入門介護講座。老人ホームの選び方

元、「特別養護老人ホーム」の施設長が、施設の「選び方」などを、エッセイ風に伝授します。新聞でも紹介されたコラムです。

第16回 なりふりかまわない?経費節減

2008-05-31 | 拝見!特別養護老人ホーム《見たまま》
 「特養」の経営は、介護保険という「契約」かつ「公定価格」で厳しいものがあることは、今更いうまでもありません。

 また、施設が、公立施設であったりすると、役所からの「委託料」や「指定管理料」が、年々、削減される傾向にもあります。場合によっては、受託法人自体の人件費の「経営改革」まで求められることもあり、何重にも、苦しいものがあります。

 それでも、議員さんなどは、介護保険に対する問題提起にあたって、介護報酬を増額することは、選挙民の介護保険料を増額することになるので、もう一つ理解が微妙なところがあります。
 昨年、東京都の社会福祉協議会が、「大都市部の介護報酬を実情にあったものに」、という「一大」!署名活動をしたら、署名が出てきた施設数がいまひとつで驚かれました。
 また、区が出資者の法人(社会福祉事業団など)などの一部は、署名を集めること自体、行政に対しての遠慮があったようです。

 本論です。
 ところで、施設が、このように経営に苦労すると、「経営努力」の一つとして、施設が依託している費用を削減することになるのは、当然の成り行きとなります。

 つまり、清掃委託や警備委託や送迎委託などの経費削減です。調理委託は、委託方法によりますが、あまりカットしすぎると、ホテルコストで一定の金額がとれなくなるので、ちょっと矛が鈍ったりもします。でも、これでは、とてもやれないと調理委託会社に「撤退」され、あとが見つからずに、混乱したところもあるやに聞いています。

 親しい、ある施設長から聞いた話です。
 事務サイドが、強力に経営「努力し」、年間1000万円程度の、清掃委託料を50万円ほど削りました。当然、先ほどの、調理委託の話ではありませんが、会社も変ることになりました。この場合、新しい会社は見つかりました。
 ただ、委託金額が安いので、複数年契約できないか、で、ひとモメがありました。

 話は、「雇用」の話です。

 そこで、新たに受けた会社は、いままでの従業員4人ほどをそのまま引き継ぎましたが、雇用条件が、今までは、正社員だったのが、今度は、時給800円の「パート」とする、週に2回は3時に「上がり」(勤務終了)とする。つまりこれで、例えば、1人分「800円×3時間×週2回×月4回」、の人件費節減になります、保険が国保で自己負担になった、交通費限度額がカットされた、遠方からの人が自己負担が出るようになった。
 しかも、ウラで、内緒で「トイレ掃除は、いままで毎日だったが、これから回数を減らす。苦情が出たら会社に言ってほしい」とかの話があったそうです。(契約違反!)

 なんという時代!

 掃除の従業員は、高齢で、顔なじみの、何年も働いていた方で、これを聞いたときに考え込んでしまった、とか。
 もっとも、事務サイドは、仕事に「慣れ」が出ていた、4人のなかで「いじめ」が出ていて職務に支障が出ていた、というようなことも会社変更要因にあげていましたが。ウーン難しい。ちょっと、問題があると、すぐ、つけ込まれる時代か。

 警備委託も同じような厳しい勤務状況です。しかも、委託したほうが、直接(法違反!)警備員にいろいろ契約外の雑用を頼むこともある。

 どこも、経営、ということでなりふり構っていられない、ような状況。しかし、コンプライアンスは欠けがち。話はそれますが、委託するほうも、自分の立場からだけでない、法規の原則をきちんと学ぶ必要があります。
介護保険の問題点は、一度このようなスミズミまで明らかになることが必要だと思います。
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