はオハヨー出版が昭和57年に
B5版ハードカバーで出したものです。
350頁
B5の大きさで初めて水木さんの絵が分かるのでは
ないかと思いますね。
○
この傑作に対し様々な評価もあるでしょう。
「作品」であるから事実とは相違がある、と
言われる人がおられるかもしれません。
しかし「真実」がここにあります。
これは誰も否定できないことでしょう。
私は戦争体験はありませんが間接的に分かる部分があります。
○
アルコール中毒気味で酔っては家族に迷惑をかけた父は
シベリア帰り。
子供の頃は、シラフのときの尊敬でき、また威厳あった父と
酔って人間でなくなる(そのときはそう見えた)父と
この落差が理解不能でした。
大人になってやっと少し理解できるような気がします。
弱い人間でアルコールに頼るしかなかったのでしょう。
酒で家族から孤立していきながら
また酒におぼれるのです。
戦争を心に抱え込んでいたようです。
その父がごく珍しく戦争の話をすることがありました。
したくはないけれど言わねば息子がヘンになりはしないか
そう考えて重い口を開いていたのでしょう。
満州・シベリアの戦争体験と南方のそれとでは違いもある
でしょうが、水木しげるの伝えたかった「真実」は
父の話とぴったり重なるのです。
○
さまざまな本やドキュメンタリーに描かれるものとも
多く重なります。
原一男監督『ゆきゆきて神軍』の世界にも通じます。
それにしても天皇パチンコ事件の奥埼謙三も強烈な人
でありましたが、戦争がなかったら違っていたのでは?
私が官僚主義を嫌うのはそこに旧軍の体質が見え隠れ
するからです。
極端な話、官僚組織を守るためには日本を後回しにしても
構わないと云うような処があるのです。
戦争の悲惨な証言というだけでなく
旧軍隊にあった理不尽な世界も見えてくる作品です。
○
渾身の力作とはこういう作品をいうのでしょう。
それを味わうにも、文庫ではなく、ぜひ大判で。
副題が『総員玉砕せよ!』です。
この漫画は様々な出版がされているようです。
『狂気の戦場』はオハヨー出版が昭和57年に
B5版ハードカバーで出したものです。
350頁
B5の大きさで初めて水木さんの絵が分かるのでは
ないかと思いますね。
○
この傑作に対し様々な評価もあるでしょう。
「作品」であるから事実とは相違がある、と
言われる人がおられるかもしれません。
しかし「真実」がここにあります。
これは誰も否定できないことでしょう。
私は戦争体験はありませんが間接的に分かる部分があります。
○
アルコール中毒気味で酔っては家族に迷惑をかけた父は
シベリア帰り。
子供の頃は、シラフのときの尊敬でき、また威厳あった父と
酔って人間でなくなる(そのときはそう見えた)父と
この落差が理解不能でした。
大人になってやっと少し理解できるような気がします。
弱い人間でアルコールに頼るしかなかったのでしょう。
酒で家族から孤立していきながら
また酒におぼれるのです。
戦争を心に抱え込んでいたようです。
その父がごく珍しく戦争の話をすることがありました。
したくはないけれど言わねば息子がヘンになりはしないか
そう考えて重い口を開いていたのでしょう。
満州・シベリアの戦争体験と南方のそれとでは違いもある
でしょうが、水木しげるの伝えたかった「真実」は
父の話とぴったり重なるのです。
○
さまざまな本やドキュメンタリーに描かれるものとも
多く重なります。
原一男監督『ゆきゆきて神軍』の世界にも通じます。
それにしても天皇パチンコ事件の奥埼謙三も強烈な人
でありましたが、戦争がなかったら違っていたのでは?
私が官僚主義を嫌うのはそこに旧軍の体質が見え隠れ
するからです。
極端な話、官僚組織を守るためには日本を後回しにしても
構わないと云うような処があるのです。
戦争の悲惨な証言というだけでなく
旧軍隊にあった理不尽な世界も見えてくる作品です。
○
渾身の力作とはこういう作品をいうのでしょう。
それを味わうにも、文庫ではなく、ぜひ大判で。