たまに時期遅れのベストセラーを読む

2009-05-24 10:29:41 | 本の話
福岡伸一著『生物と無生物のあいだ』講談社現代新書
を読みました。

少し前のベストセラーですね。

流行モノの中には時流に乗っただけで内容のない物が
多いと思いますけれど、この本は別です。
さすがに面白かった。
売れるはずですね。

未読の方、損はありませんので騙されたと思って
ご一読下さい。
古本屋さんで求めるとお得感が倍増しまっせ!
福岡先生のモウケにはならないけれど。


内容に難しい部分がありますが、ある程度しっかりと
した高校生か、大学一年生くらいにも読んで欲しい!
(きつくない生徒もいるハズですから)

科学、生物、分子、などに興味がある人のみならず
できれば文系人間にも必読としたいですね。

奥深い理科の世界を分りやすく書いた筆力は流石で
それだけでも勉強になります。

分子生物学の世界を覗うことが出来るだけでなく
学問とはどういうことか、研究室はどのような世界か
学者の思いとはどんなものか、
福岡先生という一人の人間を通じて見えてくるものは
また普遍の世界像でもあります。


知的興奮に満ちた世界ですね。

前著『プリオン説はほんとうか』ブルーバックス
も大変に興味深いものでしたが、私程度では分らない
こともありました。
(分らないか?!とバカにされそうですが)

この本では前著を読んだときに分りづらかった
ルドルフ・シェーンハイマーの発見した生命の動的な
状態、という発見がかなりの説得力をもって迫ります
から「ではこの反論その他も勉強しようか」という気
にさせられます。

ただし、シロウトにわかり易いものが書かれていな
ければ勉強に(ついてゆけない)のですが。


失笑されるかもしれませんが、以前からギブスなどを
したまま動かしていないと筋肉が痩せるのはナゼ?
一体どうなっているんだろうと思っていましたが
シェーンハイマーの発見がそれを説明できるだろうと
納得しております。

んとに、見事に痩せるものですよねえ。
カラダってすごい。
リハビリ大変でしみじみ思いますね。

色々なことが勉強できる本ですが、私の好みから
あえて弱点を言うと、文学的表現の過多。
ちょいとシラケます。
これを美文名文とする人もおられるでしょうが。

若い?人はごちゃごちゃ書くのが好きなんでしょうねえ。
練れていない、キレも悪い、と指摘する文化も消えるか?