韓国映画『息もできない』

2010-06-07 10:55:09 | 塾あれこれ
ヤン・イクチュン監督・脚本・主演『息もできない』
期待に違わない出来でした。

私が今までに観た映画でベスト10に入るか
これは微妙ですが、今後に期待を込めてあえて
ベスト10から外しておきます。
けれどベスト30には必ず入ります。

大変な才能がある作家ですね。

リアルな表現、人間性に迫り、とても厳しいが
同時に、甘く、しっかりと泣かせます。


暴力とか血とかが出る映画は、カミサンがお嫌いで
今回はオスギがほめているから等とお願いしました。

感想は私と少し違い「良いけれどやはり暴力は・・」


映画でも他のジャンルでも、本当に良いものは、言葉では
説明が難しいですね。

小津映画を説明するのに、ストーリーとか、独特の演技指導
ローアングルの撮影、など百万言を費やすより
「見れば分かる」

私が見るべきだと思ったのは、かのホウ・シャオシェンが
誉めていると書いてあったから。

で、見ての感想は、上記しましたが
「何という優れた才能。よほど勉強されている・・」

映画について私が塾で授業をするなら(大人相手)
教科書として使いたい。

脚本はこういう風に書くものだ、
カメラはこう使うものだ
キャスティングとは、ロケーションとは・・
こういうときにフェードアウトすると効果的だ・・

こういう風に盛り上げ、こう終えるもので
後日譚はさっと切り上げてかつ映画の原点に戻り・・

作品に則して書きたいですが未見の方のために
ガマン。

一つの作品だけでは分からないことも多いでしょうが
映画というものをよく勉強され、かつ、一人よがりでは
ない作品を心掛けておられるようです。

良く出来た歌舞伎を見る感覚に近いでしょうか。


山田宏一のいう「映画的記憶」も散りばめられており
自家薬籠という言葉がピッタリですね。

冒頭はコスタ・ガブラスの『Z』で・・

ああ、おしゃべり虫がうずく。


日曜、朝11時の回で客が十数人は寂しい。
その次が『祝の島』のプレミアだったから余計かな?
それにしても。