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【1110/215:県立高再編】高校再編計画を巡って/1 変わる定時制 (毎日新聞)

2011-10-24 23:32:34 | Weblog
【毎日新聞特集「波紋の現場から」:高校再編計画を巡って/1 変わる定時制】

 ◇生徒多様化、意義問われ

 「実は、油の臭いが嫌なんです」

 彦根工の定時制課程で6月、機械実習を控えた新入生の女子生徒が「気分が悪い」と保健室を訪れ、教諭に打ち明けた。以来、実習では女子生徒のそばに臭いを和らげる扇風機が置かれている。

 中野裕司副校長(56)は「工業高校なのに機械に触ろうとしない生徒もいる」と言う。「高卒資格が欲しいという理由で、家から近い定時制で学ぶ生徒が多い」。働きながら学び、専門技術を身につける--。かつての定時制の役割は今、様変わりしている。
  ◇    ◇
 県教委が7月に公表した県立高の再編計画原案で、彦根工(工業科)、彦根東(普通科)、長浜北星(商業科)の湖北3校の定時制を廃止し、能登川(東近江市)に全日制と定時制を併設する総合単位制高校(普通科)を新設する案が示された。「定時制生徒の多様化に合わせ、柔軟な学習システムが必要」との理由からだ。

 3校で、定職に就いて学んでいる生徒は2人だけ。県教委の調査では、県内の夜間定時制5校に通う生徒の半数が入学前に不登校を経験しており、定時制は若者の「学び直しの場」としての役割が強まっている。

 定時制課程は卒業まで通常4年かかる。「昼間も学校で勉強し、できれば大学に進学したい」。中学で不登校だった長浜北星定時制3年の男子生徒(17)は、3年で卒業可能な総合単位制の案を前向きに受け止めた。
  ◇    ◇
 一方、原案が公表されると、定時制がなくなる湖北から「なぜ東近江に新しい学校を作るのか」との批判が噴出した。再編の偏りに加え、専門学科の意義付けについても見方が分かれる。中野副校長は「定時制の専門学科は今の生徒たちのニーズに合っていない。何らかの対策は必要」と原案を評価。長浜北星の樋栄清司教諭(56)は「普通科でつまずいても、職業科で資格を取って自信をつけ、再スタートする子がいる。今でも専門学科が果たす役割は大きい」と原案には否定的だ。

 今春、定時制課程を卒業した東近江市の電気工事士、吉田龍矢さん(21)は「経済的に苦しくて、働きながら通った。定時制の数が減れば、自分と同じような境遇の子たちの選択肢が減ってしまわないか」と心配する。今回の再編案は果たして「ベストな案」(嘉田由紀子知事)なのか、答えはまだ見えない。
  ◇    ◇
 県教委が県立高の再編計画原案を公表してから3カ月余り。統合や廃止の対象となった地域からは強い反発が起き、県議会が全会一致で「慎重な検討」を求めるなど、引き起こされた波紋は収まりそうにない。再編案を巡り、何が問われているのか、現場を訪ねた。

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 ■高校再編原案の主な内容■

▽彦根東、彦根工、長浜北星の定時制廃止→総合単位制高校を能登川に設置

▽長浜北と長浜を統合(新校舎は長浜に設置)

▽彦根西と彦根翔陽を統合(新校舎は彦根翔陽に設置)

▽信楽を甲南の分校に

▽同一敷地内の瀬田工(全日制)と瀬田(定時制)を統合

 (※いずれも14年度に実施)

(10月24日付け毎日新聞・電子版)

http://mainichi.jp/area/shiga/news/20111024ddlk25100241000c.html


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