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進む「原子力船」開発 日本勢も参画 核融合炉・溶融塩炉搭載のコンテナ船は実現するか 202111

2021-11-09 23:21:07 | ¿ はて?さて?びっくり!

進む「原子力船」開発 日本勢も参画 核融合炉・溶融塩炉搭載のコンテナ船は実現するか
 Merkmal より 211110 深水千翔(海事ライター)


⚫︎脱炭素化に向けて開発が進む原子力推進船
ジェネラルフュージョンの施設に設置されたプラズマインジェクター

 国際海運の脱炭素化に向けて、各国でGHG(温室効果ガス)を排出しないゼロエミッション船の開発が進められているが、その動力源として「原子力」への注目が集まっている。
ノルウェー船級協会(DNV)は、日本の造船大手ジャパンマリンユナイテッド(JMU)や海運大手・日本郵船などと連携して核融合炉を搭載した2万TEU型コンテナ船のコンセプトを開発(1TEUは20フィートコンテナ1個分)。
 英国を拠点とする原子力エンジニアリング会社のコア・パワー(CORE POWER)は、2025年を目標に「船舶用溶融塩炉(m-MSR)」の開発に取り組む。
 韓国サムスン重工業も溶融塩炉(MSR)を搭載した原子力推進船の研究を行っているほか、日本の三菱重工業も加圧水型軽水炉(PWR)をベースに船舶搭載を想定した軽水小型炉の開発を進めている。

 DNVは2021年6月に発行したテクノロジー・プログレス・レポート(TECHNOLOGY PROGRESS REPORT)の中で、核融合コンテナ船(FPCV ;FUSIONPOWEREDCONTAINER VESSE)を紹介した。
 同コンセプトは、DNVと海上輸送のゼロエミッション化を実現する新技術の可能性を調査することに合意したスイスの重電大手ABB、カナダの核融合炉開発企業ジェネラルフュージョン(GF)、JMU、日本郵船の各社が協力して作成しているものだ。

 核融合コンテナ船のデザインは、JMUの2万TEU型超大型コンテナ船(ULCV)のレイアウトに基づいている。
 核融合エンジンは居住区の下と船首の間に密閉して搭載。熱交換器、蒸気タービン、発電機で構成された蒸気プラントはエンジンルームに隣接するように配置した。
 補助動力装置も核融合システムのコールドスタートを容易にするために、居住区の下に配置されている。プロペラは後部機関室の六つの電気モーターで駆動させる。
 エンジンルームのスペースが大きくなったため、コンテナの積載個数は基準船に比べて減少し1万9338TEUとなった。設計喫水時の載貨重量は14万7700重量トン、速力は28ノットとしている。

 エンジンについては、ジェネラルフュージョンが開発中である「磁化標的核融合(MTF)」方式の核融合炉が採用される可能性が高い。

 MTFはプラズマを圧縮することで核融合を得る手法で、圧縮システム、液体金属チャンバー、プラズマインジェクターなどのコンポーネントで構成されている。
 実際の発電では核融合の過程で加熱された液体金属から熱を取り出して蒸気を作ってタービンを回し、電気を発生させる。コンテナ船にはこうした核融合エンジンを含む燃料供給システムに加え、核融合エンジンをピストンさせるための蒸気ループ、熱交換器に接続する液体金属ループを設置する。

⚫︎核融合エンジンを採用することの危険性は?
 DNVは核融合エンジンを船舶に採用する危険性についても評価しており、人命や財産に対する最も高いリスクとして「液体金属が漏れて水蒸気爆発を起こした後に水が浸入すること」や「機器の故障により蒸気が漏れること」を挙げた。
 ほかにも、商業上の最大のリスクとして、大量の冷却水の港への排出が受け入れられない可能性があることについても指摘している。

 ジェネラルフュージョンはMTF方式の核融合実証プラント(FDP)を英国に建設することを発表しており、早ければ2025年に核融合炉の実証運用が始まる予定だ。

 一方でコア・パワーは溶融塩炉(MSR)を大型船舶の動力源として活用する「船舶用溶融塩炉(m-MSR)」の1号機を2025年までに開発・製造することを目指している。

 MSRとは核燃料としてウラン酸化物を混ぜた常圧の液体燃料(溶融塩)を用いる原子炉。常圧で運転されるため、原子炉を囲む圧力格納容器が必要なく、燃料は液体に混合された酸化物であるため、複雑で高価な燃料集合体も不要という特長を持つ。
 このため、従来の加圧水型原子炉(PWR)に比べてコストや安全面で優れているとされている。

 コア・パワーはm-MSRの開発に当たり、米国政府からは開発資金の80%に当たる約1億7000万ドルの助成を受けているほか、次世代原子力開発企業のテラ・パワーや電力会社サザンカンパニーなどとも協力している。

 同社のミカル・ボー最高経営責任者(CEO)は「大型船のあり方を大きく変えるのがm-MSR。燃料タンクも煙突も排ガスも燃料補給もない完全電動船であり、接岸時には港への電力供給も可能になる。そのため港湾施設の脱炭素化にも貢献することができるだろう」と話す。

 ボーCEOは2万TEU型超大型コンテナ船をモデルケースに「30~32ノットのスピードを確保しつつ、船の生涯に当たる30年間にわたってCO2(二酸化炭素)を排出せずに航行を続けることができる」とm-MSRの利点を紹介。
 常時、高速航行ができるため、これまで12~14日ほどかかっていた日本~シアトル、日本~サンフランシスコなどを結ぶ太平洋航路は、6日未満で到達できるようになるという。

 m-MSRは燃料と冷却材を一体化させているため、冷却材が失われたことによる事故は発生しない。原子炉が故障して温度が上昇し始めると、ドレンプラグが溶け、液体コア燃料の全負荷が、最終的なヒートシンクに密接にリンクされたパッシブドレンタンクに注がれ、冷却と非反応性を維持する。
 また、船の全生涯を通じて燃料と一体化した冷却材は全く船の外に出ず、閉ざされた空間に留まることになる。

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