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脱ネガティブを計るべく、浮きつ沈みつ漂う女の戯言日記

半身

2010-02-08 | 本・映画
サラ・ウォーターズの「半身」を読んだ。

孤独な令嬢マーガレット。
愛した女性は実の弟の花嫁となり、信頼する父は亡くなり、心の病に伏せる。
全快してからも周りの腫れ物に触るような対応と、砂を噛むような空虚な日々。
そんな中彼女は監獄の女囚を慰問に訪れる仕事を始める。
そこで出逢ったのは、ぬれぎぬから無実の罪で投獄されている19歳の霊媒シライア。
慰問を続けるうちに2人の間には特別な感情が芽生え始め、やがてそれは実を結ぶ
かに思われたが・・・。

シライアはマーガレットをやっとめぐり逢えた自分の半身だと言う。
引き裂かれた魂の片割れだと、一目見た瞬間にわかったと。
そして別々になった魂を元に戻すべく、2人で一緒に生きる為脱獄話を持ちかける。
迷い逡巡しながらも準備に手を貸すマーガレット。
彼女にとってシライアは、己の存在意義を担う全ての象徴のような存在となる。
そして訪れる残酷な現実。
余りにも悲しい結末・・・。

かつて自分も、どこかに自分の半身のような存在がいると信じていた。
(私はそれをカケラと呼んでいた。)
この心の穴はそのカケラと出逢えたら埋まるのだろうと。
やがて月日だけが流れ、いつしか白馬の王子(王女)も赤い糸も存在しないという
事がよくわかった。

舞台となっている19世紀当時、30歳のマーガレットは”老嬢”と評される。
30で老嬢なら私など棺桶に片足突っ込んでるようなものだ!
全てを失い1人取り残されたマーガレットは、これからどう生きて行くのか。
せめて何か希望の一筋でも見出せる終わり方にして欲しかった。

物語の中ぐらいハッピィ・エンドであって欲しい。