中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

5・12ブン川地震復興再建座談会での温家宝首相の講話

2011年05月16日 | 中国ニュース



  先週、5月12日が、四川・ブン川(「ブン」はサンズイに“文”)地震から三周年が経過し、政府主導の復興事業がほぼ完成したということで、盛んにマスコミで報道がされていました。
 それに先立ち、5月9日に四川省の省都・成都の西48キロにある被災地の一つ、都江堰市で、中央政府主催の復興再建座談会が開催され、災害復興事業に対する、政府としての総括がなされました。

クリックすると、中国語の文章が見られます。
      ↓


・惦記 dian4ji4、牽挂 qian1gua4 何れも、「気にかける」、「心配する」という意味。
・残垣断壁 can2yuan2 duan4bi4 崩れた垣やひび割れた壁、という意味で、災害の後の荒れ果てた光景を譬えています。
・満目瘡痍 man3mu4 chuang1yi2 目に見えるところ、破壊の跡ばかり。“満目”は「目に見える限り」。“瘡痍”はまだ瘡蓋ができず、口があいたままの傷のことから派生し、受けた被害の跡のこと。
・拔地而起 ba2di4 er2qi3 地面から聳え立つ。“抜地”は、地面から垂直に、切り立つようにして、の意味。
・頑強 wan2qiang2 粘り強い。
・拼搏 pin1bo2 力いっぱい戦って勝利を勝ち取る。苦闘して目的を達成する。
・翻天覆地 fan1tian1 fu4di4 [成語]天地をくつがえす。極めて大きな変化の形容。
・脱胎換骨 tuo1tai1 huan4gu3 [成語]心を入れ替えて真人間に生まれ変わる。徹底的に立場と観点を変える。“脱胎”も“換骨”も「生まれ変わる」の意味。

□ 5月12日のブン川地震発生から、既に三年が経過した。私は心の中でずっと被災地を気にかけ、被災地区の民衆を気にかけてきた。この三年、私は10回四川の被災地へ行き、陝西、甘粛の被災地へも行った。今も憶えているが、地震当日、私が急いで被災地に入ると、行く所行く所、皆崩れた塀やひび割れた壁で、見る物全てが破壊の爪痕で、たいへん恐ろしく、悲痛な雰囲気であった。地震発生後12日目に、私は二度目の被災地訪問をし、映秀では国連の事務総長といっしょに内外の記者の合同取材を受けた。その時、私はこう言った。「三年後にまた来ていただければ、新しいブン川の町が聳え立っているでしょう。」この三年、党中央、国務院は、強いリーダーシップと全国の人民の力強い支持の下、被災地域の各級の党委員会、政府が人民を指導して刻苦奮闘し、広大な建設者が粘り強く奮闘努力し、復興再建事業は順調に進展し、被災地の姿は天地がひっくり返る程変化し、皆さんの言葉を使うと、新たに生まれ変わったような巨大な変化である。それらを見て、私はほっとした。被災地の復興再建に、民衆はたいへん満足し、社会の各界の評価も高く、国際社会も幅広い賞賛を与えてくれた。

 この後、温家宝の被災地復興に対する意見を、次の三つの内容に分けて述べています。

1.ブン川震災後の復興再建は重大な成果を上げた
2.震災後の復興再建の貴重な経験を真剣に総括しよう
3.再建の任務を全面的に完成させ、被災地区の持続可能な発展能力を早く加速させよう

 1番目の、震災の復興再建事業の成果について。2008年5月に地震が発生、その後、震災復興にかかろうとしていた矢先の同年9月、リーマンショックに端を発した世界金融危機が発生します。そういう困難な状況下でしたが、国務院は震災復興を内需振興と並ぶ重点事業と位置付けて取組み、3年間に投入された復興再建資金は合計1兆205億元(約12.6兆円)。内、中央政府の国家予算から復興再建基金として3026億元が捻出されました。四川、陝西、甘粛の三省で国の再建事業項目に指定されたプロジェクトは100%着工され、内、95%が完成しました。この復興事業の基本となったのが、《ブン川地震災后恢復重建総体規劃》 で、この計画書が目標に掲げたのは、“家家有房住、戸戸有就業、人人有保障、設施有提高、経済有発展、生態有改善”(全ての家庭に住む家があり、全ての家庭に職があり、全ての人が保障され、インフラは向上し、経済は発展し、生態系が改善されること)というものでした。地震発生後の困難な状況下で、将来まで見据えた目標がきっちり立てられたことが分かります。

 まず住宅再建では、震災後1年で被災住宅の修理・補強を完了。同1年半で、農村部住宅の再建完了。同2年で都市部住宅の再建を基本的に完成。3つの省合計で、住宅の修理・補強が農村部で292万戸、都市部で146万戸。住宅再建は農村191万戸、都市部29万戸弱にのぼるとのこと。

 また、地震で倒壊した学校や病院が多かったことを受け、学校や病院は再建に当たり、耐震基準が、震度7対応から震度8対応に引き上げられた。 産業の復興に当たっては、単に旧に復するのではなく、旧式の生産施設は廃棄し、地域の特色を生かした産業構造に変革することで、将来の更なる継続発展に対応できるようにした。工業だけでなく、農業についても同じ考え方が取られました。

 ここで、温家宝得意の、先哲の言葉の引用がなされます。

超越自然的奇跡,総是在对厄運的征服中出現的。

・厄運 e4yun4 悪運。不運。

□ 自然を超越した奇跡というものは、いつも悪運に征服されている中で現れる。

 この言葉は、古代ローマの哲学者、セネカ(Lucius Annaeus Seneca、BC1~AD68)のものだそうです。

 2番目の、震災後の復興、再建の経験の総括について。先ず、住民優先の原則を堅持し、住民の住宅、学校、病院の再建が最優先されました。そのため、被災し住居を失った住民に対し、中央政府の予算から、都市部で1戸当たり2.5万元、農村部で同1万元の補助金を出し、地方政府の予算からも補助金を出し、住宅再建を促進。また、上でも記したが、学校と病院の再建では、住民が安心できるよう、安全性、堅牢性を第一に考え、学校、病院の建築基準を改正、また被災地のみならず、他の地域でも新しい基準を適用することになりました。

 次に、先ず復興再建計画を立て、計画に基づき再建を行い、また再建計画は科学的で合理的なものとしたこと。震災後11日目には、復興再建計画の策定を始め、3ヶ月余り後には、復興再建の全体計画、都市部、農村部の住宅建設計画、インフラ建設等の計画策定を終え、しかもその内容には、生態環境への配慮や、復興後の中長期的な発展への配慮も盛り込まれました。

 もう一つ、大切なことは、あくまで全国の力を活用し、復興再建を推進したことで、税制優遇、融資限度枠の拡大といった施策の他、他の省市による被災地支援を推奨し、19の省、市から3年間に825億元が投入され、また社会からの義援金、義援物資は累計797億元、香港、マカオ政府からの支援金はそれぞれ100億香港ドル、55億マカオ・パカタに達しました。

 3番目の、被災地の復興完了後の成長発展の維持、加速について。これまで、被災地は産業基盤が弱く、これまでは復興建設の需要に頼ってきたが、今後は第12次五カ年計画の西部大開発をチャンスととらえ、長期的な視野に立ち、地域の特徴に合わせ、電子情報、バイオ医薬、農業・牧畜業、観光事業などをこの地域の産業振興の基礎に置いています。特に、豊かな自然、チベット族などの少数民族の文化は、大きな観光資源となりそうです。

 もう一つ、重要なのは、被災地区での就業の機会を確保すること。被災地区では、20万人が耕地と家を失い、貧困状態に陥る人が増えた。また、孤児、老人、体に障害を負った人の比率も高かった。そんな中、被災住民が自力で収入を得るための職業訓練体制やリハビリ施設を建設、また被災地区の教育、医療、文化施設を整備、充実させ、住民の素養を向上させ、長期的に、優秀な人材が育つよう、基盤作りが進められました。

     -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 以上の内容は、国情も違えば、山間部の地震と海岸部の津波被害と、地理的環境等も異なり、同様に論じることはできませんが、復興への共通の道筋として、参考にできることも多々あると思います。

にほんブログ村 外国語ブログ 中国語へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ