「男前」は、江戸時代末期に歌舞伎の世界などで起こり、明治・大正時代によく使われた言葉。同時代語の「男振り」よりもいかす言葉で、俗っぽいがカラッとした響きがある。
・・・『日本語 ことばのルーツ探し』という本に載っていた。
男として顔かたちがよい、男らしい風采のあるのを「男前」というが、そもそも、何故「男前」という単語なのだろう?「男」は分かる。「前」はどういう意味なのだろう?
その疑問に対する解説が興味を引いたので書きとどめておこう。
マエ(前)はマヘ(目方)が語源で、見た目、目の当たりに見えるところの意味。目の前に見たとこがよいのが男前で、価値を付けている。これは、江戸前という言葉があるのと同じであるという。つまり、
「江戸前」は江戸の前海でとれた地場産をつかったもの。
「板前」は俎板を前にして、目の前で調理する専門家。
「出前」は調理したものを目の前に運んでくれること。
「点前」は目の前で抹茶をふるうこと。
「御前」「宮前」などいうのも、お目の届くという意味がある。
というところの「前」と同じ現象だと。なるほど、男前の意味もそうだけど、板前や出前・点前などにはそういう意味があるんだね。
ちなみに「男振り」に対し「女振り」という言葉はあるが、「男前」に対しての「女前」はない。「男前」に対しては「別嬪(べっぴん)」のようだ。
著者の吉田金彦氏は、「二枚目」とか「ハンサム」よりも「男前」という語に引かれ、《後世に残したい美しい言葉》の一つにあげている。
昭和世代の私は、「男前」という言葉は馴染みがある。「二枚目」は「三枚目」があって使えるような気がするし、「ハンサム」って、語感がおかしくないかな~?ハンサムスーツやハンサム芸人くらいしか聞かない。使うときは、やっぱ「男前」だな。
そう考えると、やはり「男前」とか「別嬪」とかは違いますな。
(んッ?「別嬪」って?・・・)
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