光が美しい映画監督

2008-12-02 11:00:50 | 塾あれこれ


『次郎長三國志』などのマキノ雅弘監督です。

昭和28年を中心に撮られた連作がよいですね。
いま衛星放送で流してくれています。


山田宏一著『映画 この心のときめき』白川書院

ちょっと照れくさいタイトルですが1976発行当時は
評判になったと記憶しています。

評論家としての山田さんというより映画好きとしての
山田さんがマキノ監督にロングインタビュー。
40ページ以上を割いています。

その大半を占めているのが上記『次郎長三國志』に
関する話で、私などが付け加えることはありません。

低予算で早撮り、40日間で85分モノを2本撮る!
数多くの無名役者を育てています。
藤純子の「育ての親」として有名です。

白黒スタンダードの画面で、どれほど美しい世界を
描けるものか、映画は美しくなければなりません。
みんなが楽しむものですから。

昼のシーンでも夜のシーンでも光がキラキラする
印象が強いですね。

それとロケの美しいこと。
日本にもこんな光景があったと感動します。
CGでは表現できませんね。
(もちろん上記マキノ映画でも特撮はあります)

海岸や川原など広い場所でロケができています。
とてもゼイタクですね。

また遠い画面の端にポツンと写る旅人が良い。
空間がとても伸びやかになります。

ピーター・ブリューゲル『雪中の狩人』で鷹が
舞っていますが、それにも負けない空間処理に
なっています。

初めての方、道中をロケしている場面の細やかな
神経にご注目下さいね。
そこだけでもクロサワより才能があることが
わかりますから。


写真は昨日の尾道水道。